6月9日、全日本クラブ選手権埼玉県予選に出場しました。
 クラブチームの都市対抗のような存在の全日本クラブ選手権。企業チームが出場しないため、全国大会へ行くことができるチャンスがおおいにある大会です。全日本クラブ選手権に優勝したチームは、秋に行われる社会人野球日本選手権にも出場できます。全国のクラブチームにとって、またとないチャンスの大会です。

 埼玉県予選で、出場チーム11チーム中、上位2チーム内に入ると、南関東大会(東京、千葉、神奈川、埼玉、山梨の各県から代表2チームが出場)に進み、南関東大会上位2チームが全日本クラブ選手権に出場することができます。
(写真:試合開始直前。グラウンドへ飛び出す準備は万全です)
 特に「全国へ行くんだ!」というような力みは無く、ひとつひとつの試合を大事に戦っていくだけだ、という思いでした。先日の都市対抗予選で、本戦で惨敗し、その後の敗者復活戦で、選手が足りない、連戦で疲れている、という中で、あと一歩のところまで勝ち進めたことが、少し気持ちに落ち着きを与えてくれているように思いました。

 しかし、またしても試練はやってきたのです。
 「俺、野球教室があるから行けへん。抜けられん」と監督。
 「俺も野球教室」とコーチ。
 チーム創設以来初めての監督・コーチ不在。練習試合でもなかったことです。大事な試合だったので、多少不安もありましたが、キャプテンを監督代行とし、試合前に監督にオーダーを電話で聞き、試合に臨みました。

 試合は、初回に先制するも、ラフプレーや相手チームのヤジに乗せられたりとつまらない理由でチーム全体が崩れ、立て直すことすらできず、負けてしまいました。

 監督、コーチがいなかった試合だからこそ、いつも以上にしっかりしなければならなかった試合で、別のチームかと思うような変貌ぶりに、がっかりしてしまいました。

 がっかりした理由のひとつがヤジ。我がチームは、いつも監督から「相手がどんなことをヤジってこようと、相手へのヤジは絶対に言うな」という「ヤジ禁止令」が出ています。軽いヤジを言っても、すぐさま大真面目な顔をした監督から「ヤジは言うな!」というベンチ内ヤジが飛びます。企業チームで野球をやっていた選手から、クラブチームはヤジが多いと聞いたことがありますが、ひどいヤジを言い過ぎて上から注意を受けたりしたチームもあるくらい、クラブチームはヤジが多いようです。
 今回の試合でも、攻撃のときは「それが4番の(バッティングの)振りかよ〜」、守備のときは「ピッチャーもう投げるコースないよ〜」をはじめとしたさまざまなヤジを聞きました。それに乗せられ、ヤジ合戦になってしまいました。
 正直なところ、「何でヤジを言っちゃいけないの?」と思っている選手もいたと思います。しかし今回の試合で、ヤジは、相手の気持ちを崩すより先に、自分たちの気持ちを崩すのだと、改めて感じたのではないかと思います。

 本当に恥ずかしい試合をしました。
先週は休みになり、初めて2週間の間が空きましたが、今週また練習試合があります。試合後、選手同士で言いたいことを言い合ったので、チームが今までよりもよくなっていることを願って、また頑張りたいと思います。


★携帯サイト「二宮清純.com」では、このコーナーのコラムをHPに先行して配信中です。紅一点の女子部員の奮闘ぶりを一足早く携帯でお楽しみいただけます。更新は第1、3火曜。ぜひ、チェックしてみてください。
広瀬明佳(ひろせ・さやか)
福島県郡山市出身。母がソフトボール、兄が野球をやっていたことから中学・高校時代ソフトボール部に所属。大学時代軟式野球サークル。前職での仕事をきっかけに初めて硬式野球の道へ。現在、埼玉県内の硬式野球クラブチームに所属。チームの紅一点として奮闘中!

(このコーナーは毎週第1・3木曜日に更新いたします)
◎バックナンバーはこちらから