4月5日(土)、J2第6節となる愛媛FC対サガン鳥栖の一戦が、愛媛FCのホーム「ニンジニアスタジアム」にて行われた。 
 ここまで5試合を消化して、2勝3敗と黒星が先行してしまった愛媛FC。リーグ戦順位は9位(4月4日現在)。この試合を勝利して、星を五分に戻したいところである。
(写真:敵DFと競り合いつつ、ヘディングシュート!)
 桜並木の花たちが、満開の季節を迎えた愛媛県総合運動公園。花曇りの天候ながら、雨の心配はなく、ピッチコンディションも良好だ。
 午後1時、サガン鳥栖のキックオフで、試合がスタートした。立ち上がり、愛媛陣内で、素早いプレッシャーを仕掛けてくる鳥栖。最終ラインでの安易なパス廻しや中途半端なクリアは禁物だ。

 そんな中、プレッシャーを掻い潜りながら、サイドスペースを活かしたカウンター攻撃を展開し、徐々にリズムを掴み始める愛媛FC。
 前半11分、MF宮原裕司選手が、敵陣内に向け、大きくボールを蹴り込んだ。敵DFが、このボールをクリアするも、すぐさまFW大木勉選手が頭で、右サイドスペースのMF赤井秀一選手へとパスを送る。そのまま、ノートラップで素早く敵DFライン裏のスペースに向け、ボールを送り出す赤井選手。ペナルティアークでバウンドしたボールに追いついたのは、攻撃の基点となった大木選手だ。バウンドしてペナルティエリアに落下してくるボールを捕らえ、左足を振り抜き、ダイレクトシュートを放った。しかし、敵GKが前に飛出し、必死のクリア。惜しくも得点には、至らなかったが、鮮やかな速攻だった。
 
 ここまでの展開から、愛媛に流れが傾き掛けていると感じていたのだが、前半22分、セットプレーから、あっさりと失点を喫する。自陣ペナルティエリア内にて、マークに付ききれず、敵選手をフリーにしてしまったのだ。
 
 愛媛FCも黙ってはいない。反撃開始である。前半33分、敵陣中央でボールをキープしたMF横山拓也選手。遠めから放った彼のロングシュートが、敵DFに当たり、ボールはペナルティエリアに攻め上がって来た大木選手の足元へと転がった。トラップを挟み方向を整え、左足でシュートを放つ大木選手。しかし、またもや敵GKに阻まれ、ゴールならず。惜しいチャンスを逃した。
 
 前半40分にも、右サイドを大木選手と赤井選手が切り崩し、赤井選手がペナルティアークに折り返したボールを、MFキム・テヨン選手がとらえ、豪快にミドルシュートを放つが、敵GKのセービングで、同点ゴールには至らなかった。
 
 前半45分、DF津田琢磨選手からセンターライン上に陣取る大木選手にパスが出される。背後を駆け上がる宮原選手にワンタッチでパスを送る大木選手。そのまま、宮原選手が、ドリブルでペナルティアークまでボールを持ち込む。右サイドを攻め上がる大木選手に向けて、ラストパスを供給する宮原選手。ペナルティエリアから右足を振り抜き、シュートを放つ大木選手。しかし、ゴールマウスをとらえることは出来なかった。
 
 反撃ムードが高まる中、0−1のスコアで前半戦が終了し、後半戦に突入。
 愛媛の反撃が期待される後半の立ち上がりだったのだが、後半10分、味方DFのクリアミスから一瞬の隙を突かれ、相手に追加点を献上してしまった。手痛い失点に、観客席からも溜め息が漏れる。それでも大きなコールと声援で、愛媛イレブンに、奮起を促すサポーター達。この声が耳に届いたのか、サイドスペースからの素早い攻撃で、愛媛は積極的に反撃を開始する。
(写真:ゴールを目指し、サイドスペースを駆け上がる!)
 
 後半33分、センターサークル付近にて敵のクリアボールを拾ったDF星野真悟選手が、そのまま、ドリブルで敵陣中央を駆け上がる。敵DFラインで陣取るFW若林学選手にボールを預ける星野選手。若林選手はマイナス方向のキム・テヨン選手に一旦ボールを戻す。キム・テヨン選手は右サイドをオーバーラップで駆け上がる宮原選手へとスルーパスを出した。

 宮原選手はそのまま、右サイドの高い位置から、ファーサイドに向けてセンタリングを供給する。ファーサイドで敵DFと競り合いながら、このボールをジャンピングヘッドでゴール前に折り返したのはFW内村圭宏選手。最後は、ゴール前に詰めていた星野選手が、このボールを頭で押し込み、愛媛が執念で、1点をもぎ取って見せた。待ちに待ったゴールシーンに、スタンドからは、大歓声が巻き起こる。
 
 その後、敵DFライン裏を狙ったロングフィード等を駆使し、闘志溢れるプレーで、同点に向け、反撃を試みる愛媛イレブンだったが、時間は経過し、ついにはタイムアップ。
 最終スコアは1−2で、愛媛FCの惜敗であった。ついに3連敗を喫してしまった愛媛FC。この結果、順位は、3つ落として12位となった。
  
 先発要員に故障者が続出し、戦術バランスが保てず、攻守の安定感にも不安を残す愛媛。
 今後も苦戦を強いられるのかもしれない。選手起用を含め、望月一仁監督の手腕が試されることになりそうだ。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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