13日、第60回全国大学ラグビーフットボール選手権大会決勝が東京・国立競技場で行われ、帝京大学(関東大学対抗戦グループA1位)が明治大学(同2位)を34-15で破り、3年連続12度目の優勝を果たした。
先制は帝京大。3分、流れるようなパス回しから大外でボールを受けたWTB高本とむが縦に仕掛けると見せ、一旦ストップ。内に切れ込んでインゴール左にボールを運んだ。FB山口泰輝のコンバージョンキックが決まり、7点をリードした。
キックオフ直前から上空に立ち込めていた暗雲が雨や雪を降らした。落雷により試合は一時中断。両チームの選手は一旦ピッチから引き上げた。再開時刻は二転三転したが最終的に55分後となった。中断中、中継映像で帝京大の空のロッカールームが映し出された。その間、帝京大のメンバーは人工芝の室内練習場でミーティング、トレーニングを行った。
主将のHO江良颯(4年)は中断期間をこう振り返った。
「僕も初めての経験で、20分間が終わってから、どうやってもう1回チームのギアを上げようかと考えながらやっていました。ただ、ここで岩出(雅之顧問)先生が、『時間が延びたことを自分たちのものにしよう。本当は80分で終わるところ、試合時間が延びたのはうれしいことや』と。この仲間たちとラグビーをできることを噛みしめながらできたかなと思います」
再開後、円陣を組みながら笑顔でチームメイトに語り掛けていたのが江良だ。「颯が明るくチームの雰囲気を保ってくれているおかげで、いい雰囲気でラグビーができていると思います」とはPR上杉太郎(4年)の談。LO青木恵斗(3年)が「颯君は観察力がすごくていろいろなところを見ている。その上でプレーでも引っ張れるところを尊敬しています」と信頼を寄せるリーダーが見せた。再開3分後、ラインアウトモールから江良自らトライを挙げた。山口がコンバージョンキックを成功し、リードを14点に広げた。その後、明大の反撃に遭い、2点差まで詰められたがリードしてハーフタイムを迎えた。
後半に入っても雨や雪が降る難しいコンディション。帝京大は4分、8分とPGで着実に加点した。「このファイナルでは、簡単にトライを獲れるとは思っていません。試合前からスコアできるところは狙おうと言っていました。山口はいいキッカーなので、自信を持って狙いました」と江良。リードを8点差に広げると、20分にはCTB戒田慶都(4年)がトライを挙げ、突き放した。
その後はスクラムを中心にセットプレーで明大を圧倒。スクラムで相手の反則を誘い、試合を優位に運んだ。トドメはラインアウトモールから江良がインゴール右に飛び込んだ。山口のコンバージョンキックが決まり、34-15でノーサイド。大会3連覇を達成した。
「雷での中断もあり、雪も降る中、本当に明治さんの厳しいプレッシャーを受けました。ただ学生たちがやってきたことを信じ、1秒1秒積み重ねていく姿を誇らしく、頼もしく、うれしく見させてもらいました。本当に江良キャプテンが率いたこのチームを素晴らしいチームだな、と。結果として優勝することができ、何よりうれしく思っています」
この日のスターティングメンバーは10人が4年生。来季は江良、高本、FL奥井章仁といった下級生から試合に出ていた主力が卒業する。1年時からレギュラーとして出続けている青木らが今まで以上に、チームを引っ張る存在にならないといけないだろう。「キャプテンを優勝させて送り出すことができ、ホッとしました。来季は颯君とかがいない中、頑張らないといけない」と青木は気を引き締めた。