3日、都内のホテルでNPBの「新人選択会議・高校生選択会議」が行なわれ、12球団から昨年より3名多い39選手が指名を受けた。
 投手で最も注目された最速157キロを誇る佐藤由規(仙台育英)は東京ヤクルトが、また高校通算本塁打記録(87本)をもつ中田翔(大阪桐蔭)は北海道日本ハムが交渉権を得た。また、安定感抜群の唐川侑己(千葉・成田)は地元の千葉ロッテが獲得した。
(写真:佐藤を獲得し、喜ぶヤクルト・古田兼任監督)
 2005年から高校生、大学・社会人とに2分化されたドラフト会議。今回の高校生ドラフトでの目玉は“ビッグ3”と称された佐藤由、中田翔、唐川の3人。予想通り上位2名の指名権が剥奪された西武を除く11球団がこの3選手をそれぞれ1巡目に指名した。

 2年夏からエースとして3季連続甲子園に出場した佐藤由は、今ドラフト最多となる5球団(ヤクルト、楽天、横浜、中日、巨人)から指名された。クジ抽選の結果、今季限りでの退団が決定している古田敦也選手兼任監督が見事引き当てガッツポーズ。大きなチームへの置き土産とした。

“平成の新怪物”として昨年度より注目されていた中田翔はオリックス、阪神、福岡ソフトバンク、日本ハムの4球団が競合し、最後に残りクジを引いた日本ハム・藤井純一球団社長が引き当てた。

 また、将来性と安定感では佐藤をも凌ぐと言われている唐川には広島、千葉ロッテが指名。広島・ブラウン監督、ロッテ・バレンタインと外国人監督同士となった抽選では、バレンタイン監督に好運の女神がほほえんだ。
(写真:抽選で当たり、満足そうな表情のバレンタイン監督)

“ビッグ3”を逃した8球団は、それぞれ外れ1巡目として希望の選手を指名した。広島は俊足と強肩を誇る安部友裕(福岡工大城東)、オリックスは東海地区No.1スラッガー・丹羽将弥(岐阜城北)、楽天は本格派右腕の寺田龍平(札幌南)、横浜は甲子園優勝投手の田中健二朗(静岡・常葉菊川)、阪神は“天才内野手”の異名をもつ高濱卓也(横浜)、中日は投打ともに高い実力を誇る赤坂和幸(浦和学院)、ソフトバンクは最速150キロの剛腕・岩崎翔(千葉・市船橋)、巨人は高校球界No,1の脚力をもつ藤井大介(熊本工)の交渉権を獲得した。

 獲得球団が決定した“ビッグ3”は次のように喜びのコメントを述べた。

仙台育英・佐藤由規(ヤクルト1巡目指名)
 国民から愛される選手に
「どこのチームでもプロには間違いない。将来の夢だったプロ野球選手になれるということで、すごく感動している。正直、プロ志望届けを出してからも実感がわかなかったが、10月に入ってからは緊張していた。どこへ行っても地元の人たちには応援してもらいたいので、その期待に応えられるようにしたい。最終的には全国民から応援されるような選手になりたい」

大阪桐蔭・中田翔(日本ハム1巡目指名)
 新人王狙いでいきたい
「自分を指名してくれたことはありがたいこと。日本ハムは連覇しているチームだけに魅力がある。1軍で活躍している選手に自分に足りない部分をいろいろ聞いて取り入れたい。(プロ野球は)結果を残さないといけない場所なので、自分が想像している以上に厳しいと思っている。将来的にはここぞというときに1本が出る選手になりたい。やるからには自分のベストを尽くして1年目から新人王を狙っていきたい」

成田・唐川侑己(ロッテ1巡目指名)
 ロッテは昔からの憧れ
「小さい頃からプロ野球選手に憧れていたので自分がそれになれて嬉しい。また、評価してもらった球団にには感謝したい。小さいときからマリンスタジアムに足を運んで観戦していたので、ロッテは憧れていたチーム」

