戻ってきた夏のお祭り
7月14日から25日まで行われた都市対抗野球でセガサミー野球部は、残念ながら初戦で三菱重工岡崎(愛知県岡崎市)に敗れてしまいました。今大会は7年ぶり2度目の優勝を果たしたトヨタ自動車(愛知県豊田市)をはじめ、ベスト4にヤマハ(静岡県浜松市)、王子(愛知県春日井市)と3チームが入った東海勢の躍進が目立ちました。
堅い守備
それを支えたのは、補強選手として加わったHonda鈴鹿の選手たちでした。トヨタ自動車で2試合に先発登板し、優勝に貢献した森田駿哉投手、初の8強入りを果たした東海理化(愛知県豊川市)で打率6割と大当たりだった畔上翔選手はいずれも私の法政大学の後輩ということもあり、その活躍が強く印象に残りました。
また今大会は投球間隔の時間制限「ピッチクロック」を採用して行われました。これについては社会人野球は今季から導入していたので大きな影響はありませんでした。MLBは「ピッチクロック」によって試合時間の短縮に成功していると聞きます。「野球は間(ま)のスポーツ」と言われていますが、私はNPBも早く取り入れてもいいと思っています。時代と共にルールが変われば、それに適応していくのが流れだと。選手たちも慣れていけば支障はなくプレーできると考えています。
優勝したトヨタはエース嘉陽宗一郎と補強選手の森田を軸に投手陣を含めた守りで5試合6失点、ノーエラーと堅いディフェンス力が光りました。Honda(埼玉県寄居町・小川町)、ENEOS(神奈川県横浜市)、日本通運(埼玉県さいたま市)、JR東日本(東京都)と優勝経験のある関東の強豪チームを次々撃破して頂点に辿り着きました。
一方、我々セガサミーは守備面でのミスが見られました。私が監督に就任してから初めて初戦敗退となりましたが、やはり僅差のゲームを勝つためには無駄な失点を防がないといけません。初戦の先発マウンドを託したエースの草海光貴は立ち上がり2人を抑え、3番打者を追い込んだところでデッドボールを与えてしまった。次の4番打者にはホームランを打たれ、先手を許してしまいました。
それでも5回表に打線が1番・植田匡哉と2番・高島大輝の連続タイムリーで逆転に成功。ところが逆転した直後の5回裏に追いつかれてしまった。なかなかセガサミーのムードに持っていけないまま、2番手の古屋敷匠眞が7回にエラーも絡んで4失点。8回と9回に1点ずつ返したものの、5-8で敗戦となりました。
暑さとの闘い
今大会は里見治会長、治紀社長にも足を運んでいただき、チームに𠮟咤激励をしてもらいました。その思いに応えられなかったのは残念ですが、声出し応援が解禁となり、各チームの応援団、応援席に熱気が戻ってきました。夏の祭りが戻ってきた感じがします。やはり都市対抗は夏の野球の風物詩。もっともっとメディアには取り上げていただき、この熱気や魅力を伝えてもらえたらうれしいです。
さてプロ野球に目を移すと古巣のカープが好調です。主力の西川龍馬選手、菊池涼介選手を故障で欠く間に10連勝をマーク。7月31日時点で首位・阪神に肉薄しています。好調の原因は投手陣が失点を抑えていることがひとつですが、新井貴浩監督の選手を責めないコメントにも注目が集まっています。監督自身がムードメーカー。それがうまい具合に回っていると感じますね。一方で福岡ソフトバンクが12連敗、北海道日本ハムが13連敗を喫しました。ひとつ歯車が狂うと、大型連敗もあり得るという野球の怖さです。特に首脳陣はいろいろご苦労があるんじゃないかなと想像します。
夏本番だとばかりに暑い日が続いていますが、チームのスーパースター、主軸が本領を発揮する季節だなと感じています。実際に春先は不調だった東京ヤクルトの村上宗隆選手、東北楽天の浅村栄斗選手が調子を上げてきています。球団数の関係で同じピッチャーと対戦する機会の多いNPBは、バッターはピッチャーの球筋に慣れてくる中盤以降、特に夏場に入って球威が落ちてくると、どうしてもバッター有利になっていきます。私自身、現役時代、夏は好きでしたね。身体が少し硬かったので寒い時期より暖かくなってきた方が動きやすいというのもあります。
8月も各チーム、各選手、暑さとの戦いにもなると思います。まずはメンタルやコンディションをきっちりコントールすること。ピッチャーはきっちりストライク率を上げてボールをコントールし、バッターはいかにバットコントロールをできるか。それぞれのコントール能力、調整能力が問われます。それでは皆様も暑い夏を乗り越え、また来月お会いしましょう。
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