「栄光は一瞬、努力は一生」でこれからも

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 都市対抗野球が終わり、セガサミー野球部は関東リーグ、オープン戦をこなしがら、9月4日にスタートする社会日本選手権予選1回戦(SUBARU戦)に向け、着々と準備中です。暑い日が続いていますので、連休なども設けながらコンディションづくりをしています。

 

 仙台育英高の須江航監督の「人生敗者復活戦」と話していたので、それになぞって私は「人生東京第4代表決定戦」などとコーチ陣と冗談を口にしたりもします。チームがたとえ追い込まれても諦めず、選手たちが土壇場で力を発揮できるようにしたいですね。

 

 ルーキーの高島大輝は、都市対抗を含め、コンスタントに打っており、好調を持続しています。ピッチャー陣では草海光貴、舘和弥の状態は徐々に上がってきています。オープン戦でなかなか結果が出ない選手もいますが、今は結果ばかり見ず自分のやれることをやって欲しい。凡事徹底です。チーム全体としては明るく元気よくやっています。

 

 夏の風物詩、全国高校選手権は慶應義塾が107年ぶりに制しました。近年隆盛を極めていた近畿勢がベスト8から姿を消すなど、高校野球の勢力図にも変化が見られました。東北勢を含む東のチームの躍進。これは全体的に力が均衡してきたのもありますが、私は初戦の大事さを感じました。初戦は多少硬さが見られても勝つことによって、選手たちが冷静になってのびのびプレーできるようになっていく。それは決勝で戦った慶應も仙台育英もそうだったと思います。

 

 あとは観客や応援の力も借りながら、どれだけノッていけるか。特に慶應は笑顔でプレーしている姿が目立ちましたね。笑ってばかりではダメなんだけども、リラックスする方法のひとつとして効果的なのかなとは思います。今大会は慶応を含め、いろいろなチームがリラックス法を模索しながら戦っていた印象です。

 

 慶應は「エンジョイ・ベースボール」を標榜していたこともあり、メディアの皆さんは“自由さ”ばかりをフューチャーしていました。采配は監督が振るいますが、選手たちが感じた部分も大事にすべき。セガサミーでもキャッチャーに試合中、ピッチャーのコンディションを聞いて、「ダメです」と言われれば代えるケースもある。もちろんキャッチャーの感覚だけに任せるわけではありません。そこは私が就任当初から大事にしてきたコミュニケーション力です。

 

大舞台が飛躍の契機に

 選手ファーストで考えながら戦うこともいいことですが、そこだけに囚われてもいけない。大事なのはチームが勝つために何をすべきか。楽しむことも大切ですが、やはり勝たなければ面白くないですからね。成功体験は選手をグンと伸ばします。それが甲子園のような大舞台ならばなおさらです。失敗から学ぶことももちろん必要だと思いますが、大舞台で付ける自信は選手の飛躍のきっかけとなります。

 

 私自身がそうでした。甲子園を経験した後、PL学園でピッチャーをやっていた時は、思ったところにボールを投げられるようになりました。心なしか球速もちょっと上がったような。バッターであれば打率が3割近く打てたり、大事な場面でものびのび打席に入れるようになる。

 

 その意味では甲子園決勝で公式戦初ホームランを放った慶應の丸田湊斗選手がどのような成長を見せるか非常に楽しみです。慶應大学に進学するのか、社会人を経て、プロ入りするのか。野球を続けていく中、節目節目で注目されるバッターになって欲しいですね。

 

 今年の甲子園はタイブレークがあり、熱中症対策でクリーングタイムを設けました。いずれはピッチクロックを採り入れてもいいと思います。これはNPBも含め、できれば国際的に統一していくべきでしょうね。あとは高校野球独特の伝令がありますが、監督がマウンドに行くというのもわかりやすくていいんじゃないかな。アマチュア野球も改善できることは積極的に改善していくべきだと思いますね。

 

 監督は勝った負けたで一喜一憂することはありません。もちろん勝つこと、勝ち続けることは大事。特にプロの世界では、そうでなければ仕事を続けられませんから。社会人野球でも前年優勝したチームが翌年振るわないなんてことが、ままあります。その時代時代、本当一瞬一瞬の戦いですよ。私は「栄光は一瞬、努力は一生」と思っていますが、野球に限らず、うまいくタイミングもあれば理不尽と思えることも起こり得る。それに打ち克つにはいろいろな引き出しが必要になってくると思います。

 

 さて今年はWBCに始まり、世界水泳、世界陸上、バスケットボールW杯と大きな国際大会が続いています。現在開催中のバスケットボールW杯で日本は、勝つことによってチームがまとまってきています。逆にラグビーはテストマッチでなかなか結果が出ていない。バスケットボールも直前の試合で連敗を喫して本戦を迎えていますから、ラグビーも本大会での“逆転”に期待しています!

 

<このコーナーは毎月1日更新です>

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