 また、意中の選手を引き当てた古田選手兼任監督(ヤクルト)と高田繁GM(日本ハム)は次のように感想を述べた。

ヤクルト・古田敦也選手兼任監督
 将来は日本を代表とするピッチャーに
「5球団競合ということで、確率は低いと思ったのでビックリした。縁があって引き当てることができ、嬉しく思う。(佐藤は)スピードはもちろん、キレのあるスライダーも持っているし、バッターに向かっていく姿勢も非常にいい。意中の球団は地元の仙台だったようだが、自分も兵庫から東京に出てきた身。すごく視野も広がるし、逆に郷里のよさも分かる。いろいろな人たちと相談しながら決めてもらいたいが、ぜひ、交渉のテーブルについてほしい。(将来は)ヤクルト、リーグを超えて日本を代表とする、また世界を目指してほしいと思っているし、それだけの素材をもっていると思う」

日本ハム・高田繁ゼネラルマネジャー
 1年目からチャンスはある
「クリーンナップを任せられるパワーヒッターをぜひとも獲りたいということで、中田選手を指名した。その選手を獲れたのだから、最高。マスコミには明言していなかったが、うちは早くから中田一本で決めていた。彼も12球団OKと明言していたので、交渉もすんなりいくと思う。一日も早く1軍でクリーンナップを打つバッターに育ってほしいし、1年目からチャンスはあると思う」

<交渉権獲得決定選手>
広島
【1巡目】
 安部友裕(福岡工大城東・内野手) ※唐川の外れ指名
【3巡目】
 丸佳浩(千葉経大付・外野手)
【4巡目】
 中村憲(京都すばる・投手)

オリックス
【1巡目】
 丹羽将弥(岐阜城北・外野手) ※中田翔の外れ指名
【3巡目】
 伊藤光(明徳義塾・捕手)
【4巡目】
 山崎正貴(市船橋・投手)

東京ヤクルト
【1巡目】
 佐藤由規(仙台育英・投手)
【3巡目】
 山本斉(坂田南・投手)

東北楽天
【1巡目】
 寺田龍平(札幌南・投手) ※佐藤由の外れ指名
【3巡目】
 石田隆司(東海大仰星・投手)
【4巡目】
 菊池保則(常盤大高・投手)
(写真:「ヤクルトは素晴らしい球団。頑張ってほしい」。佐藤へ気丈にエールを送った楽天・島田社長)

横浜
【1巡目】
 田中健二朗(常葉菊川・投手) ※佐藤由、高濱の外れ指名
【3巡目】
 大田阿斗里(帝京・投手)
【4巡目】
 佐藤祥万(文星芸大付・投手)
【5巡目】
 坂本大空也(市柏高・外野手)

西武
【4巡目】
 武隈祥太(旭川工・投手)
【5巡目】
 梅田尚通(鯖江・内野手)
【6巡目】
 中田祥多(鳴門工・捕手)
【7巡目】
 斉藤彰吾(春日部共栄・外野手)

阪神
【1巡目】
 高濱卓也(横浜・内野手) ※中田翔の外れ指名
【3巡目】
 森田一成(関西・内野手)
【4巡目】
 清原大貴(常総学院・投手)

千葉ロッテ
【1巡目】
 唐川侑己(成田・投手)
【3巡目】
 植松優友(金光大阪・投手)
【4巡目】
 阿部和成(大牟田・投手)

中日
【1巡目】
 赤坂和幸(浦和学院・投手) ※佐藤由、岩崎の外れ指名
【3巡目】
 樋口賢(尾道商・投手)

福岡ソフトバンク
【1巡目】
 岩崎翔(市船橋・投手) ※中田翔の外れ指名
【3巡目】
 中村晃(帝京・外野手)
【4巡目】
 藤井翼(桜井・内野手)
(写真:中田を外し、少し悔しそうなソフトバンク・王監督)

巨人
【1巡目】
 藤村大介(熊本工・内野手) ※佐藤由の外れ指名
【3巡目】
 中井大介(宇治山田商・外野手)
【4巡目】
 竹嶋祐貴(滑川・投手)

北海道日本ハム
【1巡目】
 中田翔(大阪桐蔭・外野手)
【3巡目】
 津田大樹(倉敷・投手)
【4巡目】
 大平成一(波佐見・外野手)
【5巡目】
 松山傑(横浜商大・投手)
【6巡目】
 豊島明好(北陸大谷・投手)
【7巡目】
 浅沼寿紀(旭川南・投手)

※球団は指名順位順
※2巡目指名は大学・社会人ドラフトで入札抽選を回避しなかった球団がなかったため、該当球団はなし
※西武は上位2選手の指名なし
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