プレミアプレーオフのトーナメント表

 前回のコラムでも、お伝えした通り、昨年(2022年)の高円宮杯JFA U-18サッカープリンスリーグ四国にて素晴らしい成績での優勝を成し遂げた愛媛FC U-18チーム。この結果により、高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022プレーオフ(プレミアリーグ参入戦)への出場権を手に入れた。

 

 プリンスリーグ終了から僅か6日後。休む間もなくスタートする参入戦(プレーオフ)は、日本の各地域のリーグ戦を勝ち上がったチームや(プレミアリーグ成績下位で)入れ替え戦へと回ったチームなど、全18チームが6つのブロックに分かれ勝ち抜き戦(トーナメント戦)を行い、各ブロックの優勝チームのみプレミアリーグ2023に参入する権利が与えられる。

 

 愛媛FC U-18チームは「Aブロック」に振り分けられ、(2022年)12月9日(金)に行われた初戦(1回戦)ではV・ファーレン長崎U-18(プリンスリーグ九州2位)と対戦することになった。

 

 Aブロックの試合会場は「エディオンスタジアム広島(広島県広島市)」。最大5万人を収容できるJ1規格の巨大なスタジアムである。

 

 平日の昼にも関わらず、私を含め愛媛FCサポーター有志6名が現地に駆け付け応援することになった。松山市から4時間掛けてスタジアムへと到着。その後、横断幕をバックスタンドに設置し、応援の準備を進める

 

 幸いにも、今大会では制限付き(座席はスタンドの1ブロックのみ。マスク着用)ではあるが「太鼓の使用」や「声出し応援」が可能となっていた。既にJリーグ(2022シーズン)では「声出し応援」が許可されているが、プリンスリーグ四国では、相変わらず「声出し応援」は禁止されており、会場によっては、コロナウイルス対策として入場や観戦不可の試合もあった。それだけに、2022シーズンの最後を締め括るプレミアプレーオフで「声出し応援」ができることは、私たちサポーターにとって喜ばしいことだった。

今季(2022シーズン)ここまで、選手個々の名前をコールすることさえ叶わなかった。この日はスタメンやサブのメンバーの名前まで、気持ちを込めて全力でコールさせていただいた。

 

 そんな応援チャントがスタジアムに木霊する中、行われたV・ファーレン長崎U-18戦。相手の攻勢に押されながらも耐え続けた愛媛が、後半31分のMF喜安康生選手のゴールで先制。その1点を守り抜き、1-0で勝利。愛媛FC U-18が優勝決定戦へと駒を進めた。

 

Aブロック。愛媛FCの対戦相手

 12月11日(日)に行われた優勝決定戦では、プレミアリーグEASTに所属する市立船橋高校と対戦した。この日は日曜日。愛媛FCのトップチーム、レディースチーム共にシーズンオフを迎えており、サポーターは時間に余裕があった。更には、U-18世代を描いた大人気サッカー漫画「アオアシ」の効果もあり、会場(エディオンスタジアム広島)には、20名を超えるゴール裏サポーターが詰め掛けてくれ、迫力ある「声出し応援」を展開することができた。

 

 試合は、立ち上がりに失点する苦しい展開。更に前半32分にはオウンゴールを献上。それでも、得点チャンスを創り出し、反撃を試みる。相手を上回る14本のシュートを放つが、得点には結び付かず試合終了。0-2で愛媛は惜しくも敗れる結果に。残念ながら今季もプレミアリーグ昇格を手にすることは叶わなかった。

 

 この試合が初戦の市立船橋高校に対して、愛媛FC U-18は中1日での試合となり、疲労が蓄積している状態だった。疲労だけでなく、1回戦にケガをして出場できなくなった選手に変わり、不慣れなポジションに控え選手を起用せざるを得なかったりと、

万全なチーム状況ではなかった。そんな中でも、選手たちやチームスタッフは、強豪チームを相手に良く頑張ってくれた。

 

 3年生たちは、この試合を最後にU-18チームから卒団するが、2年生や1年生は先輩たちの意志を引き継ぎ、プレミアリーグ昇格を是非とも成し遂げて欲しい。

 

 愛媛FC U-18チームには、選手たちのお父様やお母様、ご家族などで構成されている「愛媛FC U-18 保護者会」という組織がある。いつも試合会場で、横断幕の設置を手伝っていただいたり、私たちサポーターに飲み物などの差し入れをしてくださったりとまるで“サポーターのサポーター”のような存在で、とても感謝している。そんな保護者会の方々から、広島での激闘を終えた試合後、またその後日、スタジアムでの私たちの熱い応援に対して、感謝の言葉をたくさん頂戴した。

 

バックスタンドに展開された愛媛FC横断幕

 「息子(選手)の名前をコールしてくださったことが、本当に嬉しかった」と、私に対して涙を流して感謝の気持ちを伝えて下さった保護者の方。

 

「息子が携わっているにも関わらず、今までサッカーに興味がなかったのですが、スタジアムでの声出し応援を体感し、その迫力に感動して、サッカーが好きになりました」と話してくださった選手のお母様。

 

 その他にも、様々な言葉で私たちに感謝の気持ちを伝えてくださったのである。卒団までの僅か3年間という短い間での関係性ではあったが、感謝の言葉をいただき、選手たちや、そのご家族との絆が感じられ、私も心を震わされるような感覚を覚えた。

 

 私の故郷にサポーター文化を根付かせ、スポーツを通じた新たな形のコミュニティを創るべく取り組んできて、早いもので25年目を迎えようとしている。私が目指す愛媛FCを通じた新たなコミュニティの創造とサポーター文化の構築には「応援や支援」という活動が、とても重要であると再認識した2022年の年の瀬でもあった。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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