森保J、スペイン撃破でE組1位通過! ~カタールW杯~
サッカーカタールW杯E組最終節の日本代表対スペイン代表戦が行われ、日本がスペインに2対1で勝利した。試合は前半11分、スペインのFWアルバロ・モラタにヘディングで先制を許した。後半に入ると日本は3分にMF堂安律(フライブルク)が、6分にMF田中碧(デュッセルドルフ)が立て続けに得点し、見事逆転勝利を収めた。この結果、日本がE組首位、スペインが2位でノックアウトステージ進出を果たした。ドイツは2大会連続でグループリーグ敗退となった。日本は5日24時(日本時間)、ノックアウトステージで前回大会準優勝のクロアチア代表と対戦する。
森保監督、ドンピシャ采配(ハリファ)
日本代表 2-1 スペイン代表
【得点】
[日] 堂安律(48分)、田中碧(51分)
[ス] アルバロ・モラタ(11分)
日本はスペインを相手に5バック(5-4-1)に近い3-4-2-1の布陣で臨んだ。ボール保持を得意とするスペインに序盤から支配率を高められた。
日本が失点した時間は前半11分。MF守田英正(スポルティング)のクリアーがFWニコ・ウィリアムズに拾われ、右サイドバックのセサル・アスピリクエタに渡る。アスピリクエタにクロスを入れられるとセンターフォワードのFWアルバロ・モラタにヘディングでゴールを許した。しかし、失点した時間帯が早かったことが不幸中の幸いだった。
スペインは4-3-3の中盤のインサイドハーフを担うMFガビとMFペドリが低い位置までおりてビルドアップに参加していた。序盤はこのふたりを捕まえきれずにいたが、DF谷口彰悟(川崎フロンターレ)とDF板倉滉(ボルシアMG)が相手陣地まで果敢についていく修正を施した。ただ引いて守るのではなく、機を見て相手プレーヤーを捕まえにいく守備が破綻を防いだように映った。
すると、徐々に日本はショートカウンターから好機を作り始めた。25分には自陣から谷口がボールを左サイドのDF長友佑都(FC東京)につける。そこからDFラインの裏を狙うMF鎌田大地(フランクフルト)にパスが通るがオフサイド。36分にはMF伊東純也(ランス)からボールを受けた鎌田がペナルティーエリア内から右足でシュートを放つが惜しくもゴール右に外れた。
後半の頭から森保一監督は動いた。MF久保建英(レアル・ソシエダ)に代え堂安を、長友に代えてMF三笘薫(ブライトン)をピッチに送り込んだ。
後半3分、森保監督の采配が早くも当たった。敵陣左サイドから三笘が縦方向を遮断するように相手右サイドバックにプレス。GKにバックパスが渡るとFW前田大然(セルティック)が追いかける。浮き球でパスを試みたがこれをペナルティーエリア外の右サイドでMF伊東純也(ランス)がヘディングで競る。セカンドボールを堂安が拾いエリア外右サイドから右足を一閃。ニアを狙った鋭いシュートはGKの手を弾きゴールネットに突き刺さった。日本が息を吹き返した瞬間だった。
その3分後、またしてもサムライ・ブルーが躍動する。伊東、堂安らの連係から右サイドを突破する。堂安は右足で低く速いクロスを入れるがファーに流れる。ゴールラインを割るかに思われたボールに三笘が追いつき左足で折り返すと、MF田中碧(デュッセルドルフ)が右ヒザで押し込みゴールネットを揺らした。三笘が折り返す際に、ゴールラインをボールが割っている可能性があるため、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入。レフェリーが映像を確認した結果、インプレーと判断され日本にとって大きな大きな2点目が認められた。
この後、スペインに押し込まれる展開が続いたものの、日本は前線にフレッシュな選手を送り込みプレスがゆるまないようベンチが動き続けた。俊足のFW浅野拓磨(ボーフム)がワントップの前田に代わると独力で前線までボールを運び時計の針を進めた。
7分のアディショナルタイムを経て、試合終了。日本は“無敵艦隊”スペインを破り、グループEを首位で突破。初となるW杯2大会連続決勝トーナメント進出を決めた。
森保一監督コメント
「選手たちはタフに粘り強く戦ってくれました。試合は苦しかったですが、チーム一丸となって戦ってくれました。サポーターのみなさんが日本からエールを送ってくれていました。できるだけ、失点を抑え、得点を狙っていた。みんなでつないだ勝利だと思います。目標はベスト8ですが、世界と戦えるという違った新しい景色を(選手たちが)見せてくれました。ですが、ベスト8に行きたい。苦しい試合でしたが、皆さんと一緒に喜べて嬉しいです」
(文/大木雄貴)
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