6日、日本ラグビーフットボール協会は都内で、U20日本代表の大久保直弥新HC就任記者会見を行った。任期は2025年まで。U20日本代表は、6月から7月にかけて南アフリカで行われた「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ2023」(チャンピオンシップ)で5戦全敗の最下位に終わり、来季は下部大会の「ワールドラグビーU20トロフィー」(トロフィー)で戦う。

 

 スーパーラグビー(SR)のクルセイダーズ(ニュージーランド)の指揮を執るロブ・ペニー前HCの後任が決まった。大久保氏への正式なオファーは8月だったという。

「ラグビーに長く関わってきて、今までのカテゴリーとは違うものだったので少し驚きました。これは自分自身へのチャレンジと思っています。これまで自分が積み重ねてきたコーチング、ラグビースキルを用い、いかに20歳前後の選手たちに新しい武器を持たせてあげられるか。エキサイティングなオファーでした」

 

 この日の会見では 「27年、31年、そして日本協会が開催を目指す35年のW杯に向けて、1人でも多くの人材を育てていきたい」と目標を述べ、こう意気込みを口にしました。

「25年にチャンピオンシップに上がって、世界を戦い抜ける日本人らしいチームをつくる」

 日本らしいラグビーとは――。新指揮官は「遂行力」をキーポイントに挙げた。

「スクラムとラインアウトモールでアドバンテージをとらないと話にならない。日本人の遂行力はどこの国よりも高いと思っています。そのために役割をはっきりクリアにすることが大事。寄せ集めではなく、FWパックとして8人がひとつになれるかが肝になると思います」

 

 今回の人事には、日本協会からの大久保HCに対する将来のジャパン指揮官候補としての期待が見て取れる。日本代表の指揮官はジャン・ピエール・エルサリド氏の代行を務めた太田治氏を除けば、ジョン・カーワン氏(07~11年)、現オーストラリア代表のエディー・ジョーンズHC(12年~15年)、現ジャパンのジェイミー・ジョセフHC(16年~23年)と04~05年の萩本光威氏以来、20年近く外国人が任されてきた。今回の選考に関わった日本協会の代表強化部門部門長の中山光行氏も「なるかならないかを約束できるものではないですが、現在リーグワンなど日本人指導者が減ってきている。我々としても日本人の指導者を育成する責任があると思っています」と語った。

 

 大久保HCは「“やりたい”と言ってなれるポジションではない」と前置きした上で、その思いを口にした。

「私も含め、日本のコーチ全体で競争しながら将来的に日本人が日本代表を率いるというのは、目標にしておかなければいけないこと。そのうちの1人として努力を惜しまず仕事をしていきたいと思います」

 合宿など本格的な始動は来年から。47歳の指揮官と共にステップアップを目指す若き桜の戦士たちにも注目だ。

 

(文・写真/杉浦泰介)