(写真:MCD受賞のFISHBOY<左>とMVDのTAKUMI)

 22日、「第一生命 D.LEAGUE AWARDS SHOW 2022-23」がビルボードライブ東京で行われた。最優秀選手賞にあたる「MVD OF THE YEAR」(MVD)はCyberAgent Legit(サイバーエージェントレジット)のリーダーTAKUMIが初受賞。最優秀ディレクターを決める「MOST CREATIVE DIRECTOR」(MCD)にはLegitのFISHBOYが選ばれた。今回はMVD、MCDなど従来の5つの賞に加え、9つの賞が新設され、14部門で表彰された。

 

 3季目を終えたD.LEAGUE。4月に行われたチャンピオンシップ(CS)ではレギュラーシーズン3位のKADOKAWA DREAMS(カドカワドリームス)が3連勝で王座を奪取した。シーズンを締めくくるAWARDS SHOWの主役は、レギュラーシーズンを11勝1敗(CYFER ROUNDも1勝として換算)という高勝率で制したLegitのリーダーだった。

 

 ノミネートされた7人のダンサーと共に壇上にあがったTAKUMIは、自身の名前が読み上げられると。MCのケリー隆介氏から振られて即興でダンスを披露した。感想を求められ、マイクを持つと「2季連続MVDのISSEI君がD.LEAGUEを卒業したので、この賞を獲るのが今年の目標だった。すごくうれしいです」と喜びを語った。表彰式後に改めて率直な思いをこう述べた。

「リスペクトする7人だったので、“誰がMVDになるんだろう?”と客観的になっていた。うれしさよりも驚きの方が勝ってしまい、すぐにパフォーマンスが始まった。感情が忙しかったです」

 

 Legitの快進撃を支えたという点では文句なしの受賞だろう。FISHBOYディレクターは「彼は本当に品格あり、知性もある。Dリーガーとしての意識も高い」と高く評価するリーダーである。チームは開幕4連勝、ROUND.5で初黒星を喫したものの、レギュラーシーズン7連勝で締めた。過去2シーズンは9位(最下位)、8位とCS出場すらかなわなかったチームが他を圧倒した。一見、充実したシーズン見えるが、TAKUMIは胸の内をこう明かす。

「プレッシャーがすごく眠れない日が続きました。勝っている時も“次負けちゃいけない”“この流れを途切れさせるわけにはいかない”と」

 

 元々、Legitは「個々が素晴らしい精鋭部隊」(TAKUMI)。一方でまとまりに欠ける部分は、過去2シーズンだけ見ればなかったとは言えない。リーダーとしてチームをまとめるために意識していることは、「長いシーズンを戦っているとモチベーションの低下だったり、中だるみしてしまうような時期がくる。そういう時は気を引き締めるためにメンバー会議を開きました」と口にする。

 

 今では「集団として完成されてきた」とTAKUMIが胸を張って言えるようになってきたことも今季躍進の理由に挙げられるだろう。レギュラーシーズン優勝を決めたROUND.11では、前日まで振りが決まらないというピンチもあったが、励まし合って当日を乗り切った。もちろん励まし合うだけではない。メンバー同士の切磋琢磨で力を付けてきた自負もある。

「3年間も一緒にやっているとお互いのジャンルじゃないダンススキルをどんどん吸収していく。どんどんレベルが上がり、洗練されたチームになってきたなと感じています」

 

 しかし、CSではセミファイナルで勝利したものの、ファイナルでは涙を呑んだ。

「優勝発表の際、KADOKAWAさんのコメントをずっと聞いている時間があった。懸けていたので、その分、ショックは大きかった。“来シーズンは絶対に勝ちたい”という思いも沸いてきました」

 来季は追われる立場ともなるだろう。「うまくいかないこともたくさん出てくると思う。そこでめげずに踏ん張って、最後は絶対勝ちたい」と意気込んだ。

 

 新設された賞は「NICE CHARACTER」「新人賞」「BEST SKILL」「3D BATTLE CHAMPION」「MOST NFT DANCER」「BEST AWARD DRESSER」「BEST BOUT」「BEST SEASON COSTUME」「BEST PERFORMANCE」。今回はそのうちのシーズンジャッジ10人による投票で決まる「BEST SKILL」、AWARDS SHOWにおいて特に優れたファッションセンスを魅せたDリーガーに贈られる賞「BEST AWARD DRESSER」の受賞者を紹介する。

 

「BEST SKILL」を獲得したdip BATTLES(ディップバトルズ)のKENSEIはMVDにもノミネートされるなど個人としては充実したシーズンを送った。「自分はISSEI君を目標にしている。MVD獲りたかったですが、ステップアップとしてBEST SKILLを獲れたのはうれしい」と受賞を喜んだ。それでもジャッジから評価を受けたことについて「(審査基準を)知らなかったので、めちゃくちゃうれしい」と喜んだ。

 

