日本サッカー協会は14日、26年W杯アジア2次予選・北朝鮮代表戦(3/21国立、3/26平壌)のメンバー26名を発表した。DF長友佑都(FC東京)がカタールW杯以来に代表復帰。FW小川航基(NECナイメヘン)は約4年3カ月ぶりに招集された。また、性加害疑惑(推定無罪)が報じられているFW伊東純也(ランス)の招集は見送られた。
アジア二次予選・グループBの首位を走る日本(勝ち点6)。森保一監督は勝ち点3で2位につける北朝鮮との2連戦で、37歳の長友を呼び戻した。指揮官はカタールW杯ぶりにベテランを招集した理由を説明した。
「ピッチ内外で存在感を発揮できるが、まずは何よりもいちプレーヤーとして彼を選んだ。Jリーグで3節プレーしているところを見て、私の主観で言えばFC東京で良いプレーをしていると評価したし、客観的なデータもトップの数値を出している。1対1の局面で良い守備から良い攻撃につなげるプレーをクラブで示している。代表でも彼の力を生かして戦いたい」
もうひとりの注目はオランダリーグで活躍する小川だ。リーグ戦23試合に出場し、8ゴールを決めているFWは、2019年E-1選手権以降、代表からは遠ざかっていた。復帰理由は「点を取っている。結果が出ている。しかし、それだけでなくチームのために守備もできている」(森保監督)と至ってシンプルだった。
女性2人への性加害疑惑を報じられた伊東の招集は見送られた。伊東は現在、推定無罪とされているためフランスリーグでプレー可能で、5試合連続先発出場中と好調を維持している。森保監督は、伊東の選外についてこう語った。
「純也の件に関して、一言でいうと彼を守るために招集しなかった。私自身、そういう判断をした。フランスリーグでプレーしていますし、彼のパフォーマンスを踏まえると、招集はしたいと思った。しかし、招集した場合、ここ日本で彼を取り巻く環境がどうなるのか想像したときに、彼が落ち着いて生活ができて、落ち着いてプレーできるという環境にはなかなかならないと、私は想定している。
彼だけでなく、チームとして活動するときに全体が落ち着いて活動できる環境には、おそらくならないだろうと思った。また、いろんな方が関心を持っているので、その中で彼が一番大切にしている家族の方々に対しての影響を考えると招集しない方が今は良いのかなということで判断させてもらいました」
1月に行なわれたアジアカップでは準々決勝で敗退した。グループリーグで土をつけられたイラク戦、決勝トーナメントで黒星を喫したイラン戦は、ともにロングボールの対応に難儀した。森保監督は「アジアカップでの成績は残念な結果に終わり、申し訳ない」と語り、つづけた。
「セットプレーからの失点は改善できるように。オープンプレーではロングボールで我々は難しい状況に追い込まれた。セットプレーにしてもオープンプレーにしてもシンプルにロングボールを蹴られたとしても、どうやって守備の対処をして攻撃につなげられるか、というのは選手たちと確認したい」
北朝鮮はフィジカル勝負に持ち込んでくることが予想される。日本の弱点をアジアカップで露呈してしまったため、ロングボール対策は喫緊の課題である。身長190センチのセンターバック・町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ)、184センチの渡辺剛(ヘント)ら、空中戦に強い選手に出番はくるか。森保監督のテコ入れ次第で、日本は大きく前進するだろう。
(文/大木雄貴)
◆3/21、3/26対北朝鮮代表戦メンバー◆
GK
前川黛也(ヴィッセル神戸)
大迫敬介(サンフレッチェ広島)
鈴木彩艶(シントトロイデン)
DF
長友佑都(FC東京)
谷口彰悟(アル・ラヤン)
板倉滉(ボルシアMG)
渡辺剛(ヘント)
町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サンジロワーズ)
毎熊晟矢(セレッソ大阪)
伊藤洋輝(シュツットガルト)
橋岡大樹(ルートン・タウン)
菅原由勢(AZ)
MF/FW
遠藤航(リバプール)
浅野拓磨(ボーフム)
南野拓実(モナコ)
守田英正(スポルティング)
相馬勇樹(カサ・ピア)
小川航基(NECナイメヘン)
前田大然(セルティック)
堂安律(フライブルク)
上田綺世(フェイエノールト)
田中碧(デュッセルドルフ)
川村拓夢(サンフレッチェ広島)
中村敬斗(スタッド・ランス)
佐野海舟(鹿島アントラーズ)
久保建英(ソシエダ)