8日、日米対抗ソフトボール2022第3戦が神奈川・横浜スタジアムで行われ、日本女子代表がアメリカ女子代表を1-0で破った。6回裏に敵失で1点を先制。先発の後藤希友が11奪三振完封で締めた。3年ぶりに開催された日米対抗は、日本が2勝1敗で勝ち越した。

 

 原田のどか、5回に強肩で失点防ぐ(横浜スタジアム)
アメリカ

0 = 0000000
1 = 000001×
日本

勝利投手 後藤
敗戦投手 ファライモ

 

 日米対抗第3戦は東京オリンピック決勝の地で行われた。オリンピックは無観客での実施だったが、今回は有観客。3年ぶりの日米対抗に月曜日のナイターにもかかわらず1万2000人を超える観客が集まった。

 

 両チームは世代交代を図っている最中だ。日本は山田恵里、山本優、渥美万奈らが攻守の要が抜けた。アメリカのオリンピックメンバーはアリー・カーダのみ。その14人中13人が20代前半だ。福島県営あづま球場での2戦は第1戦が2-1で日本、第2戦が3-2でアメリカ。1勝1敗で迎えた。

 

 日本の先発は次期エースと期待が集まる21歳のサウスポー後藤だ。第1戦で先発し、1失点完投勝ち。立ち上がりからエンジン全開とばかりに得意のストレートを軸に2者連続で三振を奪う。この回は3人で切って取った。アメリカの先発は22歳のサウスポー、ケリー・マックスウェル。こちらも日本打線を三者凡退に抑えた。

 

 両投手の好投でスコアボードにゼロが並ぶ。後藤は5回1死までノーヒットピッチング。6番マヤ・ブレイディを詰まらせたものの、ショートへの内野安打で出塁を許した。すると続く7番ジェイダ・コーディにはセンターに弾き返され、1死一、二塁のピンチを招いた。

 

 ここで日本の堅い守りが後藤を救う。後藤は8番カーダにもセンター前へ運ばれ、ブレイディはホームへ。センター原田のどかが強肩を発動した。ストライク返球。ブレイディが三塁を回った直後、バランスを崩したこともあり、悠々タッチアウトとなった。後藤はケイラ・コワリクをショートゴロに抑え、この回もゼロで終えた。

 

 好守で後藤を助けた原田はバットでも魅せた。6回裏に先頭でバッターボックスに立つと、2番手メーガン・ファライモから右中間を破る当たりを放った。「気持ちを込めてガムシャラに振った結果、間を抜けてくれた」。外野がもたつく姿を見ると、迷わず三塁を陥れた。無死三塁。願ってもない先制のチャンスだ。

 

 しかし続く2番石川恭子、3番坂本結愛は三振に切って取られた。4番藤田倭はサードゴロでチャンスは潰えたかと思ったが、サードのベイリー・クリングラーがファーストへ悪送球をしてしまう。「自分が強運を持っていることを再確認した」と藤田。待望の先制点は日本が手にした。

 

 1点のリードで最終回のマウンドに上がる後藤。先頭の4番キンジー・ハンセンをファーストゴロに打ち取る。5番グレイス・ライオンズは見逃し三振で、この試合の奪三振を2ケタに乗せると、代打シャーリーズ・パラシオスも見逃し三振。3安打11奪三振の完封で試合を終わらせた。

 

 宿敵アメリカとの3連戦。メンバーは若返ったが堅守は健在だ。ノーエラーで後藤、勝股美咲といった若手投手陣を支えた。今大会のMVPを挙げるとすれば2完投の後藤だ。第1戦は13奪三振、第3戦は11奪三振。いずれも毎回奪三振でアメリカ打線を封じ込め、次期エースとしてアピールするに十分な働きを見せた。

 

 宇津木麗華HCは「良いピッチングをしたと思うが、昔の上野(由岐子)に比べたら、ちょっと体力が足らない」と評価は若干辛いが、それは「まだ伸びしろはある」との期待の表れだろう。後藤本人も「第1戦、第3戦に投げて自分自身でも疲れたと感じた。上野さんは2連戦、3連戦も投げていたと考えると、改めて素晴らしい方だと思いました」と身を持って実感。イニング間など上野からアドバイスを受けるなど、偉大なエースの背中を追う。

 

(文・写真/杉浦泰介)

 

■そのほかの写真はこちら