長友、セリエA・チェゼーナへ移籍 「世界一のサイドバックに」

facebook icon twitter icon
 FC東京からイタリアのセリエA・チェゼーナへの期限付き移籍が決まった日本代表DF長友佑都が15日、イタリアから帰国し、FC東京のクラブハウスで報告会見を行った。移籍期間は来年6月30日までの1年間だが、2年目からの完全移籍が可能なオプションが付いている。日本人DFとしては初となるセリエA挑戦に、長友は「不安があったらこの移籍は決めていない。FC東京でやってきたこと、積み重ねてきたことは間違っていない。自信を持って相当な覚悟で挑む」と力強く意気込みを語った。
(写真:イタリアと言えばパスタ? 大盛のミートパスタを前にポーズをとる)
 イタリアへ12日に渡り、14日に正式契約。そのまま現地の新体制発表会見に臨み、とんぼ返りでこの日の朝、帰国した。「さすがに時差ボケで疲れています」とこぼしながらも、その表情は充実感にあふれていた。

 身長170センチと小柄なDFが長年、抱いてきた大きな夢をついに叶えた。明治大学在学中に転向したサイドバックのポジションで対人の強さが目に留まり、Jリーグの特別指定選手に選ばれてFC東京入りしたのは2007年のこと。海外挑戦への思いを母に打ち明けたのはこの頃だった。それからわずか3年。08年の北京五輪、先の南アフリカW杯と大舞台を経験するたびに長友は飛躍的に成長を遂げた。日本を代表するサイドバックとして世界の強豪と互角に戦い、海外での評価も得た。満を持してのイタリア行きだ。

 移籍するチェゼーナは今季、20シーズンぶりのセリエA昇格を果たした。今シーズンよりセリエAでは、国内選手の育成を目的としてクラブのEU外国籍選手の獲得枠を各1人に削減する。その貴重な枠を使っての長友獲得だけに、地元での期待は高い。「移籍の一番の決め手は監督が評価してくださったこと」と本人も明かす。チェゼーナは決して強いクラブとはいえないが、叩き上げで今の地位を築いた23歳にとってはふさわしい移籍先だろう。チームのスタイルも「日本サッカーに似ている」という。「全員で守備して全員で攻撃する。今回の代表でやった4−3−3のシステムだし、やりやすい」。まずはチーム内での競争を勝ち抜き、レギュラー獲得が最初の目標になる。

 やはり楽しみなのは、世界の名だたる強豪とのマッチアップだ。「インテル・ミラノといった強いチームと試合ができる。そういった名門を倒したいという思いは、もちろん強くある」。インテル・ミラノにはW杯でも対戦したサミュエル・エトー(カメルーン)、ヴェズレイ・スナイデル(オランダ)が在籍しており、再戦が予想される。「世界一のサイドバックだと思うマイコンもいる。そういう選手と対戦したい」と目を輝かせた。

 シーズン半ばでの移籍に加え、現地の期待が大きい分、のしかかる重圧は小さくない。だが、長友は「Jリーグ、FC東京でプレーして、オリンピックでプレーして、代表、W杯でプレーして、どんなプレッシャー、緊張でも楽しめるくらいのメンタルは持っている。そこは成長した」と胸を張る。「やるべきことは変わらない。(FC東京の)小平グラウンドでやってきたことをセリエAのピッチでも出すだけ」。成功への道は、これまでの延長線上にあることは誰よりも自覚している。

 日本人が苦労する環境面でも不安をみせる素振りはない。イタリア語の勉強は「ボチボチ」としながらも、入団会見ではしっかり自己紹介をして現地メディアの心をつかんだ。この日も「Sono Nagatomo, piacere(僕は長友です。はじめまして)」と覚えたての表現を披露した。「パスタ、海鮮料理がすごかった。ごはんもおいしいし、困らないと思う」。チェゼーナはイタリア北部のアドリア海沿いの街。瀬戸内海の近くで育った長友にとって絶好の環境と言えそうだ。「めちゃくちゃ美人が多かった。ヤバイっす。海も近いし、励みになりますね(笑)」と笑いも誘った。
(写真:「愛媛のミカンパワーで頑張りたい」と故郷への思いも口にした)

「まだ足りないものがたくさんある。プレーの精度、質の部分を上げていきたい」
 夢を現実に変えた今、挑むのは更なる高みだ。「目指すからには世界一のサイドバック」。今後は約1週間で引っ越しや挨拶廻りを済ませ、22日には合宿中のチームに合流する。W杯前には、Mr.Childrenの「終わりなき旅」をよく聴いていた。駆け抜けた道を振り返りはしないのさ。ただ未来だけを見据えながら――。長友佑都の「終わりなき旅」がまさに始まろうとしている。

(石田洋之)

※過去の長友選手のインタビュー、コラムはこちら
>>北京の借りは南アフリカで返す! 〜日本代表DF長友佑都インタビューVol.1〜
>>W杯で勝つために 〜日本代表DF長友佑都インタビューVol.2〜(2009年1月掲載)

>>「FORZA SHIKOKU」長友佑都 第1回「右サイドを切り裂いた新星」
>>「FORZA SHIKOKU」長友佑都 第2回「恩師に学んだ周囲への感謝」

>>「FORZA SHIKOKU」長友佑都 最終回「苦境を成長の糧に変えて」(2007年11月掲載)
facebook icon twitter icon
Back to TOP TOP