第325回 中国、幻の「サッカー超大国」構想
いかにも中国らしいニュースだ。サッカーW杯期間中、上海のスポーツバーで、中国人のサッカーファンが日本のユニホームを着て応援していたところ、SNS上で「売国奴」などと批判された。これを受け、上海市サッカー協会は「サッカーに国境はないが、ファンには祖国がある。服装に注意しなければならない」と事態の収拾に乗り出した。
中国では「民族団結進歩促進法」が施行されたばかり。当局は、そのことも意識しているのだろう。
それはともかく、中国のサッカーは一向に強くならない。アジア枠が従来の4.5から8.5に拡大した今大会も、アジア予選で敗退し、出場権を逸した。
過去、中国がW杯に出場したのは、2002年日韓大会の1度だけ。この時は日本と韓国が開催国として予選を免除されたため、ハードルが低かった。どうにか出場できたものの、3戦全敗無得点でグループリーグ最下位に終わった。
中国の人口14億人超は、インドに次いで世界2位。名目GDPも、米国に次いで世界2位。さらに言えば、習近平国家主席は筋金入りのサッカーファンで、意を受けた中国サッカー協会は「2050年までに世界のサッカー超大国になる」と宣言している。
にもかかわらず、笛吹けど踊らず。日本との差も広がる一方で、北中米大会を目指す最終予選は、いずれも日本が7対0(ホーム)、3対1(アウェー)と完勝した。
付け焼き刃の強化策のツケが回ってきている、との説もある。主に民間不動産企業の投資で04年に華々しくスタートしたスーパーリーグは、不動産バブルの崩壊とともに凋落。今年1月には大掛かりな八百長・賭博スキャンダルが発生し、今はその後始末に追われている。
悪いことは言わない。強化に近道などないのだ。草の根レベルにしっかり養分を行き渡らせるような、地道な活動から始めなければ、「サッカー超大国」など、夢のまた夢だろう。
<この原稿は『週刊大衆』2026年7月20日号に掲載されました>