愛媛FCトップチームは、8月13日に行われた「対 ガイナーレ鳥取戦(第22節)」、8月26日に行われた「対 カマタマーレ讃岐戦(第24節)」、9月9日に行われた「対 アスルクラロ沼津戦(第26節)」の(J3)ホームゲーム3試合において、夏季限定ユニホームを選手たちが着用して戦った。

 

 遡ることの5月11日、「かつてユースチームからスタートした愛媛FCの歴史。当時ユニホームはトリコロールカラー(青・白・赤)だった。時を超え、ここまで多くの力で紡いできた歴史へのリスペクトとして、今夏トリコロールユニホームを復刻。」と愛媛FC事務局から夏季限定ユニホーム制作の経緯が発表され、同時に(夏季限定)ユニホームのデザインも公開された。

 

 ユニホームデザインは当時のデザインとは異なり、トリコロールカラーは踏襲されつつも現代風にアレンジされ、スタイリッシュでカッコ良い仕上がりとなった。

 

 クラブ創設時、愛媛FCのクラブカラーは「青」であった。ユニホームは青を基調とし、その他に白と赤が、あしらわれたデザイン(1stユニホーム)だった。

 

 トップチームが四国リーグに参戦していた時代。当時、愛媛FC事務局は存在しておらず、オーセンティックユニホームやレプリカユニホームも一般販売されてはいなかった。その頃からサポーターを始めた私は、同じデザインのユニホームをスポーツショップで探し出し、そのトリコロールカラーのユニホームを纏い、(四国リーグの)各会場にてトップチームを応援していた。

 

 その後、トリコロールカラーのユニホームはデザインを変えつつ2001年(JFL参戦の初年度)まで続き、2002年からは青を基調とし、白のラインが入ったユニホームへと切り替わった。2005年からは、愛媛FCのクラブカラーが「オレンジ」となり、それに伴いユニホーム(1stユニホーム)もオレンジが基調となったのである。

 

 今回の夏季限定ユニホームが着用されるホームゲーム3試合(第22節、第24節、第26節)に合わせて私は、いろいろな思い出が詰まった2つの大旗をスタジアムへと掲出させて頂いた。

 

 1つは横が約2m60㎝で縦が約1m70㎝の旗。もう1つは横が約1m50㎝で縦が約1mの旗。両方とも青を基調とし、白と赤のラインと「Forza!EFC!!」の白文字が入ったトリコロールカラーの大旗である。

 

 この3試合おいて、大きな方の旗はゴール裏の「伊豫魂」幕(横断幕)の左端に被せる感じで掲出させて頂いた。小さい方の旗はマントの如く、私が背負った。

 

 この2つの旗は、今から約25年前(愛媛FC初の公認サポーターズクラブを結成するよりも前)、1人で応援していた頃に私が制作したものである。当時はインターネットも過渡期で応援旗の作成などの情報を得ることができず、ひとり悩む中、松山市内の旗の販売店と相談し、依頼して作っていただいた大旗である。

 試合時には、アルミ製のフラッグポールに括り付け、大旗を振っていた。1人での応援ということもあり、小さい方の旗は背中に掛け、太鼓を叩きつつ、たまに大きい方の旗を振るようなことをしていた試合もあった。当時は大変だったが、今では良い思い出でもある。

 

 そんな大旗は、私と共に様々な試合や場面、それに関わる人々を見つめてきた。

 

 土のグラウンド、控え室やベンチも整備されていない過酷な環境で戦い続けた四国リーグ時代。

 

 そんな環境を脱して上位カテゴリー(夢のJリーグ)を目指すため、愛媛FC公認サポーターズクラブの結成に至った会議の現場。そのサポーターズクラブ結成の発表記者会見が行われた県庁記者クラブ。

 

 後に迎えた歓喜の四国リーグ3連覇とJFLへの昇格。

 

 クラブカラーがオレンジとなって以降、JFL優勝時のスタジアムにも掲出させていただき、その試合を見守り、共に感動を味わった。

 

 そして当時、クラブを支えてくれた様々な方々。選手やスタッフ、スポンサーや支援者の皆さん。そして、たくさんのサポーター仲間。夢半ばにしてクラブを離れなければならなかった方々など、多くの人々も見つめてきた。

 

 この大旗には、ここに書ききれない程の様々な思い出が詰まっているのである。その大旗が力を貸してくれたのか、夏季限定ユニホーム着用ホームゲーム3試合は、愛媛FCの3連勝という嬉しい結果に終わった。

 

 今回、愛媛FCの歴史を重く受け止め、過去へのリスペクトの思いをユニホームへと込めていただいたことに関して、愛媛FC事務局やフロント陣の方々には感謝申し上げたい。

 

 経営陣の交代や運営体制の変化など、これまで紆余曲折を経てきた愛媛FCではあるが、現体制の方々が歴史を尊重してくださっていることは、古くから応援している私にとっても有り難いことである。

 

 これまで、多くの方々が礎を築いてくださったからこそ、今の愛媛FCが存在している。その歴史はクラブにとってかけがえのない財産であり、今後も大切にしていただきたいのである。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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