(写真︰朝霞行きの切符を手にしたHondaキャプテンの下村)

 12日、女子ソフトボールリーグの「JD.LEAGUE」プレーオフ2ndステージが神奈川・等々力球場で行われた。東地区3位のホンダリヴェルタが同2位の日立サンディーバに延長8回タイブレークの末、8-7で下した。西地区2位の豊田自動織機シャイニングベガはワイルドカード(東地区4位)のデンソーブライトペガサスを5-1で破った。ホンダと豊田自動織機は18日からスタートする埼玉・朝霞中央公園野球場でのダイヤモンドシリーズに進出。ホンダは東地区1位のビックカメラ高崎ビークイーン、豊田自動織機は西地区1位のトヨタレッドテリアーズと対戦する。

 

 今季レギュラーシーズンの対戦は日立の2勝1敗だった。2-0、1-2、2-1といずれも接戦。ダイヤモンドシリーズ進出をかけた一戦は激しい打撃戦となった。

 

 先に動いたのは日立だ。「どうしても先手を取りたかった」と日立の村山修次監督。2回裏、先頭の5番・山内早織が四球で出塁すると、代走の山本ひなのを送った。続くハンナ・フリッペンのセカンドゴロで得点圏にランナーを置いた。藤森捺未が四球で出ると、8番・女鹿田千紘に代打・田内愛絵里を送った。しかし、ここはホンダ先発アリー・カーダに踏ん張られ、空振り三振。唐牛彩名もサードゴロに打ち取られ、ゼロに抑えられた。

 

(写真︰先制弾を放った渡邉<5>祝福するホンダベンチ)

 するとホンダが一発攻勢を仕掛ける。2回までパーフェクトに抑えられていた日立先発の長谷川鈴夏から先頭の7番・渡邉瑞貴が一閃。「塁に出ることだけに集中して打席に立った」と言うが、ライトフェンスを越えるホームランで先制した。続く下村歩実がピッチャー強襲の内野安打で出塁。1死後、1番・大工谷真波が打った瞬間に、それとわかる当たりの2ランを放った。「送りたい場面で(前の打者が)バントを失敗した。このままでは相手の流れにいってしまうと思い、自分が流れを変えたかった」

 

 その裏、日立も1番・杉本梨緒、2番・山口みどりの連打などで1死満塁のチャンスをつくる。ここで5番・山内のセンター前へのタイムリーが飛び出し、1点を返した。しかし走塁ミスなどもあり、この回は1点を返すにとどまった。それでも3回途中からマウンドに上がった坂本実桜が流れを引き戻す。4、5回をいずれも三者凡退に切って取った。

 

 村山監督が「初回からチャンスはつくっていたので、3点であれば選手も追いつけるというマインドだった。そこは心配していなかった」と語った打線は5回裏、指揮官の期待とキャプテンの奮投に応えた。ランナー2人を置いて7番・藤森がレフトオーバーの2点タイムリーツーベースで3-3の同点にした。「同じ左バッターの山口選手が、『ここを絞った方がいい』と情報をくれた」。アウトコースの球を踏み込んで打った。

 

(写真︰チームメイトを笑顔で迎える坂本美桜<右>)

「一瞬一瞬を楽しんで、自分らしいピッチングをすれば周りに伝染する。1球1球悔いがないように思い切り投げました」。坂本実桜はマウンド上で何度も笑顔を見せていた。それは3回、急遽マウンドに上がり、ピンチを迎えた時も同じだった。「ここ最近の試合であまり笑うことができてなかった。やるからには自分らしく戦いたいと思っていた。自然と笑顔になっていました」

 

 この坂本実桜に4、5回に続き、6、7回も三者凡退に抑えられていたホンダ打線。タイブレーク(無死二塁からスタート)に突入すると、先頭の安山涼香が送って1死三塁とした。1番・大工谷は打ち取られ、サード方向へのゴロとなったが、サード坂本結愛の送球が逸れ、ホンダが1点を勝ち越した。3番・木村愛がレフトへ弾き返し、1点を追加。塚本蛍が四球で繋ぐと、5番・長谷川優理の3ランが飛び出した。「追加点が欲しい場面だった。(凡打した)前の打席の反省を生かし、いいバッティングができた」。この回、一挙5得点のビッグイニングとした。

 

(写真︰トドメを刺す長谷川の3ラン。結果的にこの一発が大きかった)

 このまま終わらないのが日立の強力打線だ。杉本の2ラン、山口のヒットで、カーダをマウンドから降ろした。代わったジェイリン・フォードからも山内のタイムリー、フリッペンの犠牲フライで1点差に迫り、意地を見せたが、高瀬沙羅が空振り三振に仕留められ、万事休した。

 

 試合時間は2時間36分にも及ぶ激闘だった。「一番はホッとしているのと、選手に感謝しています」とホンダ加藤一秀監督。最後までどちらに転ぶかわからない打撃戦を制した。

 

 

(文・写真/杉浦泰介)