第109回「スプラッシュ」 〜J2第21節、横浜FC戦〜
6月21日(土)、J2第21節となる愛媛FC対横浜FCの一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
ホーム3連戦の最終戦となる今節。これまでの戦績は1勝1分。この最終戦を是非とも勝利で締めくくり、夏場のサバイバル戦に向けて弾みをつけたいところだ。
(写真:雨中の闘い。飛び散る水しぶき)
梅雨真っ只中の愛媛県地方。今節もスタジアムの在る愛媛県総合運動公園には、大粒の雨が降り注いでいる。雨水をたっぷりと含んだピッチ上には、所々水溜りが浮き上がるなど、コンディションは思わしくない状況。
雨脚が強まる中、時計は午後4時を回り、横浜FCのキックオフで試合がスタートした。
立ち上がり、ロビングでパスを繋ぎ、敵陣内へと攻め込む姿勢を見せる愛媛イレブン。しかし、雨水を含んだピッチ上では、ボールがイレギュラーな動きを繰り返し、選手たちの足元には、なかなか収まってくれず、普段のようなテンポ良い攻めが展開出来ない。また、選手たちが走る度、水しぶきが立ち上がり、スリッピーな芝生に足をとられ、バランスを崩してしまうシーンも、しばしば見受けられた。
それでも試合開始から10分を経過する頃から、フィードボールを多用したダイレクトプレーでシンプルにボールを進め始める愛媛イレブン。これが功を奏し、前半12分にはゴールチャンスが訪れた。
敵陣内、相手のクリアボールを拾ったMF赤井秀一選手が、右サイドをドリブルで駆け上がる。同サイドから早いタイミングでペナルティアークへ向けて、アーリークロスを供給する赤井選手。このクロスボールを捉えたMF宮原裕司選手が、巧みなワンタッチのヒールパスで、背後に陣取るFW大木勉選手へとボールを送る。
ボールを受けた大木選手は、ワントラップで敵DFをかわし、体を反転させながら、右足で豪快にシュートを放った! 低い弾道のボールは、敵GKの伸ばした手の先を擦り抜け、ゴール左隅に突き刺さった!
見事な先制ゴール!スタジアムに大歓声が湧き起こる。大木選手の周りに選手たちが駆け寄り、祝福を浴びせる。
「オオキーススムー!ラララーラララ!」
大木選手のビューティフルゴールを称え、サポーターたちが高らかにコールを唄い続ける。コンディションの悪い中、上手くボールを繋いで、先制ゴールを決めてみせた愛媛攻撃陣。素晴らしい攻撃展開だった。
しかし、喜んでいたのも束の間。前半22分、自陣での敵のセットプレーからの攻撃によるペナルティエリア内での混戦から、敵FWにゴールを決められ、同点に追い着かれてしまったのだ。
その後、一進一退の攻防が続く中、前半戦は、1−1の同点のまま終了。
後半立ち上がり、セットプレー等から得点チャンスを掴むものの、勝ち越し点を得ることが出来ない愛媛FC。「流れを掴むも得点出来ない」という嫌な雰囲気が漂う中、後半14分、自陣での敵のフリーキックからのルーズボールを敵DFに押し込まれ、逆に横浜FCへ勝ち越し点を献上してしまったのだ。
(写真:敵陣内、サイドライン際での攻防)
嫌な流れを断ち切り、ペースを取り戻すため、交代を指示し、フレッシュな選手を送り込む望月一仁監督。その采配がズバリ的中し、得点チャンスが舞い込んで来た。
後半24分、途中出場のFW田中俊也選手が右サイドから放ったアーリークロスは、敵MFにクリアされるも、これが敵陣ゴールラインを割ったことにより、愛媛FCはコーナーキックのチャンスを得た。
コーナーキックを蹴るのは、宮原選手。右コーナーからゴール前に向けて、絶妙のセンタリングを供給する。ゴール前で敵DFと競り合いつつ、このセンタリングを田中選手が頭で後方に逸らす。その背後の敵MFがクリアミスして弾いたボールを、大木選手が左足で、ふわりと浮かし、再びゴール前に折り返した。
このボールを捉えたのは、何とセンターバックのDF金守智哉選手。敵選手と交錯しながら、浮き球をヘディングシュートで見事、敵ゴールへ、ねじ込んだのだ! 泥臭さを感じる意地の同点ゴール!
