熱戦が繰り広げられたサッカーカタールワールドカップが閉幕すると一気に年末モード突入です。監督、コーチ、スタッフ陣、選手たちはお疲れ様でした。目標としていたベスト8には手が届きませんでしたが、日本サッカーの新時代の到来を感じさせてくれました。なんだが、選手たちの活躍に僕も触発されました! 負けてばかりはいられませんね。

 

 新しい監督像

 

 森保一監督率いる日本代表は、優勝経験チームのドイツ、スペインを下してベスト16に進出しました。戦いぶりを見ていると、劣勢の方が森保監督の判断が鈍らなかった、という印象です。5枚の交代枠を駆使してどうやって劣勢から攻勢に引っくり返そうかを常に考えていたのでしょう。

 

 しかし感慨深いものがあります。Jリーグ開幕から約30年。日本人選手のレベルが向上し、人材も育ってきている。新時代のスタート、新しい未来へとつながるW杯でした。おそらくですが、僕が支配人を務める鹿島ハイツスポーツプラザでかつて合宿した選手たちも少なくないはず。指導者にしても「鹿島ハイツで講義を受けました」という方々もいます。日本サッカー界に少しでも貢献できているのは大変嬉しいです。僕もこれから頑張らないと。

 

 森保一監督の続投が決定しました。彼は新しい監督像を築きつつあります。一歩引いた目線でチームを観察し、選手やコーチの意見に関してはかなりウェルカムな姿勢です。実はこれ、結構難しいように思います。基本、監督が方針を決めてトップダウン的なやり方が一般的ですし、ある意味楽だったりします。キャプテンの吉田麻也も監督と選手間をつなぐパイプ役を見事にこなしてくれていたようです。これからの4年はもっとシュートを積極的に打ってくれるようなスタイルを期待したいなぁ、と小言もあります(笑)。せっかくスペイン戦で見せたMF堂安律(フライブルク)のようなえげつないスピードのシュートを打てる日本人が現れたんですから、どんどんミドルを打ってほしいものです。

 

 サッカーが生涯スポーツに

 

 カタールの地では熱戦が繰り広げられましたが、僕個人の活動も少しだけ。JFAシニアフェスティバル in 千葉 ~千葉県高校サッカー部OB交流フェスティバル~の第2回目の開催が決定しました。2023年1月8日にJFA夢フィールド幕張にて。前回は約400人集まりましたが、今回は700人くらい集まりそうです。昨年は八千代松陰のオーバー50に決勝で負けました。めちゃくちゃ悔しかったので、今年こそは優勝したい。数年後にはオーバー60に参戦し、全国優勝を目標にしています。

 

 近頃、徐々にシニア層のサッカー大会が開催されたり、ウォーキングサッカーというものができたりとサッカーが生涯スポーツになりつつあります。この動きは、サッカーに携わる者としてとても喜ばしい。ひと昔前は、「サッカーは若い人しかできない」なんて囁かれていました。それが年齢を重ねてもずっとできるスポーツになるのは素晴らしいことです。僕は年始の大会に向け、毎日50分のジョギングと孫たちとボールを蹴っています。年始は優勝して、勝利の美酒に酔いしれたいものです。コンディションの維持はしっかりしたいと思います。そうでないと、ジーコに怒られそうだから(笑)。

 

 さてさて、早いものでもう年の瀬です。今年も僕のコラムにお付き合いいただき、誠にありがとうございました。来年も僕の目線でサッカーを語っていきたいと思います。それではみなさん、よいお年をお迎えください。

 

●大野俊三(おおの・しゅんぞう)

<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザの総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。

*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。


◎バックナンバーはこちらから