「みんなの意見を聞かせて欲しい」
 練習前に大塚監督が選手を集め、監督を囲んで選手が座りました。何の話かと戸惑い気味の選手に、監督は言いました。
「来年から本拠地を東京に移すことになったら、お前たちはどう思う?」
(写真:東京進出は成功するのか?!)
 まったく事態が飲み込めず、さらに戸惑う選手たちを前に、監督が説明しました。
「今まで、練習場所が不安定だったり、平日練習したいっていう気持ちにもなかなか答えてあげられなくて、野球をやりたいと集まってきてくれたお前たちに、良い環境を作ってあげられてないと思う。
 来年からはもっといい環境でやってもらいたいと思って、いろいろと模索していたら、チームをサポートしてくれる、と言ってくれた人がいた。まだ決定していない段階だけど、話は前に進んでいる。
 この話が進むと、大きく変わることがある。それは本拠地。今まで、埼玉のチームとして活動してきたけれども、東京の連盟に所属して、東京都で活動していくことになる。
 このチームはみんなのチーム。みんなの意見を聞いて話を進めていきたいと思ってる。埼玉から東京に移ることをお前たちはどう思う?」

 選手は、一様に無言でした。安藤コーチの「野球ができる環境が整うならば、東京でも埼玉でも変わらない」という考えに異論がないのだと思います。

 監督が提案してくれた東京都所属のチームになることで得られるのは
?グラウンドの確保
?スポンサーの確保
?行政との関わりを持つことによって地域密着の活動ができる
 などが考えられます。チームや選手にとっては願ってもない恩恵です。チームが目指す地域密着球団という目標にも近づきます。

 その反面、デメリットもあるのでは、と思っています。
?埼玉という地域色がなくなり、監督・コーチが全員元西武ライオンズということの意味が薄れてしまう
?練習場所が遠く(西多摩方面)、場所が確保されていても練習に通うことのできる選手が今年時点で少ない(チームの9割が埼玉在住)

 選手の中にも、練習場所の遠さに不安がある者がおり、引き続き継続審議になりそうです。

 そんなことは言っても、弱小クラブチームにいただいたまたとない良いお話。チームにとって良い方向へ進められるよう、監督を中心に話し合っていきたいと思っています。

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広瀬明佳(ひろせ・さやか)
福島県郡山市出身。母がソフトボール、兄が野球をやっていたことから中学・高校時代ソフトボール部に所属。大学時代軟式野球サークル。前職での仕事をきっかけに初めて硬式野球の道へ。現在、埼玉県内の硬式野球クラブチームに所属。チームの紅一点として奮闘中!

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