子どもたちにとって待望の夏休みがやって来た! 愛媛FCのホームゲームが行われるニンジニアスタジアムでも子どもたちの元気な声が木霊するこの時節。トップチームの試合前には、愛媛FCのスクール生たち(小学生たち)にニンジニアスタジアムのグラウンドが開放され、天然芝の感触を味わいながら、ミニゲームを楽しむ姿も見受けられる。

 

 そんな光景を観ながら、ふと疑問に感じることがある。愛媛FCは現在、アカデミー組織の中で(小学生以下を対象とした)サッカースクールなどの活動は活発に行っているものの、第4種登録チーム(12歳未満チーム)を設けてはいない。

 

「あってもおかしくはないU-12チームをなぜ設けないのだろうか?」という疑問である。

 

 地域における周辺団体(サッカークラブやスポーツ少年団)や各関係者の方々への配慮。また、愛媛FC独自の育成スタイルを構築しており、その状況を保ちたいという考え方があるのかもしれない。その他にも理由は様々あると思われるし、そういったクラブの考え方は尊重したい。

 

 それでもU-12チームがあるとクラブとして将来的なメリットもあるのではないかと考えてしまうのである。例えば、各種大会への出場からいろいろなことが得られるのではないか。

 

 現在、小学生以下チームを対象とした全国大会や愛媛県大会、また各種の地域大会など、様々な大会が開催されており、第4種登録しているチームであれば出場が可能である。

 

 これらの大会へ出場することで、クラブ外の選手たちと対峙できる機会が増え、また真剣勝負の場で勝利や敗北、歓喜や悲哀などの経験を積み重ねることができる。そこで芽生えた感情や仲間との絆も(将来アスリートの道を進むならば)子どもたちにとって、大きな財産となるのではないだろうか。

 

 更には愛媛FCのエンブレムを背負って、他のチームと戦うことで、自分のクラブへの愛情も深まるし、その後、サッカーの道に進むことがなくても、愛媛FCの(U-12ではあるが)OBとして愛媛FCのファン・サポーターとなってクラブを支えてくれるかもしれない。

 

 また大会に出場することで、一番に熱をもって応援してくれるのが選手たちのご家族である。言い方は悪いが、試合時には感情を剥き出しにして必死になって応援してくださる選手のご両親を見かけることがあり、そういう方々(ご家族)はクラブへの支援にも熱心に取り組んで下さる傾向がある。

 

 もし、U-12チームが存在するならば、「スクール生の保護者」というところから一歩踏み込んで「愛媛FCの選手の保護者」として、より一層、クラブへと愛情を注いくださるのではないかと思っている。

 

 そうした取り組みが実を結べば、子どもたちがチームを卒業した後も新たなファン・サポーターとしてトップチームのホームゲームへ足を運んでくださるかもしれない。更には、U-12チームが各種大会に出場して好成績を残すことができれば、愛媛FCのブランド力が高まり、様々な面において求心力も強くなり、支援者やサポーターの裾野を広げていけるのではないかとも考える。

 

 ここまでいろいろと述べさせていただいたが、これらは、あくまで個人的な見解であり、クラブ側へ提案や要望を押し付けるつもりは無いので、ご理解いただきたい。

 

 Jリーグにおける「ホームグロウン制度」が本格的に運用され対応が迫られる中、様々なクラブが良き人材を求め、競争が激化しつつある。

 

 昨今、同じ愛媛県内のJリーグクラブであるFC今治がU-12チームを設け、全国大会に出場するなど、目覚ましい活躍を見せている。

 

 各Jリーグクラブにおいて、アカデミー組織の取り組みには様々な考え方や手法があって良いと思うのだが、少子化の波に負けず、有望な選手を集め、育成するためには、今後「愛媛FC」というブランドを、もっと魅力的なものにしていく必要があるのではないだろうか。

 

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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