6月15日(日)、J2第20節となる愛媛FC対水戸ホーリーホックの一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 スタジアムの在る愛媛県総合運動公園は、朝から小雨が降り続く、あいにくの天候。ホーム3連戦の第2戦目となる今節、前節は観ることが出来なかった「愛媛のゴールシーン」を、雨の中、集まった熱心な愛媛サポーター達に、是非とも見せてもらいたい。
(写真:セットプレー。敵ゴール前での激しい攻防)
 ピッチコンディションは、雨水の影響で若干スリッピーな状態。風は微風で、プレーへの影響は少なさそうだ。
 午後1時を回り、雨足が徐々に弱まる中、愛媛FCのキックオフで試合がスタートした。

 序盤からFW大木勉選手による巧みなポストプレーを攻撃の起点としつつ、敵陣内へと深く攻め入る愛媛の攻撃陣。また、中盤を支える選手達による果敢なオーバーラップ等も再三見受けられ、先制点奪取に向け、チーム全体の積極性が感じられる。

 時折、スピーディーな敵のカウンター攻撃に慌てる場面も見られたが、そこはDF陣が踏ん張り、ボール支配率でも相手を上回る展開。前半は、0−0とスコアレスに終わったが、後半に向けて期待の持てる試合内容だ。
 
 後半立ち上がり、主導権を取り返すべく、強引にボールをキープし、攻撃を組み立てる水戸。それに対し、素早いカウンター攻撃で、敵陣内フリースペースへと攻め込む愛媛イレブン。前半の試合展開とは逆の印象となった。その中から、愛媛FCがチャンスを掴み取る。

 後半8分、最終ラインのDF金守智哉選手から、敵陣内右サイドスペースに向けて、ロングフィードが供給される。MF横谷繁選手が、同サイドにて、このボールを受け、センターサークルに陣取るMF宮原裕司選手へとパスを送る。敵陣内左サイドスペースに向け、果敢にオーバーラップを仕掛けるDF三上卓哉選手を確認した宮原選手は、同サイド深い位置に向けてフィードボールを放った。
(写真:サイドスペースから攻撃を展開する愛媛)

 ボールに追いついた三上選手は、早いタイミングで、敵ゴール前に絶妙のクロスボールを供給する。ゴール前に駆け上がって来たFW三木良太選手が、このボールを捉えつつ、敵DFに競り勝ち、大きくジャンプ。豪快にヘディングシュートを放った。

 ボールは、敵GKが伸ばす手の先を擦り抜け、見事ゴールイン! 流れるような連係攻撃から、ビューティフル先制ゴールが生まれた。スタジアムが大歓声に包まれる。大興奮の愛媛サポーター。嬉しい今シーズン初ゴールの三木選手。
「ミキ・リョータ!オレ!!」
 彼を称えるコールが、鳴り止まない。

 このゴールで、更に勢い付く愛媛FC。
 後半25分、MF高杉亮太選手が敵のクリアボールを奪った。左サイドに陣取る金守選手へボールを預ける。金守選手は、同サイドスペースの深い位置に開いてポジショニングしていた三木選手に向け、ロビングのパスを送る。このボールに追い着いた三木選手が、ゴール前に向け、低い弾道のクロスボールを供給。敵DFが、ヘディングクリアを試みるも、ボールのコースは変わらず、そのままゴール前に転がった。

 そこに飛び込んで来たのは、何とセンターバックのDF南祐三選手。胸でボールをトラップして方向を整え、体勢を崩しながらも、右足を鋭く振り抜き、シュートを放った。ボールは敵GKの頭上を擦り抜け、見事ゴールネットに突き刺さった! これまた、素晴らしいゴール!

 両手を突き上げ、観客に向けアピールし、喜びを爆発させる南選手。ハイタッチや握手を繰り返し、喜びを分かち合うサポーターたち。
「ミナミ!ボンバイエ!!」
 南選手のゴールを称えるサポーターのコールが続く中、スタジアム全体に歓喜の輪が広がっていく。

 積極的な攻撃姿勢が実を結び、追加点を手に入れた愛媛FC。その後もリズムを崩すことなく、相手の反撃を凌ぎ切り、ついにはタイムアップ。
 最終スコア2−0で愛媛FCが、相性の悪い苦手チームを相手に快勝を収めた。
 
 素晴らしい得点シーンもさることながら、相手の攻撃を0点に抑えた粘り強い守備も評価できる今節。控えに甘んじていた選手たちが、久々のスタメン起用で、これまでのフラストレーションを爆発させ、蓄えていた力をピッチ上で発揮していたような印象を受けた。

 今後、レギュラーポジションの争奪戦は益々、チーム内で激化していくことだろう。夏場のサバイバル戦に向けて、望月一仁監督の采配を含めた選手起用にも大注目だ。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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