第301回 「整う」 ~アウェイ富山戦のPVイベント~
8月20日(土)、アウェイ(富山県)で行われる「J3第21節 カターレ富山vs.愛媛FC戦」を地元の愛媛から応援しようと、愛媛FC事務局主催によるパブリックビューイング・イベント(PVイベント)が開催された。
今回のイベントタイトルは「アウェイ富山戦を温泉で観戦~オレンジの夕陽で、ととのいながら~」である。開催日に向けて事務局からは「愛媛FC初の試み、温泉で食べながら飲みながらのサッカー観戦!」と謳われるなど、興味を惹かれる告知がなされていた。
イベントが開催される場所は、松山市北条にある温泉施設「シーパMAKOTO」。天然温泉の露天風呂やサウナなどがあり、食事や宿泊もできる総合的なリラクゼーションスペース。瀬戸内海を臨む海岸端の立地で、晴れた日には水平線に沈んでいく美しい夕陽を眺めながら入浴や食事を楽しむこともできる。事務局スタッフと温泉施設の運営者との良好な関係から、今回のPVイベントの会場に決定したそうだ。
イベント当日、私は試合開始の2時間前(午後4時半)くらいにシーパMAKOTOに到着。あいにく松山上空は曇天で、夕陽を眺めることは叶わなかったが、美味しい食事や温泉を楽しむことができた。また、この日はシーパMAKOTO様のご配慮により、施設内の食堂では「オレンジみかんかき氷」「みかん味の唐揚げ」「オレンジカクテル」など、愛媛FC応援メニューが特別販売されており、サポーターたちも食事や温泉を満喫していた。
PVが行われる会場は、シーパMAKOTOの2階・座敷宴会場。畳敷きの宴会場には、40名を超える愛媛FCサポーターが集い、プロジェクターから映し出される生中継の試合映像を観ながら、皆で応援した。会場の片隅には、オフィシャルグッズ販売コーナーも設置されていて、愛媛FCイベントらしさが感じられる空間だった。
PVには、元愛媛FC選手で、現愛媛FC U-15コーチの河原和寿さんもゲストとして来場され、試合を分り易く解説してくださった。その解説では一部、選手のユニークな裏話なども披露してくださり、会場からは笑い声も漏れた。
前半終了後のハーフタイムには抽選会が行われ、様々なグッズや温泉入浴券などが来場者にプレゼントされ、有料イベントとしての主催者側の配慮も伝わってきた。
試合中は、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策のため、会場での声を出しての応援は禁止とされていたが、拍手や手拍子での応援は可能で、私が音頭を取り、会場の皆と一緒に手拍子応援をした。会場は2階だが、一般のお客様が来られている1階フロアにも響き渡る程の手拍子応援となり、アウェイの地で戦う愛媛の選手たちに向けて気持ちを送り届けることができたと思う。
結果、試合には敗れたが愛媛の得点シーンでは会場内で大きな拍手も沸き起こり、ひとつの盛り上がりを迎えたことで、参加者の一体感も生まれた良いイベントだった。
過去、愛媛FCは屋外の大型ビジョンを利用し、街頭(松山市中心街)にてPVを開催したり、店舗や公共スペースをお借りしての応援イベントなども、たくさん行ってきた。しかし昨今、新型コロナウイルス感染症拡大などの影響もあり、人が密に集まってしまう街中(まちなか)イベントは、行うことができなくなってしまった。
今回もコロナの第7波が訪れている現在、屋内イベントの開催は難しい判断だったと思う。それでも感染防止対策を考慮した上で、勇気をもって開催に踏み切ってくれた愛媛FC事務局スタッフの方々には感謝を申し上げたい。久し振りに、多くのサポーターが集うPVに参加できて楽しかったし、会場を含む地域の方々に向けてイベントを通じ、愛媛FCのことをアピールできたからである。
PVイベントの良いところは、アウェイまで足を延ばさなくても、地元で仲間たちと一緒に応援を楽しみ、盛り上がれることだ。また、今回も会場(温泉施設)には一般のお客様も来店されているため、(イベント会場近くに訪れた)様々な方に愛媛FCのことを知ってもらえるチャンスでもあるし、皆で行う応援の楽しさを広く伝えられ、愛媛FCファンやサポーターを増やすことができる良い機会になると思うのだ。
依然として制限が求められる難しい環境ではあるが、愛媛FCの活動を地元の方々に広く知っていただくため、これからも皆が楽しめる「パブリックビューイング・イベント」を是非とも開催していただきたい。
<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。