6月10日(金)、愛媛FC公式HPにて「DYE DYE ORANGE PROJECT(だいだい オレンジ プロジェクト)」を始動させるとの発表があった。

 

 同プロジェクトは、愛媛FC(サッカー)、愛媛マンダリンパイレーツ(野球)、愛媛オレンジバイキングス(バスケットボール)、愛媛プロレス(プロレスリング)の愛媛県プロスポーツクラブ4団体が協力し、様々な取り組みを実施していくという。

 

 主には「4団体が連携して観客を呼び込み、試合会場を橙色(オレンジ色)に染め上げ、選手たちの戦う気持ちを高揚させ、素晴らしいプレーを展開してもらう。そして、そのプレーを通じ、観客へ勇気や感動を与えたい」という思いから動き始めた。

 

 最初の取り組みとして、8月~12月に愛媛県内で開催される4試合を対象に共通チケットの販売などを検討する。この4試合での来場者数(集客数)は、合計で15555人(15555=行こうGO! GO! GO!)という目標値を設定している。各団体が持つ、ノウハウなどを共有し、目標達成に向けて7月から活動を開始している。

 

 これまでも、愛媛県のプロスポーツ団体は、(私たち、愛媛FCサポーターズクラブ・ラランジャ トルシーダも登録参加している)愛媛県プロスポーツ地域振興協議会などを通じて、運営面などで様々な交流を行ったり、協力体制を構築しながら連携を図ってきた。

 

 また、協議会を構成する自治体の協力を得ながら、観客動員に関しても色々な取り組みを展開してきたが、昨今は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、各団体とも程度には差があるものの集客には苦しんでいる状態が続いていた。

 

 そんな現状の低迷を打破するためにも今回、この4団体が手を組み、今までの協力体制よりも強固な連携の形を積極的に築いていこうとしている。集客という一面だけではなく、今回のプロジェクトが地域のスポーツ業界に、どの様な影響をもたらすのか、今後の動向にも注目していきたい。

 

 スポーツイベントに於ける観客動員数の減少に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響が最も大きな要因だが、それとは別に業界やマスコミなどでも話題となり、問題視されている「若者たちのスポーツ離れ」も関わっているのではないか。

 

 世間にてZ世代と呼ばれている若者たちのスポーツ離れ、またスポーツ観戦離れは、プロスポーツを支えている私たちにとっては深刻な問題である。

 

 生まれた時からインターネットが存在する環境に慣れ親しみ、当たり前のようにスマホやタブレット型端末を活用している20代以下の若者たち。

 

 そんな彼らの周りには、手軽で楽しいコンテンツが山のように存在する。少し手を伸ばせば、一瞬で多くのコンテンツと繋がり、楽しい時間を過ごすことが可能な時代。SNSやゲーム、動画サイトやネットショッピングなど、様々なコンテンツに囲まれ過ごしてきた世代である。

 

 わざわざ遠出してスポーツを楽しんだり、会場に出向いてプロスポーツを観戦したりするよりも、ネット上でのコミュニケーションの方が手っ取り早いし、面白いと感じているのかもしれない。

 

 私たちサポーターも参加している、愛媛FCホームゲームでの運営ボランティアの活動では、今シーズンより5名以上で参加していただく「団体ボランティア」も広く募集している。職場や学校など、様々な団体に向けて参加を呼び掛けているのだが、このところ少々、興味深い傾向が見られる。それは、学生(学校単位)の参加者が増えていることである。高校生など、10代の若い人たちが、ボランティアの活動に参加してくれるようになったのだ。現況、私が参加している試合後の撤収作業においても、高校生の数名が一緒に作業をしてくれている。

 

 社会勉強の一環として、ボランティア活動に身を投じ、奉仕の現場にて見聞を広めることが主な目的だと思う。それでも、学生たちが色々な現場がある中で「愛媛FCのホームゲーム」を選んでくれたことは素直に嬉しい。元々、愛媛FCに興味があったのか、先生に薦められたのか、理由は定かではないが、有り難いことだ。どんな理由があるにせよ、ボランティア活動を通じて、スタジアムまで足を運んでくれたのだから、この機会に是非、愛媛FCに興味を持ってもらいたい。

 

 そんな彼らには先ず、スタジアムのスタンド(観客席)の雰囲気を体感して欲しいと考えている。試合時の興奮や感動を直接肌で感じることの素晴らしさ。同じ時間、同じ瞬間に多くの人々と喜びや悔しさ等、様々な感情を共有することが出来る、この限られた空間。機械の画面からは味わえない、この感覚を地域の多くの若者達にも味わって頂きたいのである。

 

 現代科学から提供される様々なコンテンツは優れたものだと感じているし、今後の社会に於いて必要不可欠なものであることは承知している。それでも真剣勝負と熱い応援合戦が繰り広げられるスタジアムを一度体験してもらえれば、アナログチックな非日常空間の良さを「スポーツ離れ」と言われている若者たちにも、きっと理解してもらえると思うのだ。

 

 この夏休みに是非、学生の皆さんには、多くの方々と共に様々な感情を共有できるスタジアムという空間を思う存分に楽しんでいただき、たくさんの想い出を作ってほしい。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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