5月25日(日)、J2第16節となる愛媛FC対ヴァンフォーレ甲府の一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。 
 前日から降り続いた雨も午前中には止み、晴天に恵まれた愛媛県総合運動公園。しかしながら、水はけの悪いピッチ上には水溜りが残っており、グラウンドコンディションは良好とは言えない状況。
(写真:ナイターで行われた対甲府戦)
 夕闇迫る午後7時、甲府のキックオフで試合がスタートした。
 立ち上がり、素早いチェックで敵の攻撃の芽を摘んでいく愛媛FC。左サイドスペースを活かした攻撃を展開する流れの中から、FW内村圭宏選手のオープニングシュートが生まれる。だが、前方に立ちはだかった敵DFの足にボールが当たり、惜しくもゴールマウスを捕らえることは出来なかった。

 内村選手の、このシュートにより、コーナーキックのチャンスを掴んだ愛媛FC。前半3分、左コーナーからMF赤井秀一選手が、センタリングをゴール前に供給する。このボールをMFキム・テヨン選手が捕らえ、ヘディングシュートを放つも、敵DFに当たり、ゴールライン外へ。

 再び、同サイドからコーナーキックのチャンスを得た愛媛。1度目のコーナーキックでセンタリングの感覚を掴んだ赤井選手が、ゴール前に絶妙のセンタリングを供給する。このボールを捕らえたFW田中俊也選手が、敵DFとのジャンプ合戦に競り勝ち、ヘディングシュートを放った。ボールは、敵GKの伸ばした手の先を擦り抜け、見事ゴールイン!

 試合開始早々の先制ゴールに、スタンドからは、大歓声が湧き起こる。田中選手の周りに選手仲間が集まり、手荒な祝福。サポーター達も「WE ARE EHIME!」のコールを繰り返し、喜びを爆発させていた。
 
 何よりも欲しかった先制ゴールを手に入れ、自分たちのペースで試合を進める愛媛FC。
 リスクを負いつつも、積極的な攻撃を展開しており、観ていて気持ち良さを感じる。出足好調の愛媛。ピンチのシーンでも、チーム一丸となった素晴らしい守備を魅せてくれた。

 前半37分、敵にコーナーキックを与え、ピンチを迎える。自陣コーナーからのセンタリングを、ゴール前の敵DFに合わされ、ダイビングヘッドを放たれた。ボールは、GK多田大介選手の頭上を擦り抜け、ゴールマウスへと進んでいく。しかし、多田選手の後方・ゴールライン上で守っていた田中選手が、胸でボールを押し出し、必死のセービング。なんと先制点を叩き出したFWの田中選手が、愛媛ゴールを死守したのだ。
 
 前半戦は1−0。愛媛FCのリードで終了した。後半立ち上がり、反撃に向け、積極的に攻撃を仕掛けてくる甲府。その攻撃をかわし、カウンター攻撃を試みる愛媛。
 相手チームが繰り出す流れの中での攻撃に耐えてきた愛媛イレブンだったが、後半18分、敵コーナーキックからのリスタートで失点。同点に追い着かれてしまった。
 
 この得点により甲府に勢いが蘇る。敵の強力なプレッシャーにより、リズムが掴めない。
 この局面に望月一仁監督が動く。後半24分にMF横谷繁選手、後半30分にはFW横山拓也選手を投入。この采配が見事、的中する。
 フレッシュな選手の豊富な運動量で、サイドスペースを活かした攻撃が展開される。良い流れを創り出し、徐々にリズムを取り戻す愛媛FC。

 後半38分、DF津田琢磨選手がセンターサークル内で敵FWの足元からボールを奪う。そのまま中央をドリブルで駆け上がる津田選手。左サイドをオーバーラップしていくDF三上卓哉選手に向け、パスを送る。ボールを受けた三上選手が、同サイドを駆け上がり、早いタイミングでアーリークロスをゴール前に供給。敵DFと競り合いつつ、ペナルティエリアに猛ダッシュで駆け込んで来た横山選手が、このボールを捕らえ、右足でノートラップ・ボレーシュートを放った。ボールは敵GKの足元を擦り抜け、見事ゴールネットを揺らした!

 素晴らしい攻撃展開による、勝ち越しゴール! スタジアム全体が、大興奮に包まれる。ゴール直後、サポーター席に突進してきた横山選手。自分の着ているユニフォームの胸にプリントされている愛媛FCのエンブレムを握り締め、サポーターに向かって誇らしげに掲げ、喜びを爆発させた。サポーター達による横山選手を称える声援とコールが鳴り止まない。
 
 その後も、一進一退の攻防が続いたが、ついにタイムアップ。最終スコア2−1で愛媛FCが、開幕戦以来のホームでの嬉しい勝利を収めた。
 
 攻守の入れ替わりが激しい、見応えのある素晴らしい試合だった。難敵相手に正面からぶつかり、勝利を手にした愛媛FC。大きな自信を手に入れたのではないだろうか。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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