桜の開花も待ち遠しい3月中旬。今年も女たちの熱い戦いが始まる。

 

 2022年3月19日(土)、愛媛FCレディースが参戦する「プレナスなでしこリーグ1部」が開幕の日を迎えた。

 

 開幕戦では、オルカ鴨川FCをホーム(愛媛県総合運動公園球技場)に迎え対戦。前半30分にDF松永早姫選手のアーリークロスからDF筬島彩佳選手が先制ゴールを決める。その後、同点に追い着かれるが、後半立ち上がりに愛媛がコーナーキックのチャンスを得る。キッカーの筬島選手が放ったクロスが相手のオウンゴールを誘い、勝ち越し点をゲット。これが決勝点となり、愛媛FCレディースが見事、開幕戦を勝利で飾った。

 

 3月27日(日)に行われた第2節では、アウェイにてアンジュヴィオレ広島と対戦。試合終了間際に失点し、0-1で悔しい敗戦となった。

 

 4月2日(土)に行われた第3節では、スペランツァ大阪とスコアレスドロー。シュート数も少なく、お互いに攻めきれなかった印象である。

 

 第4節は4月9日(土)に行われ、朝日インテック・ラブリッジ名古屋と対戦。FW桜井由衣香選手のゴールで先制するも、相手に逆転を許し、1-2で敗れる。

 

 4月16日(土)に行われた第5節では、ASハリマアルビオンをホームに迎え対戦。前半15分、敵陣内・右サイドの桜井選手からのクロスをMF榎谷岬選手が押し込み先制。続く前半22分、FW鈴木紗理選手がセンターサークル付近で相手DFからボールを奪う。これを足元におさめ、方向を修正しつつ相手GKの位置を確認する。次の瞬間、ロングレンジから左足を鋭く振いた。ボールはGKの頭上を擦り抜け見事ゴール!素晴らしい判断で精度も高いスーパーゴールだった。

 

 その後、相手に1点を返されるが後半26分、再び歓喜が訪れる。自陣最終ラインのDF前田花依選手から前線にロングフィードが放たれる。このボールに反応したのはFW藤澤和心選手。相手DFラインの裏へと素早く飛び出し、ペナルティエリア内でGKをかわしつつ、左サイドへと開きながらシュートを放つ。ボールは逆サイドのポストに当たりゴールマウスへと吸い込まれた。背後からのフィードに上手く対応した難しい角度からのシュートだったが、これを決めた藤澤選手の技術と瞬発力は本当に素晴らしい。第5節は攻撃陣の活躍により3-1で愛媛FCレディースが4試合ぶりに勝利を収めた。

 

 第6節は対戦チームに新型コロナウイルス陽性者及び濃厚接触者が確認されたため、開催は7月9日(土)へと延期になっている。

 

 5月1日(日)に行われた第7節では、ニッパツ横浜FCシーガルズをホームに迎え対戦。序盤に失点する苦しい展開。それでも後半に入ると、相手DFラインの背後を狙うなど、積極的な姿勢を見せた。後半26分、榎谷選手からのパスを受けた藤澤選手が敵陣・左サイドを駆け上がる。深い位置からゴール前に向けて低いクロスを供給。逆サイドからゴール前まで走り込んで来た鈴木選手が、このボールを押し込み見事ゴール! その後、スコアは動かず1-1の引き分けに終わった。

 

 第8節は5月7日(土)に行われ、敵地にてセレッソ大阪堺レディースと対戦。前半は相手の攻撃を上手く防げていたのだが、後半に2失点してしまい敗戦となった。

 

 5月15日(日)に行われた第9節では、アウェイにて伊賀FCくノ一三重と対戦。前半10分、MF松本苑佳選手のアシストを受けて藤澤選手が先制ゴールを決めるものの、その後、相手に3得点を奪われ逆転負けを喫する。

 

 5月21日(土)に行われた第10節では、スフィーダ世田谷FCをホームに迎え対戦。試合立ち上がりから自陣に押し込まれる苦しい展開が続く。前半23分、相手のセットプレーから先制点を献上。愛媛もカウンターやサイドのスペースを活かした攻撃で押し返すものの、シュートも単発に終わり追い着くことができず。0-1で試合終了。アウェイの連戦から、これで3連敗となってしまった。

 

 ここまで愛媛FCレディースは、9試合を消化して「2勝5敗2引き分け」と黒星が先行する形で、リーグ戦(12チーム中)9位という戦績。思いのほか厳しいシーズンを歩んでいる。

 

 得点機は創れているし、決して悪い戦い振りではないと思うのだが、如何せんフィニッシュ(シュート数)に関しては、物足りなさを感じてしまう。

 

 これまで、1試合におけるチームシュート数(合計数)で10本を超えた試合は1試合のみ。あとの8試合は、ひと桁台と寂しい。中には、公式記録上でシュート1本のみと記載されている試合もある程だ。

 

 女子サッカー(女子アスリート)の地位向上が思うほど進んでいない昨今、まだまだ充分な環境が整っていないというのが現状。それでも、レディースチームの選手たちは普段、仕事や学業を抱えながら、それらを終えた後の少ない時間で日々、練習に勤しんでいる。疲労を抱えた状態で臨むトレーニングや長距離移動にて身体を酷使しつつ、試合に取り組む姿には、いつも感銘を受けている。

 

 そんな状況下において、チームの問題を克服していくのには、相当な労力と時間も必要になると思う。今回、取り上げた「得点機をフィニッシュまで繋げられないこと」に関しても様々な要因があるとは思うが、ひとつのチーム課題と捉え、解決に向けて焦ることなく、じっくりと歩んで頂きたい。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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