ラグビーW杯フランス大会開幕が目前と迫っている。一方、『JAPAN RUGBY LEAGUEONE』(リーグワン)の各チームは新シーズンに向け、着々と準備を進めている。ディビジョン1の三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB)は8月26日、相模原市の複合商業施設・アリオ橋本で『ダイナボアーズフェスタ2023』を開催した。公開記者会見には石井晃GM、グレン・ディレーニーHC、SH岩村昂太、FL坂本侑翼出席。ディレーニーHCは新シーズンのキャプテンを昨季に続き、岩村を指名することを明らかにした。

 

 相模原DBが8月最後の週末のショッピングモールをジャックした。入り口付近に体験ブースを設けて来場者を出迎えた。そのほかモール内でのトークショー、公開記者会見、公開番組収録、スタンプラリーなどイベントも盛りだくさん。特設のグッズ売り場には、ダイナメイト&ウリボアーズ(相模原DBファン、サポーターの愛称)が列をなしていた。その盛況ぶりは、アリオ橋本に約7000もの人が詰め掛けたことからも分かる。この日スタートとなった新シーズンのファンクラブ入会&更新も昨年を上回るペースだったという。

 

 チームは昨季(22-23シーズン)、ディビジョン1に昇格するなり序盤戦で旋風を巻き起こした。しかし中盤以降は6連敗を喫するなど、10位に終わった。なんとかディビジョン2との入れ替え戦に連勝し、残留を決めたものの、岩村は「難しいシーズンでした」と振り返った。ACからの昇格で、指揮を執るのは1季目だったディレーニーHCは、こう語った。

「毎週学びをすることを大事にしてきた。ディビジョン1の選手として、ここでプレーできるという実感を持つことが重要。経験の浅いチームではありましたが、今季は昨季の経験を生かし、どんどん成長できるはず。昨季は土台をつくることを大事にしてきた。それがうまくできたと思うので、今季はラグビーの細かい部分をレベルアップさせる。新しいアタックコーチとFWコーチが来てくれたので、日本一になれるようにちょっとずつ前に進んでいくことが次の仕事」

 

 アタック担当のジョー・マドックACはカンタベリー(ニュージーランド)、マオリ・オールブラックス、東芝ブレイブルーパス東京とコーチ歴(カンタベリーではHCも担当)を持つ。元オールブラックス(ニュージーランド代表)PRのベン・ブランクスACは現役引退後の3年間、ウェールズのスカーレッツでACを務めた。「土台はハードワーク。日本一ハードワークするチームになるため、その準備を今進めている」と指揮官。若手組は夏から既に始動しており、今季も厳しい練習で鍛え上げているようだ。

 

 公開記者会見の席で、新シーズンのキャプテンについて聞くと、ディレーニーHCは自身の右隣に座る岩村に目を向け、「隣にいる人がおそらくキャプテンになる」と微笑みながら答えた。

「チームのみんなから尊敬されている。選手としても素晴らしい。自分の行動で引っ張ってくれる。冷静に何があってもチームをリードし、安心できる。今季も期待しています」

 

 会見後、後輩の坂本に訊ねても、岩村のリーダーシップは抜群だという。

「日頃の練習から自分の行動で示してくれる。僕も大学時代キャプテンやったことがあるんですけど、ここまで冷静にチームを引っ張ってまとめ上げているのはすごいと思う。僕は100%、岩村キャプテンについていきたいです」

 

 キャプテン2季目を迎える岩村は、「昨シーズンから大きく変えることはありません」と言い、こう抱負を述べた。

「しっかり自分の行動にフォーカスして、まずは先頭に立ってチームが求めることを遂行していく。そういった姿を見せていければいいなと思います」

 

 

(文・写真/杉浦泰介)