19日、女子ソフトボールの『ニトリJD.LEAGUE2022ダイヤモンドシリーズ』ファイナルが埼玉・朝霞中央公園野球場で行われ、トヨタレッドテリアーズがビックカメラ高崎ビークイーンを2-0で破り、初優勝した。前身の日本リーグを含めると5年ぶり11度目のリーグ制覇。ダイヤモンドシリーズの最高殊勲選手賞はトヨタの下山絵理、優秀選手賞にはトヨタの原田のどかと、ビックカメラ高崎の内藤実穂が選ばれた。

 

 下山、ダイヤモンドシリーズ2戦連発(朝霞中央公園)

トヨタレッドテリアーズ

2=1000001

0=0000000

ビックカメラ高崎ビークイーン

勝利投手 ファライモ(1勝)

敗戦投手 濱村(1敗)

本塁打  (ト)原田1号ソロ、下山2号ソロ

 

 日本リーグ時代を含め4連覇中の女王ビックカメラ高崎を止めたのは、08年からの15年間優勝を分け合ってきたトヨタだった。
 
 東西地区王者が勝ち上がり、迎えたダイヤモンドシリーズ・ファイナル。先発は前日に引き続き、トヨタはメーガン・ファライモ、ビックカメラ高崎は濱村ゆかりが任された。
 
 試合はいきなり初回に動いた。トヨタの3番・原田が2者連続でフルカウントとなりながらも三振を奪っていた濱村のチェンジアップを打ち返した。「(1-2と)追い込まれたが我慢して振り抜いた」という打球はレフトフェンスを越えるホームラン。今季トヨタに加入した新戦力が先制パンチを見舞った。
 
 トヨタのファライモは今季途中加入の23歳、 アメリカ代表の次代のエース候補だ 。レギュラーシーズン4試合に登板し、21イニング連続無失点で終えた。前日のセミファイナルで豊田自動織機シャイニングベガ打線も3イニング無失点に抑えた。この日も立ち上がりからストライク先行で初回を三者凡退で抑えた。
 
 2回以降は投手戦。濱村は3回に1死一、二塁のピンチで鎌田優希をセカンドゴロゲッツーに切って取り、スコアボードにゼロを並べた。5回1失点とゲームをつくる。ファライモは2回、4回と先頭打者にツーベースを浴びたが、後続にヒットを打たせずゼロで凌いだ。
 
 トヨタは5回裏から後藤希友をマウンドに送る。「1-0という点差だけは崩したくなかった」という後藤は我妻悠香、片岡美結、松本怜奈を3人で抑え、上々のスタートを切った。6回からビックカメラ高崎は上野由岐子がマウンドへ。こちらも伊波菜奈、石川恭子、鎌田と左打者3人の出塁を許さなかった。
 
 後藤は6回裏、2死から工藤にヒットを打たれたものの、続く内藤はサードゴロに抑えた。7回表には下山の2試合連続アーチが飛び出し、2点のリードに。最終回のマウンドに上がった後藤は藤田倭、藤本麗、我妻という日本代表に名を連ねる3人をセンターフライ、ピッチャーゴロ、レフトフライに仕留めた。
 
 2-0でゲームセット。トヨタがJD.LEAGUE初制覇、5年ぶりの日本一に輝いた。ここ4シーズンはビックカメラ高崎の後塵を拝していたが、「チャレンジャー。最後までトヨタらしく戦おうと思った」(鎌田)の姿勢で、その牙城を崩した。
 
 今季はレギュラーシーズン24勝5敗で西地区を制した。「1試合1試合成長してきた」と下山。総得点はリーグ最多、総失点はリーグ最少と攻守に隙がなかった。エースの後藤は14勝1敗、防御率0.83。三輪さくらも8勝2敗、防御率1.06と続いた。今季を無失点で終えたファライモを含め投手陣は盤石。鎌田、石川の二遊間を軸に堅い守備も光った。ダイヤモンドシリーズでは豊田自動織機戦(3-0)に続き、ビックカメラ高崎にも完封勝利を収めた。
 
 打線は下山がブレイクし、9本塁打、24打点で打撃2冠を手にした。馬場幸子監督は下山の成長について、「元々長打力のある選手。今年は苦手なコースに対して取り組んできたことが大きかった」と振り返る。「声出し担当」(馬場監督)という新加入の原田もムードメーカーとしてだけでなくバットでも貢献。5本塁打、23打点をマークした。バッバ・ニクルスを含めた3人は打率3割、20打点以上と強力打線を牽引した。「選手全員がチームのために1人1人の役割をやり切ってくれた」と馬場監督は選手たちを称えた。
 
(文・写真/杉浦泰介)
 
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