昨シーズン(2022シーズン)の高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ四国にて素晴らしい戦い振りを魅せてくれた愛媛FC U-18。昨年7月のコラムでもお伝えした通り、無敗のまま、序盤戦を戦い終えたが、その後も連勝を積み重ね、リーグ戦首位のまま、負け無しで最終節(第18節)まで辿り着いた。

 12月3日(土)、プリンスリーグ2022四国の最終戦は、ホーム(愛フィールド梅津寺)での「カマタマーレ讃岐U-18」との対戦であった。立ち上がりから積極的な攻撃を見せる愛媛FC U-18。時間はかかったが前半42分にDFでキャプテンの小野成夢選手の得点で愛媛が先制。その4分後の前半アディショナルタイムには、DF新田羽海選手が追加点を決め、2点リードで後半へ。後半31分には、MF川口蒼友選手のアシストからDF占部天寿選手が3点目を決める。39分には途中出場のFW松田春文選手が期待に応え4点目をゲットし、そのまま試合終了。最終スコア4-0で愛媛FC U-18が見事、プリンスリーグ最終戦にて快勝した。

 

 なんと愛媛FC U-18は、第8節から最終節まで驚異の11連勝をマークした。最終戦績は「17勝1分け0敗(勝ち点52)」。2位に勝ち点差12と大差をつけ、プリンスリーグ2022四国にて圧巻の優勝を成し遂げた。この結果により、高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2022プレーオフ(プレミアリーグ参入戦)への出場権を手に入れたのである。

 今回、何より誇らしいのは、無敗でのプリンスリーグを制覇したことだ。今更、タラレバを口にするのは良くないが、第7節の引き分け試合(相手の倍以上のシュートを放ち、先制ゴールも決めたものの、PKで同点に追い着かれてしまった試合)が、もし勝利していれば“全勝優勝”だっただけに少々、悔しさも残る。それでも、文句のつけようがない素晴らしい成績なので、選手たちやスタッフを褒めてあげたいし、応援する立場として、沢山の喜びを分かちえたことに感謝申し上げる。

 試合後、選手たちはサポーターの前で優勝カップを掲げてくれた。会場全体が歓喜に包まれた。それと同時に「カンピオーネ カンピオーネ オーレ オーレ オーレー!~」。無敗優勝を成し遂げた選手たちを称える、愛媛FCサポーターによる笑顔溢れるチャントが何度も繰り返された。

 また試合後には、(プリンスリーグ四国の)大会主催者より各種の表彰が行わた。めでたいことに愛媛FC U-18の小野成夢選手が最優秀選手賞(MVP)を獲得した。リーグ戦では、CBのポジションながら4得点2アシストを決めるなど、攻撃面でも素晴らしい活躍を魅せてくれた。もちろん守備では、最終ラインのコントロールを行いながら、巧みに相手の攻撃の芽を摘み取り、足元にボールを納めると落ち着いたプレーを随所で魅せてくれていた。そしてキャプテンとしてチームの精神的支柱の役割を果たし、選手たちを上手くまとめてくれた。毎試合後、疲れている中にも関わらず、サポーターの元に挨拶に来てくれるように、周りに気遣いができる素晴らしいキャプテンでもある。


「小野成夢キャプテン。MVP受賞、おめでとうございます!」

 

 2022シーズン無敗優勝を成し遂げた愛媛FC U-18ではあるが、そこへの道程は簡単なものではなかった。昨年3月、愛媛FCは愛媛FC U-18の主力選手であるGK牧口一真選手、MF行友翔哉選手、DF新田羽海選手の3名を、トップチーム登録(2種登録)することを発表。本人たちにとって、プロの選手たちと一緒に練習を行ったり、Jリーグの試合へ出場することは嬉しいことだと思うし、良い経験にもなる。もちろんU-18チームにとっても誇らしいことだが、これにより、上記の選手たちがトップチームの公式戦や練習に帯同することもあり、(シーズン中)プリンスリーグに出場できない試合があった。その他にもケガや体調不良などで出場できない選手も出てきて、監督やコーチ陣もリーグ戦の出場メンバーの遣り繰りが大変だっただろうと思われる。

 

 それでも、チーム一丸となり「無敗のまま優勝」という偉業を成し遂げたのだから、この優勝は本当に価値があるものだと思えるのだ。私たちサポーターとしても「四国最強のクラブ・アカデミー復活」を大いに喜び称えたい。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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