3月18日(土)、松山市において桜の開花が発表されたこの日、愛媛FCレディースが参戦する「プレナスなでしこリーグ1部」が2023シーズンの開幕を迎えた。

 

 昨年は、(12チーム中)11位という残念な戦績でシーズンを終えることになってしまった愛媛FCレディース。不本意な形での1部リーグ残留となっただけに、今季こそは巻き返しを図り、上位進出に向け、ひと花咲かせたい。

 

 2月に行われたキックオフフェスタでは選手や監督が今季に賭ける強い思いを語っていただけに私たちサポーターの期待感は高まっていた。ところが、アウェイの地で行われた開幕戦では4失点して敗戦。その後も敗戦や引き分けを繰り返し、ようやく6戦目にて今季初白星。リーグ戦での約1年ぶりの勝利に皆が歓喜したのだが、第7節終了時点では、この1勝のみ。戦績は「1勝2分け4敗」で12チーム中10位。苦戦を強いられ、最下位争いに巻き込まれている。サポーターからは“このままでは、昨年の悪夢を繰り返すことになるのでは……”と心配する声も多く聞かれる。

 

 試合を観る限り、選手たちが全力で戦っていることは間違いなく、勝利を渇望するような気持ちが伝わってくるプレーを随所で見せており、チームに対しての不満を口にすることには躊躇いも感じる。

 

<愛媛県総合運動公園球技場(天然芝グラウンド)>

 不満な点は、戦績だけに留まらない。リーグ公式戦としての試合運営上の環境面にも不満な要素がある。それは、ホームゲームの会場である愛媛県総合運動公園球技場(天然芝グラウンド)のピッチコンディションが若干荒れ気味であるということ。所々、芝が剥がれ(芝が育たず)、土が露わになっている。プレー中、ボールがイレギュラーバウンドする場面も見受けられ、何より“選手のケガに繋がるのでは”と危惧している。

 

 球技場であるため普段、サッカー以外にもラグビーやグラウンドゴルフなどの試合が行われており、芝の剥がれが起こる原因は容易に想像できるが、アマチュア最高峰の「なでしこリーグ1部」の公式戦の会場としては問題があるように感じてならない。

 

 この件に関しては、施設管理者に対してクラブ側から芝の整備を要請してくれてはいるようだが、天然芝の根付きには養生期間を含め、少々時間を要することになるかもしれない。

 

 また、得点や時間を表示する仮設式の電光掲示板が上手く作動しないことがあり、画面に何も映らなかったり、時計が動かなかったりと不具合が多い。確かに、この電光掲示板は20年近く使用されている古い物だ。耐用年数的に故障しても不思議ではないが、試合中に得点を確認することも難しい場合があり、有料試合としての観客へのサービスという部分にも問題が生じているように思えてならない。

 

<天然芝の剥がれが目立つピッチ>

 ここまでは、環境面の不満点を挙げさせていただいたが、どの点も施設管理者やクラブ側だけの責任という訳ではなく、私たちの責任でもあると思っている。各地域における公共施設の環境面の整備が上手く進んでいないのは、その地域に暮らす私たちの意識や支援が充分とは言えないからである。スポーツなどへの根本的な理解や意識を変えていかない限り、良い変化を生み出すことは叶わないのではないだろうか。

 

 今季から声出しでの応援も可能になった「なでしこリーグ1部」。チームが苦しい今、この時こそ、多くのサポーターによる大きな応援で選手たちを支えてあげたい。

 

 厳しい戦いが続く中、ネガティブな話しばかりになってしまったが、今季これまで2得点をマークしている新世代(高校生)ストライカー田子夏海選手の活躍やケガのため離脱していた選手たちの本格復帰などなど、愛媛FCレディースには明るい話題もたくさんある。

 

 中盤戦に向けてチーム状況も改善されていくと思うので是非、会場に足を運んで彼女たちを後押ししていただきたい。

 

 なでしこリーグ2部で優勝、1部昇格を成し遂げた2019シーズンの、あの熱気を、もう一度、愛媛県総合運動公園球技場に取り戻したいのである。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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