 その一方でポッピンダンスを得意とするKENSEIは、「ただ自分のスキルがトップだと思っていません」と同じジャンルのダンスをベースとするTAKUMIと地獄のLegit勢を意識する。「その2人は小さい頃からずっと有名。スター性もある」。自らのスキルで自信のあるのは「ベーシックなところ」と言う。「来シーズンはそこに破壊力も乗っけられれば、D.LEAGUEもdip BATTLESも盛り上げられると思います」。BATTLESはシーズン8位で、CSに届かなかった。来シーズンに向け、「チームとして勝ちたい。自分がもっと支え、みんなの良さを引き出したい」と語った。

 

「BEST AWARD DRESSER」はSEPTENI RAPTURES(セプテーニラプチャーズ)のMiYUが受賞。「全リーガーがダンスだけではなく普段の服装を意識されていると思う。全員がオシャレで、このAWARD SHOWではいろいろ考えてコーディネートされているはず。こういった賞を自分がいただけてすごくうれしいです」と感想を述べた。

 

 深紅のドレスに身を纏ったMiYUに、今回のファッションのテーマを聞くと、こう答えた。
「ウィッグやアクセサリーで、いい意味で日本っぽくない、海外の匂いを感じられるようなファッションにしました。また1、2年目はパンツスタイルだったんですが、今回は初ドレス。足にもスリット入っていて、女性らしさもポイントのひとつです」

 

 女性ダンサーも活躍するD.LEAGUEだが意外にも、AWARDS SHOWにおける個人賞受賞はMiYUが初である。彼女にとってD.LEAGUEとは。
「チームの戦いとはいっても個人のスキル、スター性、個性は大切。男性は男性のカッコ良さがあり、女性は女性のカッコ良さ、女性らしさもある。表現の仕方は違えど、自分のキャラクターを出せる場所。全員が高め合うことができていると思います」

 

 MiYUもKENSEI同様、チームの成績がレギュラーシーズン11位と振るわなかった。「なかなか結果がついてこなかった。今季は学びの年でした。個々の力で強過ぎる部分があり、まとまりに欠けるようなところがあったのかなと思います」。ゆえに来季は「勝ちにこだわる」と言う。
「次はダンスで全員が頷くようなところまで登りたい。何よりもチームで優勝を目指せるよう、勝ちにこだわっていきたいと思います」

 

 これで3季目の戦いを終えたDリーガーたち。D.LEAGUEの神田勘太朗COOは「3年間突っ走ってきた。ダンスとは何なのか。スポーツ、アート、カルチャー、エンターテインメント……と様々な側面を持っている。みんなで一緒に答えを探しにいった3年間だったと思っています」と振り返った。
「今の子どもたちにとってDリーガーになりたいという夢は、みなさんと一緒につくってきた証だと思います。10年、20年、30年とこの先も続いていくために。参加している皆さんと共にどのような道をつくっていくかが大事。その結果をなるべく早くつくっていかないといけないと考えています」

 

 神田COOの言うように、ダンスとはスポーツ、アート、カルチャー、エンターテインメントと観る人によって、参加する者によって幾通りの顔を持つ。その表現者であるDリーガーとは何なのか? LegitのFISHBOYディレクターは、その問いに「観ている人たちを楽しませる、ワクワクさせることを意識しないといけない。子どもたちがDリーガーを夢見て、その親が安心して応援できるような選手でなければいけません」と答える。

 

 もちろんDリーガーが与えるだけではない。ファンの声が選手たちのダンスに対する姿勢や態度を変えるのだ。
「あるファンの方から『いつもダンスを観て病室から元気をもらっています』とDMをいただきました。それがきっかけで自分のダンス観がガラッと変わりました。自分のために踊っていたダンスが人のためにもなる。誰かの心を豊かにできるものでもあるんだと気付くことができました」(KENSEI)

 

 来シーズンの開幕は10月29日。オフ期間に身体を休める者もいれば、その勢いを加速させるためチームとして、個人として活動の場を広げていく者もいるだろう。4季目はDリーガー、各チーム、そしてリーグがどんな“表情”“表現”で見せてくれるのか。秋の訪れが楽しみである。

 

 主な受賞者・チームはこちら

 

【MVD】

TAKUMI(CyberAgent Legit)
【MCD】
FISHBOY(CyberAgent Legit)

【MOST FAV DANCER】

TAKI(SEGA SAMMY LUX)

【MOST FAV TEAM】

SEGA SAMMY LUX

【MUSIC OF THE YEAR】

KADOKAWA DREAMS 『PUSHIM &DA-Dee-Mix/LOVE』
【NICE CHARACTER】

MAKO(Valuence INFINITIES)
【新人賞】
SEIYA(Valuence INFINITIES)
【BEST SKILL】

KENSEI(dip BATTLES)
【3D BATTLE CHAMPION】

SEGA SAMMY LUX
【MOST NFT DANCER】

TAKI(SEGA SAMMY LUX)
【BEST AWARDDRESSER】

MiYU(SEPTENI RAPTURES)
【BEST BOUT】

avex ROYALBRATS vs. SEGA SAMMY LUX ROUND.11-MATCH5
【BEST SEASON COSTUME】
SEGA SAMMY LUX ROUND.5
【BEST PERFORMANCE】

KADOKAWA DREAMS ROUND.3