井岡一翔、3年7カ月ぶりニエテス戦へ「終止符打つ」~ボクシング世界戦~
12日、ボクシングのWBOスーパーフライ級タイトルマッチ(13日、東京・大田区総合体育館)の前日計量が都内ホテルで行われ、勝てば5度目の防衛となる王者・井岡一翔(志成)が52.1キロ、挑戦者ドニー・ニエテス(フィリピン)が51.9キロで、ともにリミットの52.16キロをクリアした。
先に体重計に乗った井岡だったが、なかなか係員からウエイトが読み上げられなかった。壇上から微かに漏れ聞こえてきた声は「52.2」。リミットを40グラム上回っていた。ほどなく再計量の実施がアナウンスされると、井岡は一度Tシャツを着直し、トレーナーらと会場を出た。ただ、井岡の表情に動揺の色はなかった。
「いつもアンダーではなくリミットいっぱいでクリアしているんですが、自宅の体重計がデジタルだったのでその分の誤差があった。まだ余力があったので、計る前にトイレを済ませれば良かったんですけど、そのまま来てしまった。ニエテス選手を待たせてしまって申し訳ないという気持ちはありましたが、トイレを済ませてきたらちょうどでした」
5分後、再び会場に戻り、体重計に上がった井岡。いち早くリミットを確認したイスマエル・サラストレーナーが、隣で両手人さし指を天に突き上げた後、係員も「52.1キロ」と体重を読み上げ、会場を拍手が包んだ。続いて、挑戦者のニエテスも200グラムアンダーで難なく計量をクリアした。
両者が初めて拳を交えたのは3年7カ月前、2018年の大みそかだった。ともに3階級を制覇し、4階級目の世界王座を懸けて、中国・マカオで激突した。17年末の引退から復帰2戦目だった井岡は、序盤から積極的に手を出したものの、ニエテスの老獪なテクニックを前に決め手を欠いた。結果は1-2の判定負け。アジア人3人目の4階級制覇王者を僅差で譲った。
互いに4階級制覇王者となって挑む再戦について井岡は、「次のステップに行くために、勝ってニエテス選手との戦いに終止符を打ちたい」と語った。「次のステップ」とは、かねてから目標に掲げている統一戦だ。勝利なら当然、その大一番は近づいてくる。
「前回(18年)の敗戦は受け入れましたが、何かが劣っていて負けたとは思っていない」。勝てば節目の世界戦20勝目となる33歳の井岡と、実に17年以上負けのない40歳のニエテス。因縁めいたリマッチを制し、明日リング上で己の力を誇示するのは、一体どちらか。
(文・写真/古澤航)