3月23日(日)、J2リーグ戦の第4節となる愛媛FC対ザスパ草津の一戦が、愛媛のホーム「ニンジニアスタジアム」にて行われた。 
 ここまで(3月22日現在)3試合を消化して2勝1敗と、まずまずの戦績で、2008シーズンのスタートを飾った愛媛FC。因縁の「温泉ダービー」を制して、このリーグ戦をますます勢いに乗って進みたいところである。
(写真:コーナーキックのチャンス、ゴール前での攻防)
 この日の愛媛県総合運動公園は、朝から小雨と強風に見舞われるという、あいにくの天候。雨に濡れたピッチは、スリッピーな状態にあり、コンディションは御世辞にも良い状況とは言えない。
 午後2時、ザスパ草津のキックオフで試合がスタートした。前半戦、風上から攻める愛媛FC。

 前半0分、キックオフと同時に、敵FWが愛媛陣内にボールを大きく蹴り込んできた。
 そこからのルーズボールを、最終ラインのDF星野真悟選手が、トラップを挟まず、敵DF陣裏のスペースに向けて、ロングフィードを蹴り返す。風に乗って勢いのついたフィードボールは、敵DFも追い着くことが出来ず、ペナルティアーク付近まで飛んで大きくバウンド。そのままペナルティエリア内に落下してくるボールに、FW内村圭宏選手が追い着き、スライディングしながら、左足でノートラップ・ボレーシュートを放つ。

 ボールは低い弾道で、敵GKが伸ばした手の先を擦り抜け、ゴールに向かうが、惜しくもゴールポストに弾かれ、再び、ペナルティエリア右サイドに転がった。ここに飛び込んで来たのが、FW若林学選手。ポストが跳ね返したボールを捕らえ、右足でゴールに押し込んだ。

「驚きの先制ゴール!」
 試合開始の笛から僅か15秒で、歓喜の瞬間が訪れたのだ。大歓声の中、サポーター達が、若林選手を称えるコールを繰り返し、喜びを爆発させる。電撃的なスピードゴールに、観客もチームベンチも驚きと喜びで、大興奮の状況となった。
 
 その後も素早いチェーシングとパス廻しで、追加点を狙い続ける愛媛FC。
 前半36分、ゴールキックからのフィードボールを、敵陣内の内村選手が敵DFを背負いながらキープ。内村選手からのボールをMF江後賢一選手が受け取り、右サイドを駆け上がる若林選手に向けて、アーリークロスを供給する。ペナルティエリア内で、このボールを受けた若林選手が、ワントラップを挟み、豪快に右足を振り抜いた。惜しくも敵GKにセービングされるが、素晴らしいシュートを魅せてくれた。
 
 毎シーズン、ラフなプレーが目立つ草津。今節も、必要以上に激しく接触プレーを繰り返し、愛媛イレブンのプレーを阻害する。度々に渡り、危険なシーンが見受けられるが、主審の注意も甘く、歯痒さを感じてしまう。
 
 両チーム、一進一退の攻防が続き、1−0と愛媛FCリードのまま、後半戦に突入した。後半、風下に立った愛媛FC。
 後半2分、敵のセットプレーからの攻撃で、失点を喫する。風下からの攻撃や守備に慣れる暇もなく同点に追い着かれ、苦しい展開となった。後半13分にも、自陣ゴール前での混戦において、敵FWにゴールを決められ、相手に2点目を献上してしまう。
 
 1点を追いかけ、愛媛FCは攻撃陣を投入し、反撃を試みる。後半25分には、MF青野大介選手のミドルシュート。ロスタイムにも、ロングフィードで敵陣ペナルティエリアにボールを送り込み、FW田中俊也選手のポストプレーから若林選手の強烈シュートが見られるなど、惜しい場面も多々あったが、いずれも得点には結び付かない。そんな中、時間は無情にも過ぎ去り、ついにはタイムアップ。1−2で愛媛FCが悔しい逆転負けを喫した。
(写真:FW陣に向けて、ロングフィードを供給)
 
 今節、納得のいかない主審のジャッジにも苦しめられたが、今一度「STRONG WILL(揺るぎない意志)」のチームスローガンを思い出し、今後のリーグ戦では、相手の激しいプレッシャーを跳ね返すような、力強いプレーを見せて欲しいと感じている。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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