愛媛FCトップチームは、昨年の11月12日(土)にホームゲーム最終戦(第33節)を迎え、試合後のセレモニーでは石丸清隆監督の(2023シーズン)続投が伝えられた。翌週の11月20日(日)には、2022シーズン最終戦(第34節)がアウェイの福島にて行われ、リーグ公式戦の全日程が終了。

 

 愛媛FCのJ3リーグ初年度の戦績は「14勝10敗10引き分け(勝ち点52)」となり、リーグ戦の最終順位は(18チーム中)7位という結果。シーズン開幕前に「J3優勝を成し遂げ、J2復帰。」という目標を掲げていただけに不本意な成績と言わざるを得ない。

 

 結果としてファンやサポーター、支援者の期待を裏切る形となり、来季への不安を抱くゴール裏サポーターたちは、ホームゲーム最終戦セレモニー終了後、クラブに対して提案を行い、愛媛FCとサポーターとのミーティングの開催が検討されることになった。

 

 シーズン終了から約1カ月後の12月24日(土)、愛媛FC事務局主催によるクラブとサポーターによる「情報交換会」が愛媛県武道館(松山市)の1階・大会議室にて開催された。

 

 クラブからは代表者として愛媛FC取締役の村上茉莉江さんと愛媛FCゼネラルマネージャーの青野大介さん、進行役として事務局スタッフ数名が出席。会場には20名程のサポーターが詰め掛けた。

 

 新型コロナウイルス感染症の第8波が訪れていることもあり、ミーティングは1時間30分という時間制限が設けられ、質疑応答での質問は(1人あたり)2分以内と定められた。

 

「情報交換会」は午後1時に開会。代表者による挨拶後、ネットにて事前に募集していたサポーターからの質問への回答が行われ、その後、質疑応答へと進んだ。

 

 ※「情報交換会」の模様は愛媛FC公式YouTubeチャンネルに掲載されておりますので、ご興味がある方は、こちらからご覧ください。

 

 予定時間を超え、約1時間45分に及んだミーティングでは、クラブ側の将来を見据えた考えやサポーター側の思いなども伺うことができ、今後の活動へのモチベーションにも繋がるのではないかと思えた。反面、一方通行的な考えや思いの主張に終始し、回答内容への更なる質疑等、意見のやり取りが充分には行えず、事象の詳細な分析までには至らなかったことは残念に感じている。

 

 それでも、来季への準備で忙しい中にも関わらず、ミーティングを開催して頂いたことは、クラブ側(愛媛FC事務局)へ感謝申し上げたい。ファンやサポーターが抱いている不安を少しでも払拭してもらうための良い機会を作って頂いたと思うからである。

 

 8年程前までは、定期的にクラブ側とのサポーターミーティングが開催されており、必要に応じてフロント陣との緊急ミーティング等も行われていたのだが、ここ数年は、このような場も設けられてはおらず、クラブとの距離を感じ始めていたところだ。そんな中、今回のような機会が復活したことは、大いに喜ばしいことであると思える。

 

 私がサポーター組織を立ち上げてから間もなく23年を迎える。長く愛媛FCと共に歩んできた中、クラブと直接的に対話することができ、お互いの思いや考え方を尊重し合えることが、愛媛FCの魅力だと感じているし、他のクラブにはない武器でもあると思っている。

 

 今回の復活を機に、今後もミーティング開催を不定期でも構わないので、続けて頂きたく切に願っている。

 

 2022シーズン、愛媛FCでは新たなプロジェクトにも挑んでいる。チームや選手たちからの要望に応えるべく、このところ環境整備へと積極的に取り組んでいるのである。昨年の4月には、天然芝グラウンドを持つトップチーム専用の練習場が完成し話題となった。

 

 また、練習場に付随するクラブハウス内のトレーニングルームの充実を目指し、トレーニング器具とメディカル器具の購入のため「みんなで紡ぐ~愛媛FCサンパークプロジェクト~」と題し、クラウドファンディングを実施した。5月にスタートした、このクラウドファンディング計画には、多くの支援者やファン・サポーターが参加し、見事、目標金額である1000万円を超える資金調達に成功し、トレーニングルームを完成させることができたのである。私も微々たる額の出資ではあるが、協力させて頂いたこともあり、プロジェクトが成功して安堵している。その後、金額に応じたリターン(返礼品)も頂いたが、支援者やファン・サポーターが本当に欲しくて、本当に待ち望んでいる返礼品は、愛媛FCの公式リーグ戦での「勝利」や「J2復帰」という結果ではないだろうか。

 

『ご協力頂いた皆さんへ返礼品を届けたから、また施設が完成したから、もうこの案件(プロジェクト)は終了。』ではなく。クラブの方々やトップチームの選手・スタッフの方々には、私たちがそういった思いを込めて、クラウドファンディングへ参加したということを、しっかりと心に刻んでもらい、新シーズンへ向けて、気持ちを引き締め取り組んで頂きたいのである。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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