第316回 金メダル三浦璃来「天才」の証明

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 ミラノ・コルティナ冬季五輪フィギュアスケートペアで、日本初の金メダルに輝いたことにより、今や国民的スターとなった感のある三浦璃来と木原龍一の“りくりゅうペア”。帰国直後は、テレビをつければ、二人が映っていた。

 

 

 

 

 日本外国特派員協会主催の記者会見では、木原より9歳年下の三浦の、思いがけぬ“天然ぶり”が浮き彫りになった。

 

 帰国した際、2つのメダルの入ったバックパックを受け取らずに入国審査を通過し、後で気が付いたというのである。

 

 木原によると、三浦の忘れ物は「日常」だという。

「忘れ物が多い時というのは、璃来ちゃんがすごくスケートにフォーカスしている時なので、すごく良かった要因も、璃来ちゃんの忘れ物のおかげかなと思います」

 

 メダルの忘れ物といえば、思い出すのがシドニー五輪柔道男子100キロ級金メダリストの井上康生だ。

 

 五輪直後、彼とラジオで対談する機会に恵まれた。わざわざ金メダルを持ってきてもらった。

 

 番組終了後、「首にかけてもらっていいですよ」と言うので、一緒に記念撮影におさまった。

 

 こちらが慌てたのはその後だ。井上は、私からメダルを受け取ろうとせず、そのまま帰ろうとしたのだ。「大事なものをお忘れですよ」と言って引き止めると「いやあ、ひとつのことにグッと集中しちゃうと、他のことが気にならなくなってしまうんですよ」と苦笑しながら、しきりに頭をかいていた。

 

 ある意味、忘れ物は、アスリートにとって「天才」の証明なのかもしれない。

 

 忘れ物に関するエピソードと言えば、昨年6月に他界した長嶋茂雄にとどめを刺す。なんと、まだ小さかった一茂を、後楽園球場に置き忘れて帰ってしまったというのだ。夫人に指摘されて初めて気が付いたというのだから、頭の中は野球のことでいっぱいだったのだろう。

 

 こうした事例を踏まえると、三浦璃来は、体に似合わず相当な大物である。

 

<この原稿は『週刊大衆』2026年3月23日号に掲載されました>

 

 

 

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