10月28日に今季最終公式戦(社会人秋季大会)が行われました。
 この日のヒーローは間違いなくサードの山崎拓夢だったと私は思っています。逆転2点タイムリーは山崎の気持ちがこもった一打でした。
(写真:今季最終公式戦。キャプテンを中心にサインの確認)
 山崎は結成当初から所属している選手です。この2年間で片手でも余るくらいしか欠席しておらず、まだ19歳ながら大御所感たっぷりです。

 本来はセカンドを守っていましたが、なかなか他の選手が食い込むことができません。サードには東北福祉大出身の仙田がおり、スタメンはなかなか難しいのが現状でした。
 その後、サードの仙田が仕事の都合であまり参加できず、サードのポジションが空くようになり、山崎は練習のときからサードを守るようになりました。

 そんな山崎を変えたのは、5月のリーグ戦でした。ダブルヘッダーだったこの日は仙田が不在で、山崎が初めてスタメンでサードに入りました。
 ところが山崎は次々とエラーをしてしまいます。監督は黙って見ていましたが、1試合目が終了したあと、山崎は名指しできつく注意されていました。
 サードを外されても仕方がない状況でしたが、2試合目も山崎はスタメンでした。監督の思いも届いたのでしょうか、1試合目のようなプレーはありませんでした。
 試合後、長いミーティングがありました。ミーティング後、球場を出たところに山崎のご両親がいらっしゃいました。
 「少しきついこと言ったんでかなりへこんでるかもしれません」と言った監督に、ご両親は「どんどん言ってください」とおっしゃっていました。

 その試合から5ヶ月がたった最終戦、1点をリードされた4回裏1アウト2・3塁でバッターは9番の山崎。「絶対にランナーをホームにかえして!」というチーム全員の気持ちを乗せて、山崎の打球はレフト前へ抜けました。2点が入り逆転。頼れる男はもう「仙田の代わり」ではありません。
 「サードはやまちゃんやな」
 来年以降もスタメン発表のときにはこう言われ続けることを願っています。


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広瀬明佳(ひろせ・さやか)
福島県郡山市出身。母がソフトボール、兄が野球をやっていたことから中学・高校時代ソフトボール部に所属。大学時代軟式野球サークル。前職での仕事をきっかけに初めて硬式野球の道へ。現在、埼玉県内の硬式野球クラブチームに所属。チームの紅一点として奮闘中!

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