戸田中央、初のDSへ 福田監督「自分たちのソフトボールを」 ~JD.LEAGUE~

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 11月15日からの2日間、東京・ジャイアンツタウンスタジアムで行われる女子ソフトボールリーグの『ニトリJD.LEAGUE2025ダイヤモンドシリーズ(DS)』。東地区初優勝を果たした戸田中央メディックス埼玉は、同2位のビックカメラ高崎ビークイーンとセミファイナルで対戦する。就任4季目を迎えた戸田中央の福田五志監督に話を聞いた。

 

ビック戦2連勝

――東地区初優勝おめでとうございます。

福田五志: ありがとうございます。日本一という目標の中、東地区優勝は通過点のひとつですが、まずはそこをクリアできて良かったです。

――今季は開幕8連勝とスタートダッシュに成功しました。
福田: 試合内容はそれぞれでしたが、ここまで順調にいくとは考えていませんでした。もちろん全部勝つことを目指していましたが、どの試合も余裕は全くなかった。ポイントをあげるとしたら序盤にビックカメラ高崎戦(第1節4月14日、第3節同26日)で連勝したことが大きかったと思います。

 

――ビックカメラ高崎対策を練った、と?
福田: いえ、特別なことはしていません。我々はシーズンを迎えるにあたって、合宿からオープン戦を30~40試合こなしました。私自身、チームを過大に評価することはありませんでしたが、周りからは「戸田の打線はすごい」という声をいただいた。開幕してから打線は好調でした。先ほどあげた第1節のビックカメラ高崎戦。濱村ゆかり投手と上野由岐子投手という好投手2人から、3点ずつ奪って6対3で打ち勝ったことで、選手たちに自信が付いたと感じています。――昨季はチーム初のプレーオフ進出、全日本総合選手権では初優勝しました。今季は後藤希友投手と、中川彩音選手という投打の柱となる新戦力が加わりました。福田監督の中でも、チームがどんどん完成してきている感覚はありましたか?
福田: そうですね。ただ、チームの力を過信してはいけません。いくら戦力が揃っていても、試合では何が起きるかわかりませんし、そう簡単に勝てるものでもない。選手たちを勘違いさせてはいけませんから、ミーティングなどを通じ、過信しないよう伝えてきました。あまり先を見過ぎず、まずは3節ずつしっかり戦っていこう、と。その結果が、開幕3節の6戦全勝につながったのだと思います。

 

――後藤投手は移籍1年目で、13勝2敗をあげ、防御率1.17。東地区最多勝に輝きました。

福田: 私がトヨタの監督をしていた時のモニカ・アボット、ナターシャ・ワトリーのような存在になってきています。世界一の選手と一緒に戦うことで、他の選手にとっては負けらないという気持ちが一層強くなる。だから、選手たちはビックカメラ高崎戦で後藤が先に3点取られても“ここで負けてはいけない”、あるいは“後藤を負け投手にできない”と奮起したんだと思います。

 

――その後藤投手は移籍の理由に福田監督の存在を挙げています。中学時代、彼女の才能を見出したことは有名な話です。

福田: もちろん、うれしい気持ちはあります。その半面、責任の重さも感じています。日本代表のエースとして期待されている選手ですから。本人も今季はいろいろな取り組みをしています。移籍1年目で、東地区のバッターとこれだけ多く対戦することも初めてのシーズンだったので、大変だったと思います。

 

――東京オリンピックでの金メダル獲得に貢献するなど、今や日本代表の顔になっています。出会った時から、ここまでの成長ぶりは想像できましたか?

福田: 彼女が高校生の時には、“上野投手の次のエースになるだろう”と想像がつきました。普通、ピッチャーは、フォームなどいろいろなことを気にして投げる者がほとんどです。ところが後藤は、そういう細かいことを気にせず投げられる。極端に言えば、ボールを持ってステップしたら投げられちゃう。そんなピッチャーは今まで見たことない。そこはもう天性のものだと思います。

 

中堅の成長

――トヨタ時代のチームメイトには同じサウスポーのモニカ・アボットさんがいました。代表では東京オリンピックで一緒にプレーした上野投手と比較されることも多い。福田監督から見て、タイプ的にはどちらに似ていますか?

