過去最大規模の北中米W杯、南米勢が優勢か
いよいよ北中米W杯が幕を開ける。アメリカ、カナダ、メキシコによる初の3カ国開催となった今大会は、過去最多の48カ国・地域が参加する。11日(日本時間12日)に幕を開け、39日間の長丁場となる。決勝トーナメント出場国も16チームから32へと拡大。これにより優勝するには8試合戦わなけれならない。移動距離、暑さを含め、相当なタフな戦いが強いられる。選手登録26人、交代枠5人をどう使うかなど監督の采配も問われる大会となるだろう。出場チーム数、大会期間、試合数で過去最大規模となったW杯を、当HPスタッフライターが展望する。
8回目のW杯に臨む日本代表は、前回のカタール大会で優勝経験国のドイツ、スペインを破るなど快進撃を見せた。森保一監督体制で臨む2度目のW杯は、前回越えられなかった「ベスト8の壁」に挑戦する。流れを変えられるアタッカー三笘薫の離脱は痛いが、オランダ、チュニジア、スウェーデンとのグループリーグの組み分けは前回ほどはタフさを感じない。成績次第では3位でも通過の可能性を残すが、初戦のオランダ戦がひとつキーポイントなりそうだ。オランダと言えば、攻撃のイメージが強いが、現代表はDFフィルジル・ファンダイクらをはじめ堅いディフェンスを有する。その高くて厚い壁を攻略できるのか。日本はここで前回の快進撃がフロックではなかったことを証明したい。
前回王者のアルゼンチンは、イタリア(1934、38年)とブラジル(58、62年)に次ぐ3チーム目の連覇を目指す。W杯6大会目のFWリオネル・メッシ、お騒がせ守護神のエミリアーノ・マルティネスをはじめ優勝メンバーが17人残った。36年ぶり3度目の優勝を果たしたカタールW杯後、コパ・アメリカ連覇を達成するなど、国際大会で結果を残し続けている。MFエンソ・フェルナンデス、FWフリアン・アルバレスが北中米でも期待通りの活躍を見せれば、54年ぶりの連覇も見えてくる。21歳の新星FWニコラス・パスにも注目が集まる。セリエAのコモをチャンピオンズリーグ出場権獲得に導いた左足は、母国を歓喜に沸かせることができるか。
過去22大会開催されたW杯にはジンクスと呼ばれるものが存在する。その代表格が優勝国・地域の監督は自国・地域出身である。そのジンクスを打破する可能性があるのは、史上最多5度の優勝を誇るブラジルだ。南米予選途中から就任したイタリア出身のカルロ・アンチェロッティ監督は、レアル・マドリードなどでスター選手の扱いは長けていると言われている。サッカー王国と言われるだけあって、どのポジションにもワールドクラスの選手を揃えている。創造性豊かなアタッカーだけでなく、カゼミーロ、ブルーノ・キマランイスなど中盤で気が利くプレーヤーもいる。アルゼンチンと並ぶ優勝候補の一角に挙げる。
個人としての注目は世界最高のストライカーの呼び声高い、ノルウェー代表のアーリング・ハーランドのW杯デビューだ。ドイツ、イングランドのビッグクラブでゴールラッシュを続けてきた男は、代表でも欧州予選8試合で16得点と驚異の得点率を誇る。身長195cmの恵まれた体格を生かしたプレーだけでなく、裏に抜け出す巧さも併せ持つ。ストライカーとしての穴という穴もなく、北中米でもゴール量産が期待できる。得点王を獲得できるかは、ノルウェーの勝ち上がり次第にもよるが、その可能性は十分と言っていいだろう。
(文/杉浦泰介)