第336回 「観月」 ~愛媛FCレディースによる大規模会場での試合~
9月に入っても酷暑の日々が続く中、愛媛FCレディースチームは「なでしこリーグ1部」残留に向け、2025シーズンのラストスパートをかけた。
9月6日(土)第17節には愛媛のホームに(リーグ戦)上位チームのヴィアマテラス宮崎を迎え、戦いに臨んだ。
この日は、年に一度のナイターマッチ(午後7時キックオフ)。しかも会場は2万人収容可能なニンジニアスタジアム(松山市上野町)。大きな会場での戦いに、我々サポーターも気持ちが高揚する。
試合開始4時間前、会場をチームカラーのオレンジ色に染めるべく、横断幕を掲出。普段のホームグラウンドの愛媛県総合運動公園球技場よりも、横断幕の掲出可能エリアが格段に広いため、トップチームの応援に使用している横断幕も引っ張り出した。もちろん、愛媛FCサポーターズクラブ「ラランジャ トルシーダ」で制作・管理している「伊豫魂」幕も掲出した。
また、この日は会場入りする選手バスの「入り待ち」を慣行。どれくらいの数のサポーターやファンが「入り待ち」に参加してくれるのか心配だったが、事前告知もあり100名程の方々が、ニンジニアスタジアムの第4ゲートに集まってくれた。
午後4時30分、選手たちを乗せた愛媛FCのラッピングバスが第4ゲートに到着。戦いに挑む選手たちを勇気付けるため、私たちの太鼓の音頭でコールやチャントを歌い、旗を振って出迎えた。
スタジアムが夕闇に包まれる午後7時。普段の倍以上となる825人の観客が見守る中、愛媛FCレディースのキックオフで試合がスタートした。
愛媛は宮崎に序盤から守勢に回った。ロングフィードなどで打開を図るが、なかなかボールが繋がらない。それでも、スーパーセーブを連発するGK小松里弥選手を中心に、DF陣が踏ん張り相手に得点は許さない。
しかし前半終了間際、自陣ペナルティーエリアで小松選手がファウルを犯し、PKを献上。ここまで耐えてきた愛媛だったが、宮崎に先制点を奪われた。
そのまま、前半はスコア「0-1」で終了。
愛媛は、後半開始から4人の選手を入れ替え、反撃を試みた。立ち上がり、セットプレーからの連続攻撃に苦しめられたが、ここでも小松選手がナイスセーブを魅せ、守備から愛媛のリズムを取り戻していく。
後半10分を過ぎ、サイドのスペースをいかし、攻撃を組み立て始めた愛媛イレブン。
そして後半14分、MF俣野伶奈選手からボールを受けたMF黒岩沙羽選手は、右サイドからペナルティーエリアまで持ち込みファーサイドにクロスボールを供給。このボールを捉えたのはFW桜井由衣香選手。相手DFを背負いつつ、右足ダイレクトで蹴り込んだ。ボールは相手GKが伸ばした手の先をかすり抜け、見事ゴールイン! 大歓声が沸き起こるスタジアム! チームメイトと抱き合い喜びを分かち合う桜井選手!
愛媛が、素晴らしい連係から同点に追い着いた。これで勢いに乗るかと思ったが、宮崎も甘くはない。ショートカウンターからDFラインの裏を狙われ、『あわや失点か』という場面もあったが、またしても小松選手のファインセーブに助けられた。
その後も一進一退の攻防が続く中、試合はアディショナルタイムへと突入。
アディショナルタイム1分。この日、大活躍の小松選手がゴール前から敵陣に向けてロングキックを放つ。センターサークル付近に陣取る俣野選手が、このボールをヘディングで敵陣方向に反らす。ボールはDFラインの裏に転がった。これに、いち早く反応したのが、途中出場のFW児野楓香選手だった。ペナルティーアーク前まで転がったボールに追い着き、左足で少し浮かせたシュートを放った! ボールは相手GKの頭上を越え、ゴールネットを揺らした! 児野選手による巧みな逆転ゴールだ! 再び歓喜に包まれるニンジニアスタジアム! チームメイトから祝福を受け、ガッツポーズで喜びを表現する児野選手!
「スウィーギン スウィンギン愛媛 フォーエヴァー!~」
サポーターによる祝福のチャントが鳴り止まない!
その後、反撃に出る宮崎だったが、時間は過ぎ去りタイムアップ。終始耐え続け、最後の最後に劇的な逆転弾を決めた愛媛FCレディースが、最終スコア「2-1」で4試合振りの勝利を掴み取った。もちろん試合後は選手たちとの歓喜のラインダンスで、この日を締め括った。
当日、隣り町では「観月祭り」が行われ、試合と同時間帯に花火が打ち上げられていたが、ニンジニアスタジアムも、花火に負けない程の興奮と感動に包まれ、まるで夏祭りのような笑顔溢れる特別な一夜となった。
続くアウェイ2連戦では連敗を喫した愛媛FCレディース。それでも、9月28日(日)に行われた第20節のホームゲームで勝利し、他チームの試合結果を受け、「なでしこリーグ1部」の残留が決定した。
2025シーズンのリーグ戦も残り2試合。少しでも上位を目指し、愛媛FCレディースらしい、粘り強い戦いをファンやサポーターに魅せてもらいたい。

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。