「NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24」第3節初日が23日、各地で行われた。横浜キヤノンイーグルス(横浜E)は花園近鉄ライナーズ(花園L)を66-26で下した。横浜Eは計10トライを挙げ、3トライ差以上(花園L3)のボーナスポイント加え、勝ち点5を獲得した。

 

 開幕節は埼玉ワイルドナイツに大敗を喫したものの、前節トヨタヴェルブリッツ戦で今季初勝利を挙げた横浜E。開幕2連敗中の花園Lを神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場に迎えた。

 

 開始早々に先制点を挙げたのは横浜Eだ。4分、敵陣左サイド深くからのラインアウト。HO庭井祐輔のスローインをLOマシュー・フィリップがキャッチし、そこからインゴールへ雪崩れ込む。最後はNo.8シオネ・ハラシリがインゴール左に飛び込んだ。20分にもラインアウトモールからインゴールに迫り、花園Lが反則を犯した。ペナルティートライで7点を追加した。

 

 28分、横浜EのWTBヴィリアメ・タカヤワのトライを皮切りに両チームが点を取り合った。34分は花園LのWTB髙野蓮、37分は横浜EのFB小倉順平、ロスタイムには花園LのLOサナイラ・ワクァがトライ。26-12と横浜Eのリードでハーフタイムを迎えた。

 

 横浜Eは後半4分、花園LのSHウィル・ゲニアがインゴールに飛び込んだ際、庭井が足を出して阻止したと判定を受け、ペナルティートライ。7点差まで迫られ、さらに庭井がイエローカードでシンビンを余儀なくされる。

 

 この数的不利の状況でラインアウトモールが猛威を振るった。22mライン付近でラインアウトを獲得すると、フィリップに代えてHO中村駿太を投入。10m以上前進し、相手のペナルティーを誘う。外に蹴り出し、敵陣深く左サイドでのラインアウトを選択した。ここのモールはBKがフォローに加わり、中村がインゴール左に飛び込んだ。

 

 さらに14分、今度は右サイドでのラインアウト。このモールにもFWが加勢し、最後は中村がインゴール右に飛び込んだ。中村は37分にもラインアウトからトライを挙げハットトリックを達成。試合終了間際にはFLコーバス・ファンダイクがインターセプトからトライ。66-26と大差を付けて勝利した。

 

 開幕から2試合、ラインアウトモールからのトライはなかったが、この日だけで4トライを挙げた。ペナルティートライとなったシーンもラインアウトモールで押し込んだ際のものだ。試合後の会見で、沢木敬介監督はこう明かした。
「FWがセットピース(セットプレー)、特にスクラムやモールで頑張ってくれた。最近はモールがうまくいっていなかったので、ミーティングで『今日モールからのトライを取れなければ、今季はもうモールは組まない』とハッパを掛けたら、4本ぐらい。今日の試合で自信は付いたと思いますが、もちろん細い修正点はやっていかなければならない。ただ、FWたちのメンタルの強さや“必ず取る”という執念は見ていても感じました」

 

 ラインアウトモールからハットトリックを達成した中村は「FWは相当気合入っていた」と言う。フィリップは「モールを好んでやるというマインドセットが大事。プランに対し、全員がコミットできた」と振り返った。「試合開始のところでセットプレーでプレッシャーをかけたいと思っていた。そこは達成できた。スクラムだけではなくモールで点を取ることもできた。相手もすごく嫌がっていたと思う」と庭井。キャプテンのCTB梶村祐介は「今日はFWが我慢強く戦ってくれたことが、この結果に繋がった」と称えたようにFWの意地が手繰り寄せた勝利だった。

 

(文・写真/杉浦泰介)