長友佑都の代表復帰が意味すること

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 森保ジャパンのアジア2次予選突破が決まった。

 

 3月21日に東京・国立競技場で北朝鮮代表に1-0と勝利。続いて平壌に移動してアウェイマッチに臨む予定だったが、北朝鮮サイドが開催を返上したためにFIFA(国際サッカー連盟)が中止を通達したうえで没収試合に。FIFAの規定によって3―0で日本代表の勝利となり、6月の2試合を残して最終予選進出が決定した。

 

 優勝を目指しながらもベスト8に終わったアジアカップを受け、今回、森保一監督が37歳の長友佑都を日本代表に復帰させたことは大きなサプライズとなった。中山雄太の負傷を受け、かつチームに活力を与える存在であり、激しいファイトになることも想定したうえで経験豊富なベテランを頼ったわけだ。国立での試合において出場はなかったものの、ベンチから立ち上がって選手たちを大きな声で鼓舞していた。チームの最年長者として、プレーだけではない己の役割を果たそうとする長友の姿があった。

 

 長友の代表復帰が意味することは何か――。

 

 カタールワールドカップを終えて昨年3月に新しくチームを立ち上げる際、キャプテンだった吉田麻也を始め、川島永嗣、権田修一、酒井宏樹、長友ら30代半ばのベテランたちが軒並み外れることとなった。森保監督は次回2026年の北中米ワールドカップを見据えて、一気に若返りを図ろうとした。

 

 しかしアジアカップはグループステージからバタバタした試合展開が続き、イラン代表との準々決勝では先制しながらも受け身に回った後半に2点を奪われて逆転負けを食らった。交代カードを含めて采配がハマらなかった指揮官の責任であることは言うまでもないが、チームの一致団結を呼ぶには場数を踏んだベテランの力が必要だとあらためて感じた試合にもなった。おそらく森保監督はこのことも頭に入れて、長友を呼び戻したのであろう。

 

 A代表の歴史を振り返ってみても、ベテランの力が頼りにされてきた。一例を挙げれば2010年の南アフリカワールドカップでチームキャプテンとして束ねた川口能活然り、先の2022年カタールワールドカップで言えば川島永嗣然り、たとえ出場できなくても存在感を発揮した選手たちが多くいる。

 

 森保ジャパンに話を戻せば、6月の“消化試合”2試合を終えるとアジア最終予選に入っていくだけに経験値の高いベテランの招集を継続する可能性は十分にあると言える。

 

 無論、戦力として日本代表の力になることが前提ではある。

 

 長友以外にも候補を挙げるとするならば、同じくサイドバックの酒井宏樹ではないだろうか。アジアカップでは右サイドでの空中戦で劣勢に回るシーンが目立った。空中戦のみならずセンターバックをフォローするポジショニングや連係の主導など、彼の存在があまりに大きいことにあらためて気づかされた大会にもなった。

 

 2021年の東京オリンピック。左サイドバックに入る中山が、オーバーエイジ枠でメンバー入りした逆サイドの酒井から学んでいた。

 

 中山がしみじみと語っていたことを思い出す。

「試合のハーフタイムでもそれ以外でも質問攻めみたいな形で酒井選手から教わりました。この状況で何を捨てて何を選択しなきゃいけないのか、そもそも僕は持っていなかったので、最初の基準になったのは大きかったと思います」

 

 経験値の高いベテランがチームに入ってくるのは、時代の逆行などとは思わない。むしろ“教材”となることでチームの、そして個々の成長を後押しすることにもつながる。

 

 昨季のJリーグMVP、大迫勇也は今まさにピークではないかと思えるほどのパフォーマンスを続けている。競り合いのなかで体の使い方、ボールの扱い方はもはや芸術の域に達する。たとえば彼が代表に復帰すれば、プレーの一つひとつから学べることは多い。WBCでダルビッシュ有が若手投手に多大な影響を与えたように、ベテランを活用するマネジメントがあっていいはず。長友の復帰が、森保ジャパンに新たな展開を呼び起こすことになりそうだ。

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