「逆転の発想」のすすめ 〜DODA連載コラム「二宮清純のビジネス×アスリート論〜

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 転職総合サイト「DODA」では、スポーツを通してビジネスを語る連載コラム「二宮清純のビジネス×アスリート論」を好評連載中。スポーツの観点から取り上げられたエピソードをもとに、ビジネスマンとしての心得や転職活動の方法について、二宮清純が語ります。激しい競争世界で生き抜いてきたアスリートたちから学ぶことは多いはず。二宮清純がこれまでの取材で得た彼らの思考法、成功例をビジネスにあてはめて紹介します!
CHAPTER1.人よりも遅いボールを武器に

 人よりも速いボールを投げたい。野球のピッチャーなら、誰もが、そう考える。
しかし、ライバル全員が150キロ台のストレートを投げられた場合、速さはもう固有の武器ではなくなる。
 生き馬の目を抜くプロ野球の世界で生き残るには、ハンディキャップをもアドバンテージに転化しなくてはならない。かつて「逆転の発想」という言葉がはやったが、まさにそれだ。確かこの言葉は「日本の宇宙開発の父」と呼ばれた糸川英夫氏(故人)の造語だったと記憶している。

 これはビジネスの世界においても、同じことが言える。努力しても先行するライバルたちには追いつけないと判断した場合、思い切って逆サイドに身を振ってみることも必要ではないだろうか。
 元千葉ロッテのエース小宮山悟は、思い切って腕を振っても、スピードは130キロそこそこだった。翻って隣で投げていた伊良部秀輝のストレートは、ゆうに150キロを超えていた。

これはもう素質に属する問題である。努力して解決できるレベルの話ではない。ここで小宮はどう考えたか。
「ならば、この遅さを武器にしてやろう……」
 ほとんどのピッチャーが「打たせない」ことを前提にピッチングを組み立てるなか、小宮山は「どうすれば、打ってくれるか」に心血を注いだ。
「バッターの狙っているコースに投げ、ほんの少し詰まらせたり泳がせたりすると、一球でアウトに仕留めることができる」
 この高度な心理戦を制するために、小宮山はたえずバッターの表情に注意を払った。

「バッターが“よし!”と思って振りにいったところが凡退し、“あれっ!?”という表情でベンチに帰っていく。その様子を見るのがたまらなかった。僕の目標はバッターに“あれ、おかしいな”“こんなはずじゃなかった”という打球を打たせることでしたから」
 翌日のスポーツ紙のコメントも小宮山にとっては重要な参考資料となった。
「完投した翌日とかに“手も足も出なかった”というバッターのコメントが出ると嫌になりました。こっちは“手も足も出る”ボールで打ち取りたいんだから……」

 個性的な野球観を持つ小宮山は、人生観もまた独特だ。小宮山は二浪して早大に入り、メジャーリーグから帰国後も1年間の浪人生活を送っている。
 スポーツ選手にとって“浪人”はパフォーマンスの低下を招くマイナス要因と考えられがちだが、小宮山は違った。
「浪人時代は時間の制約がないので、自分の人生をじっくり見つめて、ひとつひとつ自分で判断していける貴重な時期。この時期を経験したことで、僕は何があっても自分のことはすべて自分で決めるようになりました。“浪人のすすめ”ですね」

 野球において何がハンディキャップで何がアドバンテージか。人生において何がプラスで何がマイナスか。俯瞰して自らの現在の立ち位置を見た時、これまでとは違った風景が広がっているはずだ。

※この続きは「DODA」サイト内でお楽しみください!

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