第314回 東京ドーム主催の新キックボクシングイベント『KORAKUEN JAMBULL』とは?
日本キックボクシング界には長年の課題がある。
それは団体乱立により、チャンピオンベルトの数が多すぎること。
国内に20以上の団体があり、それぞれが階級別の王座を制定している。となると(各階級で)誰が一番強いのかが明確でなく、そのチャンピオンベルトにどれほどの価値があるのかもわからぬ状況に陥っているのだ。

(写真:9団体の代表が聖地・後楽園ホールに集結 © KOURAKUEN JAMBULL)
「プロボクシングの日本チャンピオンは一人、でもキックボクシングはチャンピオンが何人もいていい加減。組織が確立されていないからスポーツとしてメジャーにはなれない」
そんな風に言われ続け、プロボクシングの井上尚弥に匹敵するようなスーパースターが生まれるような土壌は、いまのキックボクシング界にはない。だから那須川天心はプロボクサーに転身し、ムエタイ王座に輝き40連勝中の吉成名高も、その実力を正当に評価されずにいる。
そんな中、3月25日に興味深い記者会見が開かれ、東京ドーム主催の新キックボクシングイベント『KORAKUEN JAMBULL(後楽園ジャンブル)』の開催が発表された。日時は9月27日(日)、場所は東京・後楽園ホールで以下の立ち技格闘技9団体が集結する。
NKB日本キックボクシング連盟
ジャパンキックボクシング協会
シュートボクシング協会
新日本キックボクシング協会
SUK WAN KINGTHONG
ニュージャパンキックボクシング連盟
KNOCK OUT
Bigbang
RISE
キック界を変えられるか!?
ここで行なわれる交流試合の階級は60キロ級以下(下限57キロ)。今後、各団体の大会で代表選手決定試合が行なわれ、そこでの勝者(+主催者推薦選手)が9・27後楽園ホールに集い団体の垣根を越えた闘いを繰り広げることになる。
ただ今回の規定はデビューから10戦以内の選手に限られ王者、元王者は除外される。よって、団体同士の王座統一戦が行なわれるわけではない。

(写真:多くのメディアが集まった記者会見で大会開催の意義を話す株式会社東京ドーム代表取締役会長の北原義一氏 © KOURAKUEN JAMBULL)
記者会見には、株式会社東京ドーム会長の北原義一氏をはじめ、各団体代表者が出席。
主催者サイドは、新イベントを開く意義を次のように話した。
「一般的な名称としてキックボクシングとしましたが、今回お集まりいただいた団体にはそれぞれの特色があります。一堂に会する以上ルールを決めることは必要ですが、我々は各団体が培ってきたイズムを多くの方に伝えられる大会にしたいと考えています。
イズムとは、各団体が長年培ってきた強さの美学や闘い方の哲学。本大会では共通のルールの中ではありますが、選手の皆様にはその団体を代表し闘っていただき、より多くの方に、団体の魅力を感じていただく機会にできればと思います」
同大会のルール設定は、3分×3ラウンドで延長はなし。3ノックダウン制で着用グローブは6オンス。全6試合が予定されておりトーナメントではなくワンマッチ形式だ。
そして、団体を統一する動きではないようだ。まずは団体間で理解を深め合うことも大切。さらにはK-1、BOMなども『KOURAKUEN JAMBULL』に加わる流れになれば興味深い。
先の話にはなるが、大会を重ねる中で各団体の王者同士の対決が実現すればキックボクシング界全体が熱気を帯びていくことだろう。
私論、いや多くのファンが願っていることだと思うが日本チャンピオンは各階級にひとりで良い。そうなってこそ真の「日本最強」を名乗ることができる。各団体の王者が一堂に会しトーナメントで真の王者を決める。その後、チャンピオンは自らの属する団体のリングで他団体の選手を迎え撃つ形も含め防衛戦を行なっていってはどうだろうか。
団体を一つにまとめなくても、王者を一人にすれば観る者をより熱く、またファンを拡大していくことが可能だと思うのだ。
『KOURAKUEN JAMBULL』が数年後にキックボクシング界に革命を起こしていることを期待したい。
<直近の注目格闘技イベント>
▶4月11日(土)、東京・両国国技館/「Prime Video Boxing 15」WBC世界バンタム級挑戦者決定戦、那須川天心vs.ファン・フランシスコ・エストラーダほか
▶4月11日(土)、東京・後楽園ホール/「SHOOT BOXING 2026 act.2」山田彪太朗vs. 魁斗ほか
▶4月11日(土)、東京・代々木競技場第二体育館/「K-1 GENKI 2026」スーパー・ウェルター級王座決定戦、ジョナス・サルシチャvs. ダリル・フェルドンクほか
▶4月11日(土)、東京・竹芝ニューピアホール/「HEAT 58」バンタム級王座決定戦、ユン・テスンvs. 中桐涼輔ほか
▶4月12日(日)、マリンメッセ福岡A館/「RIZIN LANDMARK 13 in FUKUOKA」フェザー級タイトルマッチ、ラジャブアリ・シェイドゥラエフvs.久保優太ほか。
▶4月13日(月)、東京・後楽園ホール/「Lemino BOXING フェニックスバトル154」IBF世界ライトフライ級タイトルマッチ、タノンサック・シムスーvs.セルジオ・メンドーサ・コルドバほか
▶4月18日(土)、沖縄コンベンションセンター/「KNOCK OUT.63」引退記念スペシャルマッチ、渡慶次幸平vs.鈴木千裕ほか
▶4月19日(日)、/東京・竹芝ニューピアホール/「DEEP TOKYO IMPACT 2026 2nd ROUND」安井飛馬vs.森 俊樹ほか
▶4月19日(日)、沖縄・音市場/「Lemino修斗.5」西條英成vs.マコア・クーパーほか
▶4月19日(日)、神奈川・横浜武道館/「全日本女子柔道選手権大会」
▶4月25日(土)、東京・後楽園ホール/「NEXUS MANIA 2026 1st ROUND」ライト級王座決定戦、小牧勇太vs.賢民ほか
▶4月26日(日)、東京・後楽園ホール/「RISE 197」ライト級王座決定戦、奥山雅仁vs.塩川琉斗ほか
▶4月26日(日)、東京・日本武道館/「全日本柔道選手権大会」
▶4月29日(祝・水)、東京・有明アリーナ/「ONE SAMURAI 1」キックボクシング・フライ級暫定王座決定戦、ロッタン・ジットムアンノンvs.武尊ほか
<近藤隆夫(こんどう・たかお)プロフィール>
1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。
連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)