この同点弾が、嬉しいJリーグ初ゴールとなった金守選手。チームメイトと抱き合い喜びを爆発させる。
「カナモリ!カナモリ!」
彼を称えるコールを歓喜のサポーターたちが連呼する。大歓声が湧き起こるスタンドと共に、益々ヒートアップするゲーム展開。スピーディーな攻守の入れ替わり、激しい攻防はタイムアップの笛が吹かれる最後の最後まで続いた。
そして、雨中の大熱戦は、最終スコア2−2の引き分けに終わったのだ。
これにより、ホーム3連戦の戦績は、1勝2分となった愛媛FC。ホームゲームだけに連勝といきたかったところだが、悪コンディションの中、3試合ともに勝ち点を手に入れられたことは、評価に値するのではないだろうか。
ピッチの状況を瞬時に判断し、頭を使い考えながらプレーすることが出来た愛媛の戦士たち。彼らの成長と逞しさを感じる3連戦だったと言えるだろう。
松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
ホーム3連戦の最終戦となる今節。これまでの戦績は1勝1分。この最終戦を是非とも勝利で締めくくり、夏場のサバイバル戦に向けて弾みをつけたいところだ。
(写真:雨中の闘い。飛び散る水しぶき)
梅雨真っ只中の愛媛県地方。今節もスタジアムの在る愛媛県総合運動公園には、大粒の雨が降り注いでいる。雨水をたっぷりと含んだピッチ上には、所々水溜りが浮き上がるなど、コンディションは思わしくない状況。
雨脚が強まる中、時計は午後4時を回り、横浜FCのキックオフで試合がスタートした。
立ち上がり、ロビングでパスを繋ぎ、敵陣内へと攻め込む姿勢を見せる愛媛イレブン。しかし、雨水を含んだピッチ上では、ボールがイレギュラーな動きを繰り返し、選手たちの足元には、なかなか収まってくれず、普段のようなテンポ良い攻めが展開出来ない。また、選手たちが走る度、水しぶきが立ち上がり、スリッピーな芝生に足をとられ、バランスを崩してしまうシーンも、しばしば見受けられた。
それでも試合開始から10分を経過する頃から、フィードボールを多用したダイレクトプレーでシンプルにボールを進め始める愛媛イレブン。これが功を奏し、前半12分にはゴールチャンスが訪れた。
敵陣内、相手のクリアボールを拾ったMF赤井秀一選手が、右サイドをドリブルで駆け上がる。同サイドから早いタイミングでペナルティアークへ向けて、アーリークロスを供給する赤井選手。このクロスボールを捉えたMF宮原裕司選手が、巧みなワンタッチのヒールパスで、背後に陣取るFW大木勉選手へとボールを送る。
ボールを受けた大木選手は、ワントラップで敵DFをかわし、体を反転させながら、右足で豪快にシュートを放った! 低い弾道のボールは、敵GKの伸ばした手の先を擦り抜け、ゴール左隅に突き刺さった!
見事な先制ゴール!スタジアムに大歓声が湧き起こる。大木選手の周りに選手たちが駆け寄り、祝福を浴びせる。
「オオキーススムー!ラララーラララ!」
大木選手のビューティフルゴールを称え、サポーターたちが高らかにコールを唄い続ける。コンディションの悪い中、上手くボールを繋いで、先制ゴールを決めてみせた愛媛攻撃陣。素晴らしい攻撃展開だった。
しかし、喜んでいたのも束の間。前半22分、自陣での敵のセットプレーからの攻撃によるペナルティエリア内での混戦から、敵FWにゴールを決められ、同点に追い着かれてしまったのだ。
その後、一進一退の攻防が続く中、前半戦は、1−1の同点のまま終了。
後半立ち上がり、セットプレー等から得点チャンスを掴むものの、勝ち越し点を得ることが出来ない愛媛FC。「流れを掴むも得点出来ない」という嫌な雰囲気が漂う中、後半14分、自陣での敵のフリーキックからのルーズボールを敵DFに押し込まれ、逆に横浜FCへ勝ち越し点を献上してしまったのだ。
(写真:敵陣内、サイドライン際での攻防)
嫌な流れを断ち切り、ペースを取り戻すため、交代を指示し、フレッシュな選手を送り込む望月一仁監督。その采配がズバリ的中し、得点チャンスが舞い込んで来た。
後半24分、途中出場のFW田中俊也選手が右サイドから放ったアーリークロスは、敵MFにクリアされるも、これが敵陣ゴールラインを割ったことにより、愛媛FCはコーナーキックのチャンスを得た。
コーナーキックを蹴るのは、宮原選手。右コーナーからゴール前に向けて、絶妙のセンタリングを供給する。ゴール前で敵DFと競り合いつつ、このセンタリングを田中選手が頭で後方に逸らす。その背後の敵MFがクリアミスして弾いたボールを、大木選手が左足で、ふわりと浮かし、再びゴール前に折り返した。
このボールを捉えたのは、何とセンターバックのDF金守智哉選手。敵選手と交錯しながら、浮き球をヘディングシュートで見事、敵ゴールへ、ねじ込んだのだ! 泥臭さを感じる意地の同点ゴール!
この同点弾が、嬉しいJリーグ初ゴールとなった金守選手。チームメイトと抱き合い喜びを爆発させる。
「カナモリ!カナモリ!」
彼を称えるコールを歓喜のサポーターたちが連呼する。大歓声が湧き起こるスタンドと共に、益々ヒートアップするゲーム展開。スピーディーな攻守の入れ替わり、激しい攻防はタイムアップの笛が吹かれる最後の最後まで続いた。
そして、雨中の大熱戦は、最終スコア2−2の引き分けに終わったのだ。
これにより、ホーム3連戦の戦績は、1勝2分となった愛媛FC。ホームゲームだけに連勝といきたかったところだが、悪コンディションの中、3試合ともに勝ち点を手に入れられたことは、評価に値するのではないだろうか。
ピッチの状況を瞬時に判断し、頭を使い考えながらプレーすることが出来た愛媛の戦士たち。彼らの成長と逞しさを感じる3連戦だったと言えるだろう。
松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。