第791回 広島とヤクルト、助っ人の明暗

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 メジャーリーグが現行の30球団になったのは1998年からである。

 

 

<この原稿は2024年6月3日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

 

 球団数が増えれば、必然的に選手が足りなくなる。来日する外国人の質が、昔に比べると落ちるのは仕方のないことだ。

 

 そんな中、東京ヤクルトの外国人担当スカウト陣の健闘が光る。5月26日現在、入団4年目のドミンゴ・サンタナは打率3割4分1厘で、セ・リーグ打撃10傑のトップに立っている。同じく4年目のホセ・オスナも好調で、こちらは8位。26打点はリーグ最多だ。

 

 チーム打率2割4分8厘、26本塁打、143得点は、いずれもリーグトップ。チームは15勝18敗2分けと、まだ3つ借金があるが、サンタナとオスナがいなかったら、目も当てられない状況に陥っていたはずだ。

 

 翻って、外国人に泣かされているのが広島だ。FAでオリックスに移籍した西川龍馬の穴を埋めるため、シーズンを前にマット・レイノルズ(レッズ3A)、ジェイク・シャイナー(マリナーズ3A)と2人の外国人野手を獲得した。

 

 当初、レイノルズは「ショートを中心に内野はどこでも守れるユーティリティプレーヤー」という触れ込みだった。

 

 もうひとりのシャイナーは、昨季、3Aで30本塁打、105打点をマークしている右の大砲で、チームはクリーンアップを期待していた。

 

 ところが、である。レイノルズはキャンプ中に左肩を故障。シャイナーも試合中に右手中指を骨折し、ともに2試合に出場しただけ。“助っ人”どころか“お荷物”になっている。

 

 両外国人を欠く広島は、4番にリードオフマンタイプの小園海斗を起用するなどの奇策で、なんとかしのごうとしているが、打線の迫力不足は否めない。

 

 それでいながら、14勝14敗4分けと五分の星を残しているのは、投手陣の奮闘の賜物だろう。

 

 もし広島にサンタナとオスナがいれば、今頃は首位に立っていてもおかしくはない。広島はヤクルトから外国人獲得のノウハウを学ぶべきだろう。

 

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