メジャーリーグのプレーオフ・リーグチャンピオンシップは19日、アメリカンリーグでデトロイト・タイガースがニューヨーク・ヤンキースに4連勝し、6年ぶりの11度目の優勝を決めた。タイガースは初回に1点を先制すると、4回にミゲル・カブレラら2本の2ランで6−0と完全に主導権を握る。7、8回にも一発攻勢で得点を追加し、快勝した。ヤンキースはエースのCCサバシアが4回途中でKO。シリーズ通じて不振だった打線もわずか2安打で1点を返すのが精一杯で3年ぶりのリーグ制覇を逃した。イチローは3打数0安打だった。
◇ア・リーグ
 先制打のヤングがシリーズMVP(タイガース4勝、コメリカ・パーク)
ニューヨーク・ヤンキース  1 = 000001000
デトロイト・タイガース    8 = 10140011×
勝利投手 シャーザー(1勝)
敗戦投手 サバシア(1敗)
本塁打  (タ)カブレラ1号2ラン、ペラルタ1号2ラン、2号ソロ、ジャクソン1号ソロ

 念願のチャンピオンリングには手が届かなかった。
 シアトル・マリナーズから電撃移籍でニューヨークへ渡って3カ月。数々の個人タイトルを獲得していたイチローにとって、唯一、手にできなかった世界一の称号。その挑戦はあっけない形で幕を閉じた。

 レギュラーシーズンでは30球団トップの245本塁打を放った強力打線が火を噴かなかった。シリーズ通じてヤンキースらしさが見えたのは初戦の9回、4点ビハインドをイチローとラウル・イバネスの2ランで一気に追いついたところのみ。2戦以降は0点、1点、1点と攻撃が機能しなかった。初戦にトップバッターのデレク・ジーターが左足首を骨折したのが響いた。シーズンで3割30本塁打をマークしたロビンソン・カノは4試合でわずか1安打。アレックス・ロドリゲスも1安打で、この日もスタメンを外れた。試合中に観客の女性に電話番号を尋ねていたとの疑惑が報じられるなど、グラウンド外が騒がしい状態では劣勢を挽回する要素は乏しかった。

 そんな中でシアトルからやってきた背番号31は孤軍奮闘した。初戦には2ランを含む4安打で第2戦は離脱したジーターに代わって打順が1番に。この第4戦は快音が聞かれなかったが、シリーズ通じて17打数6安打、打率.353とチームトップの成績を残した。ここ数年、成績が下降線をたどっていたイチローだが、ヤンキース移籍後は打率.322、5本塁打、14盗塁。スター軍団のなかで存在感を示した。

 プレーオフに入ってもディビジョンシリーズ第2戦ではキャッチャーのタッチを2度かわして本塁に生還し、全米の話題をさらった。ポストシーズンに入って、そのプレーはより研ぎ澄まされており、頂点への思いは十二分に伝わってきた。しかし、3連敗を喫して迎えたこの日はレフトの守備位置で4本のホームランが頭上を越えていった。悔しさをかみ殺すように目は血走っていた。

 あくまでもヤンキースにとってのイチローは故障者を穴埋めする“助っ人”の位置づけだった。来季も再びピンストライプのユニホームに袖を通せるかは分からない。ただ、結果が厳しく求められるチームでキラリと光る働きを見せた事実は、稀代のヒットマンの価値を再び高めたはずだ。


 ナショナルリーグではセントルイス・カージナルスがサンフランシスコ・ジャイアンツに8−3で快勝し、3勝1敗として連覇へ王手をかけた。カージナルスは初回にマット・ホリデーのタイムリーなどで2点を先制。5回にもホリデーが好機にヒットを放って追加点をあげると、6回、7回にも2点ずつを加え、大量リードを奪った。先発のアダム・ウェインライトは7回をソロホームランによる1失点に抑える好投。ジャイアンツはティム・リンスカムが5回途中でKOされ、後がなくなった。

◇ナ・リーグ
 クリーンアップで計5打点(カージナルス3勝1敗、ブッシュ・スタジアム)
サンフランシスコ・ジャイアンツ 3 = 010000002
セントルイス・カージナルス   8 = 20002220×
勝利投手 ウェインライト(1勝)
敗戦投手 リンスカム(1敗)
本塁打  (ジ)ペンス1号ソロ、サンドバル1号2ラン