第315回「井上拓真vs.那須川天心2」は、いつ実現するのか?
大盛況、いまだ興奮冷めやらぬ5月2日・東京ドーム『THE DAY』。このスーパーイベントで井上兄弟はともに世界王座防衛を果たした。
兄・尚弥(大橋)は、中谷潤人(M.T)を相手に緊迫感溢れる技術戦を制し4団体(WBA、WBC、IBF、WBO)統一世界スーパーバンタム級王座を守り、弟・拓真(大橋)も井岡一翔(志成)から2度のダウンを奪っての完勝でWBC世界バンタム級のベルトを手放さなかった。

(写真:5月2日の試合後、兄弟揃って会見に出席。2年前の東京D大会以来の同日防衛となった)
井上兄弟が、同じイベントで試合をすることは珍しくない。調べてみると今回が実に14度目。拓真のプロキャリアは24戦、半数以上を兄・尚弥と同じリングで闘っていることになる。
最初は2013年12月6日の東京・両国国技館大会。この時のメインエベントは八重樫東(王者/大橋)がエドガル・ソーサ(メキシコ)に判定勝利でV2を果たしたWBC世界フライ級タイトルマッチ。アンダーカードで尚弥がプロ5戦目でOPBF(東洋太平洋)ライトフライ級王座を獲得(5ラウンドTKO勝ち)、拓真はプロデビューを果たしている(6ラウンド判定勝ち)。
兄弟で初めて同時世界王座防衛を果たしたのは一昨年(2024)年5月6日、東京ドーム大会。メインで尚弥がルイス・ネリ(メキシコ)に6ラウンドTKO勝ち、拓真は石田匠(井岡)を判定で下した。
よって井上兄弟の「同日世界王座防衛」は今回が2年ぶり2度目。井上真吾トレーナーは息子たちとともに一夜で24ラウンドを闘ったことになる、疲労困憊だったことだろう。
両者の異なる想い
さて、ここからは井上拓真の次戦に触れたい。
5・2東京ドーム『THE DAY』の21日前には両国国技館で「WBC世界バンタム級挑戦者決定戦」那須川天心(帝拳)vs.ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)が行われている。結果は那須川の9ラウンド終了時TKO勝利。これにより、年内に「井上拓真vs.那須川天心2」実現が濃厚視されている。

(写真:昨年11月、拓真は那須川に3対0の判定勝ちでWBC王座を獲得した)
昨年11月、トヨタアリーナ東京でのWBC世界バンタム級王座決定戦で拓真は那須川に文句なしの判定勝利を収めた。これは那須川にとって、ボクシングのみならずキックボクサー時代も含めてプロ公式戦初黒星。
「神童」と呼ばれ続けた男が屈辱にまみれ、こう口にした。
「絶対にやり返す!」
そして、エストラーダを破ったことでリベンジ戦に挑む権利を早々に手にしたのだ。那須川は、再戦に向けてやる気満々である。
しかし、拓真はそうではない。なぜならば抱いている野望がバンタム級での「4団体世界王座統一」だからだ。IBF王者ホセ・サラス・レイジェス(メキシコ)、WBO王者クリスチャン・メディナ・ヒメネス(メキシコ)、もしくは6月にWBA王座をかけて闘うアントニオ・バルガス(米国)とジェシー“バム”ロドリゲス(米国)の勝者のいずれかと拳を交えたいのではないか。
では、どうなる?
結局のところプロボクシングは、ファンが観たいと求めるカードを提供する興行であり、那須川はその権利も得ている。ならば「井上拓真vs.那須川天心2」が優先されよう。配信が「Prime Video」なのか「Lemino」なのかは分からないが今後、大橋、帝拳両プロモーションの間で話が煮詰められることになろう。
今秋、もしくは12月にファン待望にリマッチが実現すると見る。
<直近の注目格闘技イベント>
▶5月10日(日)、兵庫・GLION ARENA KOBE/「RIZIN.53」ライト級タイトルマッチ、イルホム・ノジモフvs.ルイス・グスタボほか
▶5月15日(金)、東京・後楽園ホール/「KNOCK OUT.64」KNOCK OUT×ミャンマーラウェイ 3vs3 対抗戦ほか
▶5月16日(土)、東京・後楽園ホール/「RISE198」中村寛vs.ガイパー・ウォーサンプラパイほか
▶5月21(木)~24(日)、東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館/全日本選抜レスリング選手権大会
▶5月24日(日)、東京・竹芝ニューピアホール/「DEEP TOKYO IMPACT 2026 3rd ROUND」&「DEEP JEWELS 53」女子フライ級タイトルマッチ、中井りんvs.奥富夕夏ほか
▶5月28日(木)、東京・後楽園ホール/「キックボクシングフェス.2 GOAT」笠原友希vs.軍司泰斗ほか
▶5月31日(日)、東京・後楽園ホール/「K-1 REVENGE」スーパーフェザー級王座暫定王座決定戦、横山朋哉vs.松山勇汰ほか
▶5月31日(日)、東京・立川ステージガーデン/「PANCRASE 362」フライ級王座決定戦、時田隆成vs.岸田宙大ほか
<近藤隆夫(こんどう・たかお)プロフィール>
1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。
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