サッカーワールドカップ2026年大会アジア2次予選第3節の日本代表(FIFAランキング18位)対北朝鮮代表(同114位)戦が21日、東京・国立競技場で行なわれ、1対0で日本が勝利した。前半2分、MF田中碧(デュッセルドルフ)が右からの折り返しに右足で合わせて日本が先制し、この1点を守り切った。この結果、日本はグループBの首位をキープ(勝ち点9)した。また、26日に平壌で予定されていた第4節は開催地未定となった。

 

 後半、ひやりとするも勝ち点3(国立)

日本代表 1-0 北朝鮮代表

【得点】

[日] 田中碧(2分)

 

 試合開始早々、日本が均衡を破った。敵陣左サイドの深い位置でFW上田綺世(フェイエノールト)が相手DFを2人ひきつけながら粘りを見せ、フォローに入った田中に落とす。田中はファーサイドにクロスを上げると、これをMF堂安律(フライブルク)が中央に折り返し、MF南野拓実(モナコ)がシュートを放つ。惜しくもDFにブロックされるものの、再び堂安が折り返すと詰めていた田中が右足インサイドで合わせ、ゴール右に決めた。

 

 早々に先制した日本だったが、追加点が奪えなかった。12分にはMF守田英正(スポルティング)、13分には堂安に決定機が訪れるがゴールネットを揺らすには至らず。43分には再び堂安が上田、南野との連係からGKとの1対1を迎えるが、相手のファインセーブに阻まれた。

 

 後半に入ると北朝鮮がギアを上げてきた。2分、相手GKからのロングキックが日本陣地でワンバウンドし、一気にゴール前へ。11番のMFジョン・イルグァンがヘディングでつなぎ、10番のMFハン・グァンソンがペナルティーアーク付近から左足でハーフボレーを放つと、シュートは右ポスト直撃。このこぼれ球を20番のペク・チョンソンが左足でゴール左を狙いすまし、見事ゴールネットを揺らした。しかし、シュート直前にジョン・イルグァンがDF伊藤洋輝(シュツットガルト)が倒されたとし、ファウルの判定となった。北朝鮮としは手痛いジャッジだったに違いない。

 

 10分には右サイドからクロスを入れられ、MFリ・イルソンに頭で合わせられたが、これはGK鈴木彩艶(シントトロイデン)がセーブした。

 

 守備を立て直したい森保一監督は早い段階でMF遠藤航(リバプール)をアップゾーンから呼び寄せ、13分に守田に代えてピッチに送り込んだ。

 

 この日はとことん、追加点が遠かった。35分には伊藤のスルーパスに抜け出した上田が左足でゴール右を狙ったが惜しくもGKのセーブにあった。虎の子の1点を守り切り、日本が逃げ切った。

 

 先制点を決めるなど殊勲の活躍を見せた田中は試合後、こう得点シーンを振り返った。

「(上田)綺世が相手DFを2枚ひきつけてヒールで落としてくれた。その前に目があったので来るかなと思った。あまり近くに寄り過ぎず、待っていればパスがくるかなと思った。すごくいいパスが来た。(ファーサイドの堂安)律は見えていて、欲を言えば律が直接決めてくれたらよかったかなと思いますが、こぼれをまた律が折り返してくれた。マイナスの位置が空いていたので、いいボールをくれたので決めるだけだった」

 

 とどめの1点が奪えず四苦八苦した。全体のオーガナイズ役を担った守田はこう語った。

「エアーバトルとか、簡単に言ったら球際とかセカンドボールの拾い合いとかになる。言葉では簡易的にしか言えないですが、1次攻撃が終わったところでどちらのボールになるか、しっかり拾って2次攻撃につなげられるか。そこの厚みが足りなかった。あとは少なくとも僕にもチャンスはありましたし、しっかり決めておけば……点を取って初めて展開がかわるスポーツなので、それが決まらなければ相手にチャンスを与えてしまう。そこの試合を決め切る、相手のやる気を奪うようなものが必要なのかなと思います。言うのは簡単ですが足りなかった」

 

 また、26日に平壌で開催予定だった第4節の日本対北朝鮮戦が、「開催地白紙」となったことが21日に分かった。北朝鮮では日本の「悪性伝染病」が報じられている。平壌での開催中止の理由は、劇症型溶血性レンサ球菌感染症を警戒した防疫上の措置の影響とみられている。北朝鮮側から代替開催地の候補は提示されていないという。

 

(文/大木雄貴)