サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)は23日、女子アルゼンチン代表と北九州スタジアムで強化試合を行い、8対0で勝利した。なでしこジャパンは前半2分にFW田中美南(INAC神戸レオネッサ)の得点で先制すると、MF長谷川唯(マンチェスターシティウィメン)が2ゴール、DF高橋はな(三菱重工浦和レッズレディース)がゴールを奪い、4対0で試合を折り返した。後半に入ると、途中出場を果たしたMF清家貴子(三菱重工浦和レッズレディース)が2ゴール、MF杉田妃和(ポートランドソーンズ)、MF植木理子(ウェストハムユナイテッドウィメン)が1得点ずつ決め、8対0と大差をつけて勝利した。

 

 田中、安定のポストプレー披露(北九州)

なでしこジャパン 8-0 アルゼンチン代表

【得点】

[な] 田中美南(2分)、高橋はな(25分)、長谷川唯(10分、39分)、清家貴子(61分、90+2分)、杉田妃和(66分)、植木理子(80分)

 

 サッカー女子ワールドカップ(W杯)オーストラリア・ニュージーランド大会をベスト8で終えたなでしこジャパン。次の目標であるパリ五輪出場に向けてスタートを切った。オーストラリア・ニュージーランドW杯後、初となる国内での強化試合の相手は「韓国に近いスタイル」(佐々木則夫日本サッカー協会女子委員長)のアルゼンチン代表だ。

 

 なでしこジャパンはW杯でも一貫して3-4-2-1を採用していたが、この日はDF熊谷紗希(ローマウィメン)が中盤の底に入る4-3-3で戦った。

 

 開始2分、相手DFのコントロールミスをペナルティーエリア内右で拾った田中が左足でゴール左を狙いすまし、あっさりとなでしこが先制に成功した。10分には田中がペナルティーエリア内で倒されて得たPKを長谷川が相手GKにコースを読まれはしたものの右隅に決めた。

 

 25分には左CKの流れで前線に残っていた高橋が、MF遠藤純(エンジェルシティ)の左からのクロスにダイビングヘッドで合わせ、リードを3点に広げた。39分には高橋の鋭い縦パスを前線から下がってきた田中がピタリと足元に収め、ゴール前のスペースに走る長谷川へラストパス。長谷川は相手DF2人を鋭い切り返しでかわし、右足でゴール中央へ蹴り込んだ。

 

 池田太監督は後半開始と同時に田中に代えて植木、MF猶本光(三菱重工業浦和レッズレディース)に代えて杉田をピッチに送り込んだ。15分にはMF長野風花(リバプールウィメン)とMF宮澤ひなた(マンチェスターユナイテッドウィメン)を下げて、清家とMF林穂之香(ウェストハムユナイテッドウィメン)を投入した。池田監督の采配が的中する。

 

 16分、熊谷が敵陣中央からペナルティーアーク手前の植木に縦パスを入れる。植木は強引に前を向こうとするが潰されてボールがこぼれた。このルーズボールに林が絡みエリア内右にいた清家にボールが渡る。清家は冷静に右足でゴール右サイドを狙いすまし、サイドネットを揺らした。

 

 21分にはロングカウンターから得点を奪う。清家が自陣左サイドでボールを拾い、逆サイドを駆け上がり、相手DFの裏をついた杉田へロングパスを供給。オフサイドラインを見事の潜り抜けた杉田はペナルティーエリア内までドリブルで運び、GKの動きを見て左足でファーサイドに転がした。

 

 35分には植木がエリア内で倒されて得たPKを自ら決めた。後半アディショナルタイムには清家がペナルティーエリア手前右サイドから右足でGKを嘲笑うようなループでゴールネットを揺らし、8対0とアルゼンチン代表に快勝した。

 

 強化試合ということもあり、スコアより内容が重要視されたこの一戦。W杯では3バックしか使えなかった課題を残したなでしこだったが、熊谷を1列前で起用し、両ウイングバックを下げた4-3-3を試せたことに価値があった。10月26日から始まるパリ五輪アジア二次予選に向けて弾みをつけた。

 

◆なでしこジャパン パリ五輪アジア二次予選日程

・対インド(10/26)

・対ウズベキスタン(10/29)

・対ベトナム(11/1)

 ※全て日本時間、ウズベキスタンでのセントラル開催

<二次予選の方式>

 12チームが3グループにわかれ、1回戦総当たりのリーグ戦を行う。各グループ1位と、各グループ2位のうち成績最上位チームの計4チームがアジア三次予選(最終予選)に進出する。

 

(文/大木雄貴)