福田: 今はどちらにも似ていないと思います。この2人の全盛期は奪三振率がずば抜けていました。彼女たちのボールはほぼバットに当たらない。だから2人が投げる試合は、どれだけ点を取られないかという勝負だった。あとはミスをした方が負ける。後藤の場合は、奪三振率という点では、まだ2人に及ばない。もちろんタイプは違っていいのですが、勝負所で三振を奪えるかどうか。そのために球種を増やし、同じ球種でも変化量やスピードを投げ分ける技術を磨いていく必要があります。

――打の新戦力・中川選手は1番・センターとして、打率3割9分6厘、10本塁打、19打点、12盗塁をマークしました。打率、本塁打、盗塁王は東地区“打撃部門3冠”でした。

福田: これくらいやって普通というのが私の見立てですね。彩音の能力を考えたら、あとホームランは5本ほど打てた。まだまだミスショットがある。そこを改善できれば、打率5割だって夢じゃないと思っています。

 

――強打者の彼女を1番に置く理由は?

福田: まず1番が彼女にとって一番やりやすい打順だからです。あれだけホームランを打てる選手だから、本人が一番やりやすい打順を任せたい。だからシーズン中、打っても打たなくても一度も打順を変えませんでした。

 

――最近の野球では、1番や2番に強打者を据える傾向にあります。福田監督も一番いいバッターをトップに置きたい考えですか?

福田: そうですね。昔は1、2番が出塁し、クリーンアップで返すという考えもありました。ただソフトボールは野球と違い7イニングしかありません。積極的に前にいいバッターを置くのはセオリーだと思いますね。

 

――4番には坂本結愛選手を据えました。打率3割4分4厘、8本塁打、31打点。打点は2年連続東地区トップです。

福田: 4番はチームの顔が務めるべきだと、私は思っています。戸田のこれからを見据えると、彼女が適任です。昨季は5番で31打点をあげました。今季は4番を任せました。最初は打ちづらそうにしていましたが、きちんと結果を残してくれました。

――今季、キャプテンを経験豊富な糟谷舞乃選手から今田まな選手に変えた意図は?

福田: 糟谷は移籍1年目から2年間、キャプテンを任せました。それはチームの土台をつくりたかったから。経験のある彼女がチームを引っ張ってくれたおかげで土台ができた。これからは次の戸田中央メディックス埼玉をつくり上げていかなければいけない。そのためには今田や三輪玲奈ら中堅の成長が必要不可欠だった。加えて今田の地元が戸田中央の本拠地である埼玉だったのも理由のひとつです。そして何より彼女はチームで一番練習をする。これらの要素を踏まえ、彼女をキャプテンに指名しました。

 

――今田選手は29試合中28試合に出場し、打率3割1分3厘をマークしました。

福田: 昨季の打率は2割に満たなかったものの、元々、いいものを持っている選手でした。今季打率3割2分3厘をマークした三輪同様に、彼女たち中堅の成長が東地区優勝につながったと思っています。

 

――最後にダイヤモンドシリーズに向けての意気込みを。

福田: 選手たちには、自分たちができるメディックスソフトボールを存分に発揮してほしいと思います。どういう結果になるかは戦ってみなければわかりませんが、勝っても負けても“何が足りなかったのか”“何が良かったのか”ということを追求していくことに変わりはない。チームがひとつになり、セミファイナル、ファイナルの2試合を戦い抜きたいと思います。

福田五志(ふくだ・いつし)プロフィール>

1956年5月24日、鹿児島県出身。中京商業高校(岐阜県)硬式野球部で1年生時からレギュラーの座を掴み、甲子園に3度出場した。高校卒業後、青山学院大学(中退)、トヨタ自動車でプレー。引退後、ソフトボール指導者に転身し、13シーズン(97~99年、07~16年)トヨタ自動車女子ソフトボール部の監督を務めた。日本リーグ優勝5回、全日本総合選手権優勝4回。16年には日本代表監督を務め、世界選手権で準優勝。21年には台湾代表コーチに招聘された。21年2月にトヨタ自動車を退団。同年、戸田中央総合病院メディックス(現・戸田中央メディックス埼玉)のシニアアドバイザーに就き、翌22年のJD.LEAGUE発足に伴い、戸田中央の監督に就任した。24年にチームをJD.LEAGUEのプレーオフ進出、皇后杯全日本総合選手権大会優勝、25年には東地区優勝を果たした。

 

(取材・構成・写真/杉浦泰介)

 

 BS11では「JDリーグ2025 ダイヤモンドシリーズ」の模様を、11月15日(土)、16日(日)の2夜連続で放送します。15日20時はセミファイナルの戸田中央メディックス埼玉vs.ビックカメラ高崎ビークイーン戦を、16日19時はその勝者と、トヨタレッドテリアーズvs.豊田自動織機シャイニングベガ戦の勝者が対戦するファイナルを放送予定です。是非ご視聴ください。

※放送内容は中止、または変更になる可能性がございます。

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