2024年最初の「JAPAN RUGBY LEAGUE ONE」(リーグワン)が週末、行われる。第3節を終え、2勝1敗の東京サントリーサンゴリアス(東京SG)は同じく2勝1敗のコベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)と6日、東京・秩父宮ラグビー場で対戦する。4日、登録メンバーが発表された。その23人の中に名前はなかったが、昨年のW杯でジャパンを苦しめた男が、東京SGには加わっている。

 

 男の名はニコラス・サンチェス。アルゼンチン代表(ロス・プーマス)として、W杯4大会に出場し、通算104キャップを誇る35歳のSOだ。身長177cm、体重83kg。キックの名手としても知られ、15年イングランド大会では得点王に輝いた。23年フランス大会では主にリザーブとしてチームに貢献。クラブチームでは長らくフランスでプレーし、所属先は決まっていなかったが、今季加入したウェールズ代表SOガレス・アンスコムの故障により、急遽東京SGに加わることとなった。

 

「サンゴリアスは非常に歴史のあるクラブで、勝つためのメンタリティーを持っている。自分にとっても、家族にとってもいい機会。日本の文化を知るチャンスで、いいクラブに入団でき、うれしく思っている。自分の経験、エネルギーをチームと共有し、(チームメイトを)鼓舞できればいい」

 昨年12月28日、オンラインで行われた会見で意気込みを述べた。会見の1週間前(21日)に来日。27日には練習に合流した。その時の印象を「サンゴリアスはハードワークするカルチャーがある。それはチームにとって大切なこと。驚いたのはトレーニングのスピードとインテンシティー」と振り返った。

 

 W杯でゴールデンブーツ(得点王)に輝いた男も、日本の習慣を楽しんでいるようだ。昨年末はクラブハウスの大掃除に参加し、「初めてのこと。日本の文化として共有していければいい」と笑顔で言う。
「自宅では室内でも靴を履いていましたが、日本でそれをするのは違うと感じました。人の家にあがる時、クラブハウスに入る時は、外履きを脱いで違う靴に履き替えています。今までとは違う文化を楽しんでいます」

 

 東京SGにはSO高本幹也、WTB河瀬諒介ら期待の若手が揃っている。彼らの指南役としての役割もチームは求めているだろう。「自分がどのように試合を観ているのか、どのように準備をしているかを若手と共有できたらいい」。加えてチームは今季から南アフリカ代表のWTBチェスリン・コルビ、ニュージーランド代表FL/No.8サム・ケインが在籍している。さらなるビッグネームとの融合で戦力の厚みは増した。23年W杯フランス大会のようにクローザー的な役割で、起用も面白い。デビューはお預けとなったが、ロス・プーマスの司令塔の加入で、チームがどんな化学変化を見せるかに注目だ。

 

(文/杉浦泰介)