サッカー日本代表の“6月シリーズ”(キリンチャレンジカップとキリンカップ)は2勝2敗に終わった。

 

 

 2敗の相手はFIFAランキング1位のブラジルと35位のチュニジア。ブラジルに0対1は善戦だが、チュニジアの0対3はショッキングだった。5カ月後に迫ったカタールW杯に向けての課題が浮き彫りになった。

 

 チュニジアのジャレル・カドリ監督は、日本のことをよく調べていた。「日本の弱点は守備。DFが難しい状況に置かれるとミスをする」

 

 残念ながら、その通りだった。

 

 チュニジアの先制点は、DF吉田麻也のミスから生まれた。最終ラインの裏に出たボールに対し、判断を誤った吉田はペナルティーエリア内で痛恨のファウル。余計なPKを与えてしまった。

 

 試合後、本人は「あそこで滑っちゃいけない。試合を壊してしまった」と反省の弁を口にしたが、もう後の祭りだった。

 

 善戦したブラジル戦も、唯一の失点はPKによるもの。ネイマールを倒した遠藤航は、「相手は(PKを)もらいに行った感があった」と悔やんだが、ネイマールの方が一枚上手だったということだろう。

 

 この試合、日本は18のファウルをとられ、イエローカードも2枚切られた。ブラジルのチッチ監督は「戦術的ファウルが多かった。度を超えていた」とお冠だった。

 

 ペナルティーエリア内でエラシコを披露するなど、世界一のテクニックを誇るブラジル相手にタイトな守備を仕掛けるのは当然だ。プロフェッショナルファウルが必要な場面もある。

 

 しかし、ファウル覚悟の守備は大きなリスクを伴う。W杯本番でイエローカードが次々に切られたら退場を恐れて積極的な守備ができなくなってしまう。

 

 まして日本はグループリーグでFIFAランキング7位のスペイン、同12位のドイツと戦わなければならないのだ。強国にはファウルをもらうことに長けた選手がたくさんいる。その術中にはまってはいけない。

 

<この原稿は『週刊大衆』2022年7月11日号に掲載されたものです>

 


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