愛媛FCレディースが参戦する「プレナスなでしこリーグ1部」。新監督に望月隆司さんを迎え、いよいよ2024シーズンがスタートした。

 

 昨シーズン、5勝7分け10敗(勝ち点22)で、リーグ戦(12チーム中)9位に終わった愛媛FCレディースチーム。昨シーズン序盤は成績不振で降格の危機さえ感じられる状況だった。それでもシーズン後期では、上位チームを相手に試合終了間際に追い付き、引き分けに持ち込むなど、粘り強い戦いを見せ、細かく勝ち点を積み重ね、何とか降格を免れた。

 

 一方、リーグ戦終了後に開催された「皇后杯JFA第45回 全日本女子サッカー選手権大会」では、大きな躍進を見せてくれた。

 

 2回戦から登場した愛媛FCレディース。初戦は、関東代表の十文字高校に「4-0」で快勝を収める。

 

 続く3回戦においても関西代表の大阪体育大学にスコア「2-0」と完封勝利。

 

 次戦では、(2023シーズン)なでしこリーグ1部で優勝を果たした「オルカ鴨川FC」を倒し4回戦進出を決めた東海代表の藤枝順心高校と対戦(藤枝順心高校サッカー部は今年、全日本高等学校女子サッカー選手権大会で優勝したチーム)。

 

 前半17分、愛媛のコーナーキックでの攻撃から相手のオウンゴールを呼び込み先制。

 

 後半5分にはFW田子夏海選手の得点でスコア「2-0」。直後に1点を返されるが、後半38分に途中出場のFW今蔵綾乃選手がドリブル突破からゴールを決めてダメ押し。

 

 難敵を相手に最終スコア「3-1」で愛媛FCレディースが5回戦へと駒を進めた。

 

 その5回戦ではプロリーグであるWEリーグ所属のマイナビ仙台レディースと対戦。

 

 前半は、相手の猛攻を凌ぎ切りスコア「0-0」で終了。後半7分、愛媛ゴール前での混戦から相手FWにシュートを決められ先制を許す。

 

 その後も自陣へ押し込まれる苦しい展開が続くが、粘り強い守備からリズムを取り戻す。細かなパスを駆使して相手陣内でビルドアップを図る愛媛。後半39分、MF大宮央選手が敵陣内・中央に陣取るFW松本苑佳選手へとボールを送る。松本選手はドリブルで中央を駆け上がり、相手DFラインの裏を取った田子選手に右足アウトサイドでふわりと浮かせたラストパスを供給。ボールを受けた田子選手が敵DFと競り合いながらペナルティエリアまで持ち込み左足でシュートを放つ。ボールは敵FGKの脇を擦り抜け、見事ゴール! 土壇場で愛媛が同点に追い着いた。

 

 しかし、その3分後、自陣ペナルティエリア内での愛媛側のファウルから、相手にPKを与えてしまう。このPKを決められスコア「1-2」と再び1点のビハインド。

 

 その後、愛媛は必死の頑張りを見せるが、

僅かな残り時間で追い着くことは叶わず試合終了。

 

 悔しい敗戦に終わったが、日本最高峰の女子リーグであるWEリーグにて昨シーズン(2022-2023シーズン)4位という好成績を収めた「マイナビ仙台レディース」に対して、臆することなく立ち向かい、善戦したことはとても誇らしく思えた。

 

 愛媛FCレディースの選手達も皇后杯に挑む際「5回戦へ進出し、WEリーグのチームと対戦する」ことを、当初の目標に掲げていた。そこに辿り着いたことは、本当に評価できるし、チームの成長を感じられた。

 

 3月17日(日)、「2024プレナスなでしこリーグ1部」が開幕。愛媛FCレディースは朝日インテック・ラブリッジ名古屋と対戦。

 

 会場となる愛媛県総合運動公園球技場は朝から冷たい雨が降る生憎の天候。

 

 昨シーズン、なでしこリーグ1部にて準優勝の強豪クラブ名古屋。その名古屋に試合序盤から自陣へと押し込まれる苦しい展開が続く愛媛。前半18分、セットプレーから先制点を奪われる。

 

 その後も、なかなか攻撃のリズムをつくれない愛媛だったが、前半終了間際には連続でコーナーキックから得点チャンスを掴むなど、反撃の場面も見ることができた。

 

 後半に入ると少しずつ、相手陣内でボールキープをできる時間が増えた。11分、左サイドのスローインからFW小島和希子選手や田子選手、松本選手がパスを繋ぎ、最後はペナルティアークから田子選手がシュートを放つが、惜しくもゴールマウスを捉えることはできなかった。

 

 後半24分には、右サイドでボールをキープしたDF丸山ちさと選手が、ゴール前にアーリークロスを供給。このボールに反応したFW桜井由衣香選手がヘディングシュートを放つが、GKに弾かれる。直後、MF久保田晴香選手がこぼれ球に反応したが、ゴールに押し込めず。

 

 決定機を迎えるものの得点には至らない愛媛。逆に、相手のロングフィードから25分に失点。会場には重たい空気が漂い始める。

 

 それでも愛媛の選手たちは俯くことなく、ロングフィードやサイドのスペースを利用するなど、反撃を試みる。試合終了間際には相手ゴール前でのルーズボールに反応した丸山選手がミドルシュートを放つなど魅せ場はあったが得点には結び付かなかった。

 

 その後、無情にも時間は過ぎ去りタイムアップ。最終スコア「0-2」で残念ながら敗戦。

愛媛は新シーズンの開幕戦を勝利で飾ることはできなかった。

 

 結果は伴わなかったが試合中、随所で闘志溢れるプレーを見せてくれた愛媛FCレディースの選手たち。試合後の挨拶では、サポーターから温かい拍手が送られていた。

 

 初戦を落とし不安が残るものの、まだまだ始まったばかり。望月監督の指揮により、シーズンを通してどのような変化がチームにもたらされるのか、楽しみである。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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