2022JリーグYBCルヴァンカップ決勝のセレッソ大阪対サンフレッチェ広島の一戦が22日、国立競技場で行われ、広島が2対1で勝利した。試合は後半8分にFW加藤陸次樹の得点でC大阪が先制する。しかし、後半アディショナルタイムにFWピエロス・ソティリウが2ゴールを奪い、広島が逆転でルヴァンカップ初優勝を果たした。

 

 途中出場のソティリウが広島を救う(国立競技場)

セレッソ大阪 1-2 サンフレッチェ広島

【得点】

[セ] 加藤陸次樹(53分)

[サ] ピエロス・ソティリウ(90+6分、90+11分)

 

 昨年のルヴァンカップ決勝で涙をのんだセレッソ大阪、先週の天皇杯決勝でJ2・ヴァンフォーレ甲府に屈したサンフレッチェ広島。どちらもタイトル獲得で雪辱を晴らしたい。C大阪は4-4-2のカウンター、広島は3-4-2-1で前線からのアグレッシブなプレスで流れを引き寄せようと試みる。

 

 前半4分、C大阪のカウンターが牙をむく。FW上門知樹が持ち上がり、右サイドのMF毎熊晟矢に展開。毎熊が右サイドの深い位置から再び上門にパスを送り、ダイレクトシュートを放つがシュートは惜しくもゴール右に逸れた。

 

 対する広島、前半終了間際にMF川村拓夢が左サイドからGKとDFの間に高速クロスを供給するが、わずかにゴール前のMF満田誠に合わなかった。お互いにストロングポイントを出し合う前半となった。

 

 均衡が破れたのは後半8分だった。広島のDF佐々木翔がGK大迫敬介にバックパスを選択。しかしこのパスをC大阪の加藤にカットされ、勢いそのままにGKをかわしゴールネットを揺らされた。この場面だけを見ればボールを大事にするスタイルが仇となってしまった。

 

 18分に広島のミヒャエル・スキッベ監督が動く。MF松本泰志に代えてソティリウをピッチに送り込む。この交代が終了間際に奏効した。

 

 広島の右CK、キッカーの満田は右足でクロスを送ると、競り合いの中でC大阪のDF鳥海晃司の手にボールが接触。主審はオンフィールドレビューの末にPKを取った。このキックをソティリウが冷静にゴール右に流し込み、広島は土壇場同点に追いついた。

 

 その数分後、またしても広島は右サイドのCKを得る。満田の正確なキックはエリア中央に走り込むソティリウの右足にピタリとあい、ゴールネットを揺らした。途中からピッチに立ちチームを救う2ゴールを決めたソティリウが広島の救世主となった瞬間だった。

 

 最後の最後で逆転に成功した広島がこのまま逃げ切り、カップ戦初優勝を成し遂げた。貴重な逆転ゴールをアシストした満田は得点シーンをこう振り返った。

 

「中にたくさん競れる選手がいるので良いところに蹴れば点を取ってくれると思い、思い切って蹴った。しっかりと合わせてくれてよかった。(天皇杯を逃し)悔しい思いをさせてしまった分、結果で恩返しをしたくて1週間頑張ってきた。タイトルで恩返しができて広島の方々に感謝したいです」

 

 かつて広島に所属した経歴を持つJ3・テゲバジャーロ宮崎の工藤壮人さんが先日、水頭症により亡くなった。工藤さんに捧げるタイトルとなった。

 

(文/大木雄貴)